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Tips :〈CATL-PSR M1試製魔力狙撃銃 rp〉
とある世界において、金属化した魔力結晶を用いて試作された狙撃銃、そのレプリカ。
300年続いた異種族星間戦争を、終戦へと導き英雄となった女性士官の専用装備として開発された。
しかし当の女性士官は、当銃と同素材の獣型ゴーレムに搭乗して戦闘し、また生身での射撃技能が低かったことで必要性が問われ、試作の一挺が製造されたのみで開発が中止となった。
オリジナルは性能試験後、解体処分済みだが、何の因果か〈ガーディア〉の世界で再構築された。
世界に合わせたレプリカではあるが性能はオリジナルと遜色は無く、扱う者によっては1k m 以上離れた対象であっても撃ち抜くことだろう。
…はい。というわけでどっかの世界の猫狙撃銃です。
名前的には米製なSFKar…。
確かに、いつぞやかニーニャと魔道具工房に行った際、ニーニャの武器に遺物の魔拳銃が欲しいとは思った。
それに魔道具技師の話からすると遺物の魔銃は相当な貴重品、俺たちは大アタリを引いたことになるのだろう。
(う~ん…、なんか「コレジャナイ感」が…。)
いや、これはこれでレアな遺物の中でも更なる貴重品。
ただ…嬉しくはあるのだが、求めていた物の一つである魔拳銃に酷似した武器とあってか、惜しいという気持ちが強くなってしまうのだ。
ならばいっそのこと、俺たちの中の誰も使わない魔導武器が出て、売却して大金を得る方がシンプルで良い。
魔猟銃でも魔銃には変わり無く、ヘリーさんの使っていた魔拳銃の性能を見るに、安易に売却したくは無い。
「ニーニャ、これ使えそうか?」
というわけで俺は、ニーニャにこの遺物の魔猟銃を試すように言った。
近接でも使えそうな魔拳銃に対し取り回しが悪いことは明らかな魔猟銃だが、強力な遠距離攻撃の手段があればそもそも近接戦闘などしなくて良いのだ。
なるべく三人に危険な目に合って欲しくない俺としては、ニーニャが魔猟銃を扱えるのならば、一時的にパーティーの構成が前衛1の後衛3となっても構わない。
ヒョイ…クルクル、スチャッ
俺の指示を受けたニーニャは、片手で箱から魔猟銃を拾い上げ、槍や長杖のように魔猟銃を器用に振り回した後に射撃の構えを取る。
その姿は堂に入っており、俺が懸念した取り回しの悪さについても、万が一敵に接近されてもストックで殴り倒すことも出来そうだ。
「うん…使えそうだよ、ご主人。」
俺がそれをニーニャの新しい武器にしようと考えていることを感じているのか、宝箱を開ける前ほどでは無いが期待した表情で俺に報告するニーニャ。
俺も魔銃は扱えなくは無いのだが、まぁ…〈巨像魔猪の骨槍〉がある以上、敢えて魔猟銃を使う理由も無い。
「そうか、じゃあそれはニーニャが使ってくれ。」
「ん!ありがと、ご主人。」
とりあえず、これでマリ姉・ニーニャ・アデリナの三人の装備を新たにすることが出来た。
俺だけ装備が更新されないことに疎外感を覚えるが、俺は一足先に〈巨像魔猪の骨槍〉を得ているので公平ということにしておこう。
「…あら、これは何でしょう?」
マリ姉に新しい武器を自慢気に見せるニーニャをサトリの表情で眺めていると、アデリナが平箱の中から更に何かを拾い上げる。
「………遠見鏡、いや違うな…。」
遠距離を狙える魔猟銃と一緒に入っていたので俺は一瞬そう考えたのだが、覗き穴が無く遠見鏡にしては短く…具体的には剣の柄程しかない長さの円筒は違うだろうと考えを改める。
他の特徴と言えば、この円筒を握った時に丁度親指の位置にある丸い突起だが…
カチッ、シュピンッ!
「うぉっ!?」
何気なくその突起を押したところ、円筒の端から伸びた実体の無い青い棒に驚いて手を放す。
ズッ…、スゥ…コロン…
俺が手放した青い棒が伸びた円筒は、地面に突き刺さったところで棒が消滅し、本体の円筒だけが地面に転がる。
「ご主人、今の何!?」
「ラス君、今のって『魔力刃』…!?」
どうやら今の一部始終をニーニャとマリ姉にも見られていたようで、ニーニャは純粋に凄いものを見たと目を輝かせ、マリ姉はあり得ないものを見たといった驚愕の表情で俺を見ていた。
「…『魔力刃』?俺は何もしてないぞ!?」
というか、俺に攻撃魔法はおろか生活魔法すら使えないことは、マリ姉たちにも分かりきったことだろう。
そもそも『魔力刃』がどんな魔法かすら、俺は知らないのだ。
「…やっぱり?ということはこれってことね。」
俺の弁明にあっさりと頷いたマリ姉は、俺が手放し地面に転がっていた円筒を拾い上げて言う。
「魔猟銃と『魔力刃』を発生させる魔道具…。
最後にとんでもないものが出たわね。」
ポイッ
そう言いながら、『魔力刃』の魔道具を俺に向かって放るマリ姉。
「おっ!?とっと…。」
魔導武器…しかも遺物にするような扱いでは無い方法で粗雑に渡された〈魔力刃の円筒〉を、俺は落とさぬよう慌ててキャッチする。
「マリ姉、危ないだろうが!?
…それに、渡すならニーニャだろうに…。」
色々な意味で危険なことをしたマリ姉を咎め、魔猟銃を使うことになったニーニャに〈魔力刃の円筒〉を渡そうとする俺。
マリ姉の〈白魔女〉シリーズと同様、一緒に箱に入っていた以上はこれも魔猟銃とセットだろう。
「…ううん、それはご主人が使って?」
しかし当のニーニャが珍しく、俺の行動に首を横に振る。
「わたしにはこれがあるから、それは使わない。」
そう言ったニーニャの意見は、一人だけ何も無しの俺を気遣ったのだろうことは明らかだ。
…しかし、素早いニーニャが軽い魔猟銃で遠距離攻撃に徹しておいて、敵に接近を許すようなヘマをするだろうか?
「なら必要な時は俺が使う。
…だが、一応それに入っていたわけだから預かっていてくれないか?」
「………、分かった。」
だが万が一の場合を考えると、対処方は用意しておいて損は無い。
結局、自分の使う道具を少女に持たせる屑男的な理由で、ニーニャに〈魔力刃の円筒〉を持たせることに成功した俺であった。
「『其方らの求める物があったようで何より。
おかげで此方も用件を伝え易い。』」
「「っ…!」」
聞こえてきたショゴちゃんの言葉に、はっとなる俺とマリ姉。
突っ込み所が多くすっかり頭から抜けてしまっていたが、そういえばショゴちゃんは「まずは其方の用件を聞こう。」と言っていた。
貰う物を貰ってしまった以上、ここで拒否するのも心情的に抵抗がある。
それにショゴちゃんが“その気”になれば、プレッシャーを解放するだけで俺たちは頷くことしか出来ない羽目になるだろう。
しかし、そんな力を持った存在の、俺たちに対する用件とは…。
「北門の魔王、南門の古代竜」、と言ったところか?
(はてさて、どんな用件が飛び出すことやら。)
俺は内心震え上がって、ショゴちゃんの沙汰を受けたのだった。
「じゃ、イイデス~」…とはいかない。
………、詐欺だっ!!
某鳥「呼んだ?」
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