表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

158/218

153 知識も財産ではあるけれど…

Tips :〈ショートソード〉

 兵士から冒険者まで広く使用される両刃の直剣。

 打ち合っても折れない程度には頑丈だが切れ味はそこそこで、重量を利用して叩き斬る使い方が一般的。

 剣の長さに関係なく、歩兵が使う両刃直剣はショートソードに分類される。


※Tips がネタ切れになるので巻きでいきます。

 結論。

 俺は巨人の末裔らしい。


 そして俺が聖戦士と勘違いしていたのが、“星”戦士であることも判明した。

 わぁ、スケールぅ…。


Why(なぜに)… ?」


 マザーらがその結論に至った理由として、俺から感じる気配も理由の一つではあるのだが、ここがダンジョンに繋がったのが決め手らしい。


 というのもダンジョンの隠し部屋というものは、ここのように独立した次元に漂う世界の残滓が似た性質に引き寄せられて繋がったもの…らしい。(引用元 マザー&エリちゃん)

 そしてここは例の殺戮を生き延びた巨人達が「どの性質にも寄らない性質」にしたらしく、本来はダンジョンに繋がることは無いのだとか。


 何故そうしたのかと言えば、巨人達のように殺戮されることを避けるためらしい。

 その当時はまだ数体の巨人がいたらしく、問題なく世界の維持が出来ていたようで、つまりここはスライム(世界を循環させる者)達(と生き延びた巨人)の避難所だったというわけだ。

 …俺が思ったより焦る理由が、重大な理由だった。


 話を戻して、では何故ダンジョンに繋がらない筈のここがダンジョンに繋がったのかというと、実は「どの性質にも寄らない性質」というのは不可能らしい。

 虚無ですら「無」という性質に囚われるらしいのだから、その不可能さ加減が何となく分かる。


 ではここがどのような性質を持っているかというと、それは「巨人(巨躯の星戦士)」なのだ。

 当時、ここには生き延びた巨人の全てが揃っていたと思われていたため、外側にここを引き寄せる性質がいない=どの性質にも寄らない空間の出来上がり…というわけだな。

 

 生き残りの確認はしたらしいのだが、「戦乱の最中で行方不明となり、状況的に死んだ」と思われていた者が「実は生き延びていた」というのは良くある話だ。

 そしてその生き延びた巨人は他の巨人が滅びたと思い、世界の維持のために何らかの方法で人と交わったのではないか?…というのがマザーらの考えだそうだ。

 

(人と巨人が交わる…?)


 巨大闘技場の巨大アンデッド…実はあれは巨人の遺骸にスライムが入り込んで動かしていたらしいのだが、あの巨大さを思い知らされた身としては、人と巨人が交わることが不可能なことなど見て分かる。

 方法があるとすれば実在するらしい『縮小』の魔法だが、巨人は御噺の通り魔法には無効化といった具合に耐性があるが、魔法を使うのは滅法苦手な種族だったようでその可能性も低い。


(…いや、男側が人ならワンチャン?)


 ………、最早それは体格差とも言えないのでは?

 しかも、それを巨人が人サイズになるまで繰り返す?

 そもそも巨人に性別はあるのか?

 因みにというか勿論というか、マザーらには無いらしい。


(…まぁ、スライムだしな。)


カサリ…


「あ~、シルちゃんやほ~。」


 不意に聞こえた葉擦れの音、それに気付いたマザーが音の鳴った方を向き手を振る。


(…おっ、また人型スライムか?)


 考え事をしていた俺は、遅れて音の鳴った方に顔を向ける…が─


「ヒィッ、ニンゲン!?」

シュバッ!


 俺が分かったのは怯えた声と、素早く動く銀色の何かの残像だった。

 もう影も形もない「シルちゃん」の正体を、マリ姉が俺に耳打ちしてくる。


(今のって〈ミスリルスライム〉じゃ…?)


(あ?…………、あぁ~…。)


 そりゃ悲鳴を上げて逃げる。

 何なら、〈ミスリルスライム〉の遺骸とも言える〈ミスリルスライムジェル〉も持ってるし…。


「あら~シルちゃんどうしちゃったのかしら~?

 …まっ、次行きましょ~。」


 エリちゃんはマザーの仇討ちで襲って来たが、マザーは怯えて逃げたシルちゃんのことは気にしないことにしたようだ。

 仲間想いなのか違うのか、よく分からん態度だな…。

 

 … … … … … … …。

 … … … …。

 …。


フワ…


(ん?この匂いは…。)


 マザーに付いて歩くことしばらく、森の匂いとは異なる香りを感じた。


「お酒臭い…。」


 鼻の良いニーニャが、顔をしかめながら呟く。


「あら~、イレちゃんはお酒が苦手なのね~?」


 振り返って、ニーニャにそう言うマザー。

 獣人だからといって酒に弱いという話は聞いたことがないが、やはりニーニャはまだ子供だということだろう。


「酒を飲むのか?」


 スライムだから食べられ(吸収)ないものはほぼ無いのだろうが、マザーの酒を嗜むような言い方が気になり訊ねる。

 

「そうよ~、アルちゃんの作るお酒は~、と~っても美味しいの~♪」


(またスライムの生成物か…。)


 〈ハイポーション〉を青草ジュースと言ってカパカパ飲んでいるマザー達のことだ。

 「アルちゃんの作るお酒」とやらも、普通の酒ではないのだろう。

 …まぁ、こんな特殊な場所の素材を使っている時点で希少な品なのは分かり切った事だ。


フワッ


 先程まで仄かに漂っていた酒の匂いが強くなる。

 …しかし匂いが強くなったとしても、不思議と酔いそうな感じはしない。

 ニーニャは相変わらずのしかめ面だが…。


「アルちゃ~ん♪」


「マーちゃん、またお酒?」


 甘えるようにマザーが抱きついたのは、呪術師(シャーマン)がそうするように木の枝を角のように頭に生やした黄金色の人型スライム。


「…あら、ヒト?」


「うん~、同胞の末裔と~そのお仲間さん達~♪

 アルちゃんのお酒~、美味しいから~分けてあげよ~って♪」


 アルちゃん(さん?)が俺たちに気付いてからの紹介といい、紹介のいい加減さといい、明らかに酔っているマザー。

 アルちゃんに対する態度は甘え上戸のそれである。


「そうなの、…容れ物はあるかしら?」


 確認に頷いたマザーを見て、俺たちに容器を要求してくるアルちゃん。


「ええ、これで良いかしら。」


 俺の持って来た空瓶には〈エリクサー〉が詰められたため、マリ姉が空瓶を渡す。


「これだけで良いの?じゃあ、…レロ」

…ツツー


 出し方にはもう何も言うまい。

 エリちゃんの出し方に比べたら、口咬み酒のようなものだと思えば問題は無い。


(ほー…、綺麗な琥珀色だなぁ。)


 少しとろみのあるその酒は、仄かに発光していると錯覚するほど美しい。

 

「ラストさん、これっ〈神酒(ネクタール)〉では!?」

 

 はっはー、 知 っ て た 。

プチ発狂する主人公。



いつも読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆、いいね等、執筆の励みになります。

「面白かった」「続きが気になる」という方は是非、評価の方よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
動く酒税法違反!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ