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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
4章  迷宮都市と越冬

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113 探索者登録

 〈迷宮都市・ラビリンス〉に到着した翌々日。

 しっかりと諸々の疲れを癒した俺たちは、早速ダンジョンに─


「あ、探索者(シーカー)登録しなくちゃ駄目よ?」


 …行けなかった。


「探索者登録?」


 冒険者登録はしているが、それじゃ駄目なのであろうか?

 聞き返した俺のそんな疑問を察したのか、マリ姉は探索者について話し出す。


「いい?

 まずダンジョンの権利についてなんだけど─。」


 マリ姉の話の要点は4つ。

 曰く、この街(〈ラビリンス〉)が王家の直轄領であることから分かるように、ダンジョンは国が所有している。

 曰く、所有が国のダンジョンであるがダンジョンの性質上国の人員だけで管理することが出来ず、人員が豊富な冒険者ギルドに管理を委託している。

 曰く、冒険者ギルドにダンジョンが委託されるにあたり、冒険者ギルドはダンジョンから得られた利益の一部を国に納める義務がある。

 曰く、この上納金の金額をはっきりさせる為、冒険者登録以外に資格が必要となった。


 つまり、国が冒険者ギルドから金を取り、冒険者ギルドは冒険者から金を取る。

 しかし冒険者全体から金を取ると不満が出るため、ダンジョンを探索するために国に払う金はダンジョンを探索する冒険者だけが払うということだ。


「ちなみに、探索者登録していないのにダンジョンに入ったら犯罪よ?」


 要はダンジョンは鉱山で、中のものを取ったら盗掘になるということだろう。

 ……、そういう大事なことは「あ、」で済ませていい問題じゃないと思うのだが?


 … … … … … … …。

 … … … …。

 …。


 いくら捏ねたところでルールはルール。


 ということで俺たちは俺とニーニャの探索者登録のためにギルドへ。

 ベビーリーフタウンの冒険者ギルドなど比べ物にならない大きさのギルドの建物内を、これまた大勢の冒険者の間を縫ってカウンターに向かう。


 その途中やたらとヒリついた空気や値踏みするような視線が気になったが、実力のある冒険者が集まるとこんなものなのだろう。


「いらっしゃいませ~、ご依頼でしょうか~?」


 俺たちが向かったカウンターに座っていたのは、眠そうな目をした羊獣人の嬢だった。

 癖の強い白のショートヘアに、薄い黄色の瞳。

 そして制服を着込んでいても分かる、マリ姉クラスのたわわ。


「いや…、俺とこっちのニーニャの探索者登録を頼む。」


 俺は意識して胸から目を逸らして首を横に振り、自分とニーニャを指して用件を言う。


 …というか、俺たちの格好を見て、何故用件が「ご依頼」だと思ったのだろうか?

 ダンジョンに行く気満々だった俺たちは、ほぼフル装備と言っていい格好なのだが…。


 それに双子などでなければ、一昨日に護衛依頼の達成を報告した時の受付嬢は彼女だった筈だ。


「あら~、そういえば見たことありましたね~。」


 「失敗、失敗~」などと言いながらもこちらの用件の準備をする彼女だが、


ゴッ…!

「あうっ!」


 のんびりとした口調とは裏腹に、勢い良く開けた引き出しに手をぶつけて悲鳴を上げていた。

 どうやらかなり天然のようだが、ヒリつきがちなこのギルドでは丁度良いのかも知れない。


「こちらに必要事項の記入と~、記入が終わりましたらギルドカードの提出をお願いします~。」


 そう言って渡された二枚の用紙は、冒険者登録の用紙と変わらないものであった。


 一度書いたことがあるためさらっと用紙への記入とカードの提出をした俺とニーニャは、無事〈迷宮探索者〉の登録を終えることができた。

 まぁ、ギルドカード裏の備考欄に[迷宮探索者]という記入がされるだけで問題が起きる筈は無いのだが。


 とにかく、これで晴れて俺たち〈白の大樹〉はダンジョンに入ることが出来るようになった。

 

「というわけで、早速行ってみよう…かっ!?」


 探索者登録に時間を取られたとはいえ、今からならまだ最初の階層でダンジョンの雰囲気を感じることは出来るだろう。

 一応マリ姉とニーニャの意思確認のために振り返った俺は、二人の後ろに立つ巨漢を見て言葉を詰まらせた。


「おうおうおう!

 新顔が俺様に挨拶もナシたぁ、いい度胸じゃねぇか。」


 他よりもガタイが良いと自負する俺より、更に二回りはデカイ図体は毛深く傷だらけ。

 割れた顎の周りには無精髭を生やし、上半身は裸に直接革鎧と毛皮の腰巻きという格好は“まとも”な人間とは思えない。


 そんな“ザ・蛮族スタイル”な巨漢が、後ろに多数の子分を引き連れて俺たちに絡んできた。


(はぁ…、こういうのは何処でも一緒か。)


 見た感じから実力はあるのだろうが、だからこそあしらうのが面倒だ。

 ホラフキーの相手がどれだけ楽だったかを、今さらながらに実感する。

 

1対1(タイマン)なら五分五分ってとこか?)


 こういう手合いはやはり殴った方が早い。

 実力は互角だが、武器の質ではこちらが圧倒している。

 卑怯な気もするが、絡んできた向こうの落ち度だろう。


「あ~…、修練場とかは─」


「待ちたまえ!

 この場は我々《光の騎士団(シャイン・ナイツ)》が預かろう!」


 突如、俺たちと蛮族一味に割り込んできた集団。

 

 どうやら事態は更に面倒なことになってしまったようだ。

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