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10 先ずは武器

※盛大なネタバレ有り


早よゴブリン倒しに行け

 決意を天に叫んだことで気合いも十分。


「よしっ、やるぞ!」


「んじゃまずカード出せ。」


 何でもやる気の俺に、しかしギルマスはいたって冷静に俺のギルドカードを要求した。


「あ、ハイ…。」


 出鼻を挫かれた俺のテンションも一気に普段通りにまで下がり、言われるままにギルドカードを差し出す。


「…おいリタ、チュートリアル中の特記と担当が無いぞ。」


「あっすみません、忘れてました!」


 勢いでチュートリアルを受けることを決め、そのまま修練場へ案内されて武器を並べるのを手伝い、少し待たされたと思えばギルマス(ダルマハゲ)の登場。

 …うん、この間ギルドカードに記入どころかカウンターに近づいてすらいない。


「まあ、始めちまったもんはしょうがねぇ。

 こいつ、…お前はラストっていうのか。

 俺がラストの武器を見ている間に記入しておけ。

 てことでラスト、カードは預かった。」


「ぇ、ああ。」


 記入がなければ受けられないのかと思えばそうでもないらしく、断る理由もないので了承した。


「ありがとうございます、ラストさん!

 お父さんもね!」


「…ったく、次から気を付けろ。

 そしてここ(冒険者ギルド)ではギルマスと呼べな。」


「はいっ、ギルマス!」


 ギルマスから俺のギルドカードを受け取り、早速カードへの書き込みをするつもりなのか、修練場から駆けて行くリタ。

 ……待てまてマテ、今のギルマスとリタのやり取りでおかしいことが聞こえたぞ?


「オトウサン…、ギルマスの名前で?」


 変わった名前だなぁ。


「ん?

 似ているが違うぞ。

 俺の名はオットーだ、よろしくな。」


 こちらこそ世話になる。

 ギルマスの名前じゃないすると……あ、お義父さんか?


「そっか、リタは結婚しているのか…。」


 リタが既婚者であったことに少し…いやかなりがっかりする。

 しかしリタのように可憐で気立ての良い娘には、掃いて棄てるほど男が群がるのは当然であり、見事リタを射止めた(ギルマスの息子)に嫉妬せざるを得ない。


「リタは未婚だ。

 そこいらの男に娘は渡さんよ。」


「ぐっ、はぁあっ…!」


 ギルマスの言葉が示した現実に、俺は大ダメージを受けた。


(ギルマスがリタの実父!?)


 この見た目(筋肉ダルマハゲ)の種でリタのような娘がデキるのか!?

 はたまたギルマスの奥さんに似たのか。

 だとしてもギルマスの遺伝子どこ行った!?

 それとも奥さんは美女スライム(単為生殖生物)なのか!?

 でなかったらもう突然変異だろ!?


「さっきから何だラスト?

 そろそろ始めるぞ、まずはショートソードからだ。」

 

 俺が生命の神秘に打ちのめされていることに構わず、ギルマスに剣を渡される。

 初めて持った剣はそのほとんどが鉄で出来ていて、精々が鉈や鍬までしか持ったことの無い俺にはズッシリと重く感じた。


「よし、持ったな。

 剣の握り方はこうだ。

 しっかり握ったら素振りをしてみろ。」


ビュッ、ビュッ


 ギルマスが振る剣の刃が風を切る。

 俺は言われたことに従い、ギルマスを手本に剣を握り、見様見真似で剣を頭上まで持ち上げ振り下ろす。


ブオン…ガンッ


 俺が振った剣は、ギルマスの振った剣の音と違い、鈍い音を僅かに鳴らし地面に激突した。


「おっと、危ねえ!

 剣はそんなに大振りで振らんぞ。」


 どうやら俺に剣の才は無いらしい。


「ただいま戻りました!」


 武器の並びからして、次の槍を試す前にリタが戻ってきた。


「おう、確認させろ。

 …て何だこれ?」


 俺のギルドカードの記載を読んだギルマスが首を傾げ、困惑した様子を見せる。

 ダルマハゲがそんな仕草をしても、そんな需要は一切無い。


「俺は立場上、色んな冒険者を見てきた。

 そん中にゃ、僅かだが特殊な武器を扱う奴もいた。」


 何故か遠い目をして語り始めたギルマス。


「あらかたの武器は見てきたと思ったが、これを武器と言う奴は、俺は初めて見た。

 となると似た武器は両手斧になるのか?」


 ぶつぶつ言いながら考え込むギルマスだが、漏れ聞こえた内容がおかしい。

 俺は武器を使ったことが無いと申告したため、使用武器は未記載の筈なのだが…。


「?」


 もしやと思いリタを見るが、当の本人は何もわかっていないように首を傾げるだけだった。

 可愛い。

 リタの仕草なら金を取っても文句は出なさそうだな。


(と言うか、父親(ギルマス)の因子がそこ(仕草)に出たかぁ~。)


 不本意に見比べることになったが、そうしたおかげでリタがギルマスの実娘だと、ようやく実感することができた。

 おっと。

 別に文句があるわけじゃない。

 むしろ、マッチョボディにリタの可憐な顔がついている、という事態にならなくて神々に感謝を捧げたいと思っている。

 いつの間にか話が違くなっていたので、話を戻すとしよう。


「ギルマス、俺の武器はどうなった?」


 いい加減先に進みたいのでギルマスに声を掛け、こちらに注意を向けさせる。


「どうなったって、そんな他人事みたいに。」


 言い訳はいいから次の武器を試させて欲しい。


「大体お前が鍬何かを武器にするから悩んでんだろうに…。」


 チョットマテ?

 俺が、いつ、鍬を、武器だと、言った!

 ………………。

 ………。

 …。

 リタァッ!


 オ・マ・エ・マ・タ・ヤ・ツ・タ・ナ?


リタはポンコツ可愛い。


因みに…

遺伝子やらは古の勇者が異世界より持ち込んだ概念で、「体の設計図」くらいの意味で定着しています。(↑農業などに有用なので)



いつも読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
主人公の考えている内容で、遺伝子や因子なんかが出てくるが、学の無い田舎の三男坊から出てくる単語じゃない。 読み手に分かりやすく、って感じだろうけど、違和感が半端ない。
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