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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

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131 カイホウ

外と室内の温度差で“整い”そうな今日この頃。


区切りの都合で短めっ!

 来るなと言われても、目の前で苦しんでいるアデリナを見ているだけなど出来ない。

 現時点でアデリナの呪いが解呪されていないことから、アデリナの呪いを解呪出来る神請魔法使いはいないのだろうが、もしかしたら呪いを抑える術はあるかも知れない。


 逆に、もう既に発動してしまっている呪いに打つ手などないかも知れない。

 …というよりは、その可能性の方が明らかに高い。


「うっ!……殺して、下さい…。」


「っ…!」


 街中に魔物が発生したら混乱が起こるのは、どんな愚か者にも分かることだ。

 しかし俺はそうするのが“正しいこと”だと頭では分かっていても、どうしても懐のナイフを抜こうとは思わなかった。


「あぁああぁっ!!」


 そうこうしている内に、アデリナが身体を跳ね上げ絶叫する。

 

バサッ!


 そしてアデリナの腰の辺りから、〈洞窟蝙蝠(ケイブバット)〉のものに似た一対二枚の羽が広がった。


シュルッ…!


 アデリナの変化はそれだけで無く、臀部からは先の鋭い鞭のような尾が伸びる。


ポゥ…


「…あぁ、ラストさん…。」


 魔物に転じたアデリナが、悲しげに俺を呼ぶ。

 意識はアデリナのままのようだが腰に生えた羽や尾が、どうしようも無く〈悪魔〉系統の魔物であることを主張していた。


(いや、あれは…)


 暴れ出すような気配がないことが分かりアデリナを観察していた俺は、アデリナの下腹に浮かんだ特徴的な紋様に気づく。

 その紋様は男の会話のネタとしてあまりにも有名で、その紋様を元にした〈刻印魔法〉は貴族や夜の華の“御用達”だ。 


「〈サキュバス〉…、なのか?」


 〈淫魔〉と呼ばれる〈悪魔〉系統魔物の亜種の女性体、魔物最弱四天王に挙げられている魔物の一種。

 それが呪いにより、アデリナが転じた姿だった。


「うぅ…はい、その通りのようです…。」


 何となしに呟いた俺に、修道服の裾を抑えて恥ずかしそうにしながらも、アデリナは律儀に応えてくれた。


(………、良い。)


 今目の前で起こっていることが一大事なのは理解しているが、神秘的なまでの清楚な美女が〈淫魔〉で、それなのに羞恥に頬を染める姿はグッとくる。

 

ジト…

「………。」


 だからといって、俺は欲望のままにアデリナを視姦していたわけでは無い。

 

 例えばアデリナの羽と尾。

 ゆったりとした修道服の裾を捲り上げているそれらだが、包帯を巻いて押さえるなどすれば隠せないことも無いだろう。


 それでも一所に留まればバレるリスクは高くなるわけで、「魔物バレのリスクを減らすこと」をパーティーへ勧誘する際の説得材料に出来るという考えもある。

 アデリナの弱味につけこむようで善良な市民としての俺が咎め立てるが、冒険者としての俺や欲塗れの俺が頷いているので“ヨシ!”とする。

 

 これがもし〈低級悪魔(インプ)〉だったりすると、人にない肌色だったり角があったりと隠しにくかったりする。

 元々の生態からして人間の女に化ける〈サキュバス〉に転じたのは、こう言ってはなんなんだが不幸中の幸い…なのかも知れない。


「っ!」

ビクンッ!


 そんな風に俺がこれからのことを夢想していたりしていると、床にへたり込んでいたアデリナが身体を跳ねさせる。


「どうした!?」


 まだ何かあるのかと、気が弛んでいた俺は不用意にアデリナに近寄る。

 近寄る俺にアデリナは顔を向け、俺とアデリナの目と目が合う。


キィインッ…、ビキッ!


「ぬおっ!?」


 アデリナの薄紫色の瞳に紅色が交ざったように見えた瞬間、俺の股間が痛い程に怒張する。


「…ラストさんが悪いんですよ?

 そんなに素敵な“匂い”をさせるなんて…。」


 そうしっとりとした声で言ったアデリナは、ぞっとするほど妖艶な表情を浮かべていた。


(これはっ、…『魅了(チャーム)』か!?)


 下腹部の紋様と同様に、〈サキュバス〉の代名詞と言える魔法(スキル)

 最弱とされる〈サキュバス〉の『魅了』は、男ならば勇者ですら対策無しには受けられない。

 〈サキュバス〉は『魅了』を受けた男であれば、どんな強者や英傑でも“絞り殺して”きたのだ。


トサッ…


「…もう我慢が出来ないんです。

 私が“こんな”になってしまった責任、…取ってくれますか?」


 無抵抗の俺を押し倒し俺の上に跨がったアデリナは、〈サキュバス〉の性に呑まれながらも、最後まで抗うように俺を見つめる。


「フッ…、フッ…」


 荒くなったアデリナの吐息。

 きっと今のうちなら、気合いを入れればアデリナをはね除けて逃げられるだろう。


(だが断る!!)


 内なる理性的な俺に否やを突き付ける。

 それはつまり、


「応とも。…責任、取らせて貰う。」


 俺は押し倒されながら、アデリナに決め顔(※当人比)でキッパリと頷いて見せた。


「…え?」


 一瞬、素に戻るアデリナ。


「…アハッ、それじゃあ─」


 “イタダキマス”


 音の漏れない宿屋の一室。

 密かに誕生した最弱(最強)の、激しい饗宴が催される。

勘の良い読者さんが感想欄にて予想していましたね。

だが敢えて言おう!割りと“テンプレ”である!!


(早い段階からトレイターのマッチポンプを疑われたのには焦りましたがねぇ…。)←謎に黒幕風



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