139 とんでも情報爆弾
ネタバレ(?)
(この章、プロットだとあと3つ大きな動きがあるん
よなぁ…。)
ヒント:①???入手
②VS???(???)
③side ?、???VS???(知らせのみ)
休息日の翌日。
ドヨ…、ドヨ…
「んん…?」
アデリナの調子はまだ万全ではないのだが、アデリナ当人の懇願によりギルドを訪れた俺たち。
しかし、ギルド内の様子がいつもと異なることに気付き首を傾げる。
「ねえ、ちょっと良いかしら?」
「うぉっ「爆煙の魔女」!?
…ど、どうしたんだ?」
マリ姉がその辺の冒険者から情報を得ようと声をかけるが、何だかおかしな言葉が聞こえたような気がする。
「何かギルドの様子がいつもと違う気がするんだけど…、って何?爆煙…?」
気にせず質問を続けたマリ姉の様子に、俺の気のせいかと思いかけたが、やはりマリ姉にも聞こえていたようだ。
「ああ…いや、いつもあんたが魔法で〈ゴーレム〉をボコボコにしてるだろ?
だから皆ウワサしてるぜ?」
…なるほど、つまり“二つ名”みたいなものか。
“二つ名”というのはその二つ名が付いた冒険者を表す称号で、二つ名を持つ者は何らかの他とは隔絶した力を持っている。
身近なものだと、ベビーリーフタウン支部ギルドマスターのオットーさんに『武器無選』の称号が与えられていた筈だ。
オットーさんのそれは Aランク昇級時に、フラワーフィールズ王国より爵位と同時に賜ったそうだ。
これが正式な二つ名なのだが、そう考えると先ほど聞いたマリ姉を指す「爆煙の魔女」は、二つ名というよりはアダ名と言った方が正しいか…。
…俺もスタンピード後に「巨猪殺し」などという微妙な呼ばれ方をされたことを思い出してしまったが、つくづく冒険者というものはもの好きなものだと思う。
(…ようこそマリ姉、此方側へ。)
俺の「巨猪殺し」よりはマシだが、「爆煙の魔女」というそのまんまなアダ名に俺は内心でほくそ笑んだ。
「因みに獣人の嬢ちゃんは「白猫」、修道女さんが「聖母」だ。」
ニーニャもマリ姉同様見たまんま、アデリナもこれ以上なくしっくりくる。(身体のとある部分を参照)
アデリナは還俗したため既に修道女ではないのだが、まぁ…細かいことはいいか。
…。
…………。
…………………。
「…なぁ、俺は?」
ゴーレム狩りで目立ったことでマリ姉のついでで付いた呼び名なのだろうが、それなら俺にも呼び名が付いてもおかしくはない。
格好良いとまでは行かずとも「巨猪殺し」よりはマシな呼び名を期待した俺だったが、冒険者が好き勝手に付けるということの意味をまざまざと思い知らされることとなる。
「「肉壁」。」
「………、は?」
ちょっと何言ってるか分からん。
…何て?
「お前は「肉壁」、だ。」
oh…、meat wall ?(無駄に良い発音)
………よろしい、ならば戦争だ。
一人残らず駆逐してやるっ…!(血涙)
これが後のbattle of wall meatであった。
(※当然そんな歴史は存在しない)
…………………。
…………。
…。
…とまぁ、ふざけるのもこのくらいにして。
マリ姉が数人の冒険者から聞き出した情報を纏めると、昨日ヒューバートがやらかしたらしい。
最近ギルド内のトラブルと言えば何かと渦中にあったので、自分たちが関わらないトラブルが何だか新鮮に感じる。
俺のズレた感想は捨て置き。
俺たちが休息している間に何があったのかと言うと、〈第6層〉に異常発生した〈悪魔〉。
非戦闘員のヒューバートがなんと、その仮称「第6層の悪魔」を使役していたというのだ!
「〈悪魔〉を使役って…、…ただの『使役』スキルじゃなさそうね。」
と、俺たちに聞き出した情報の共有を終えたマリ姉が、僅かに警戒を滲ませて言う。
確かにマリ姉の言うように良く知られている『使役』スキルは、使役する魔物に力を示す必要がある。
そのため非戦闘職の〈荷運び〉であるヒューバートに、Cランク間近のパーティーを壊滅させた「第6層の悪魔」を使役できる筈が無いのだ。
「…覚醒スキル、でしょうか…?」
トラウマの原因が使役されていると聞き複雑な表情のアデリナが、やはりまだ体調が良くなさそうなか細い声で呟いた。
(覚醒スキルなら、まぁ…無くはないな。)
絶体絶命の危機に強力なスキルが覚醒するという話は英雄譚などには付き物だが実際のところ覚醒スキルは眉唾物で、国に数人いるかという Sランク級の強者が持っているとかという噂があるくらいのもの。
確かにダンジョンから生還するまでに幾つもの命の危機があったのだろうが、〈悪魔〉の魔物ランクは Cランクに留まる。
それでスキルが覚醒するのであれば、それはもはや覚醒スキルではないのではないか?
しかし実際にヒューバートが〈悪魔〉を使役しているのを、ギルドマスター自らが目撃してもいるらしい。
そうでなくとも、〈悪魔〉が人の街に現れて何も被害が無いということは確かなのだ。
結局のところ「可能性は0ではない」というのがギルドマスターの判断であり、「力量を無視することのできる使役スキルがある」という認識を持つべきだろう。
…何せ、マリ姉が話を聞いてすぐに思い至ったように、人すらも強制的に『使役』できるとしたら…。
最近勧誘の激しいマリ姉やアデリナは勿論のこと、相変わらずその美少女ぶりから狙われるニーニャも危険だろう。
「はぁ…。」
未だはっきりとしないが、また厄介事に巻き込まれそうな予感に、俺は密かに溜息を吐いたのだった。
前半、作者の戯れにお付き合い頂き─
感謝っ…!圧倒的感謝っ…!
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