100 繋がる二人
本編100話にして…
シャアァァッ…
「温かいですね。」
(どうしてこうなる…。)
背中にムニムニと当たるリタのたわわの感触を、俺は極力意識しないように耐えながら応える。
「あぁ、…でもそろそろ出ないか?」
リタが乱入してきてから、大分長い時間が経っているように感じる。
そしてその間中ずっと湯を浴び続けていたため、身体の芯まで湯だってしまった。
「……それもそうですね。」
少し考えるような間があったが、俺の提案に同意するリタ。
スッ…
そして背中から失われる、柔らかな感触と温もり。
ちょっと…いやかなり残念に感じたが、正直あれ以上密着されていても俺の理性が保たなかった。
リタは恋人がいたことはないと聞いているため、リタの初体験が理性の無い俺に襲われてという事態は避けることができた。
(まぁ、この後することにはなるんだろうが…。)
結局やることをやるのに違いは無く、タイミングが多少早いか遅いかの違いに思えるだろう。
しかし俺としては我慢が利かずに襲ってしまうより経験者として、リタには最高の初体験をして欲しいと思うのだ。
…肝心の相手が俺というのもどうかとは思うが、リタ自身が俺を選んでくれたのだからその点については自信を持って相手をさせて貰おう。
パタン…
考え事をして理性を回復させている内に、どうやらリタが水気を落として部屋の方に戻ったみたいだ。
俺も備え付けのバスタオルで身体を拭いて…
(って、何だこれ?)
俺がバスタオルだと思って広げたのは、白いタオル地のローブであった。
(あ、下にあったのか…。)
そしてローブの下にタオルを発見。
これで無事に水気を落とせる。
「ん?」
身体を拭きながら何気無く棚に目をやると、棚には俺の服の他にも女性物の服が綺麗に畳まれて置かれていた。
この部屋に俺以外にいるのは他に一人だけであり、自然と女性物の服の持ち主が俺以外の一人であるリタだと分かる。
(てことは今リタは…?)
「あ、そのためのローブか。」
一瞬部屋の方でリタが全裸で待機しているのを想像したが、使用済みのタオルがあってローブが無いことから、現在のリタはタオル地のローブを着ていることに思い至る。
普通に考えれば身を清めるのは就寝前であり、身を清めた後はゆったりとしたローブを着てリラックスして過ごす想定なのだろう。
…そして俺とリタは宿泊するわけではないが、すぐに服を脱ぐことになるので着脱が楽なローブを着るというのも利にかなっている。
風呂場であれだけ期待を高めて今更ナシという可能性は限りなく低かったとはいえ、リタも俺との行為にかなり乗り気らしいことが伺える。
ここまで用意されているとなると俺としてもリタの期待に応えられるか緊張してしまうが、初めてのリタは俺以上に緊張していることだろう。
俺は手早く水気を落としてローブを羽織り、逸る気持ちを抑えてリタの待つ部屋に向かう。
「おー…リタ、待たせたな。」
ローブを纏った俺が部屋に戻ると、リタは俺と同様にローブを羽織り、三人は余裕で並んで横になれそうなベッドの上に乗って待っていた。
「いいえ、そんなに待っていませんよラストさん。」
直前まで風呂場で一緒だったのにデートの待ち合わせをしていたような台詞を吐いた俺に、リタははにかみながら応える。
…こういう時、気の利いたことの一つも言えない己が恨めしくなる。
いや…敢えて言い訳をさせて貰えるなら、俺がマリ姉で体験済みだとしても、マリ姉は子供の頃の情けない俺を知っているわけで、ある意味お互いにある程度知っていて気楽だったのだ。
リタとは俺がこの街に来てから知り合った関係で、関わった日数的にはマリ姉以上でも関係期間の短さが気後れの原因になってしまっている。
…それにリタの格好は俺の纏っているものと同様のローブを羽織っただけであり、たわわやヘソ…更に下腹までが惜し気もなく曬されていたのだ。
まだ乾いていない艶のある髪や、湯で温まったことで薄紅色に上気した肌がマリ姉とはまた違った色気を醸し出していた。
「ラストさん、こちらにどうぞ?」
風呂場から出て立ちっぱなしの俺を、リタがベッドの上で自分の隣を叩いて招く。
「あ、ああ…そうだな。」
ギシッ…
俺がリタの言葉に従ってベッドに身を乗せると、ベッド本体か床が僅かに軋む。
「ラストさん…。」
リタの隣に胡座をかいた俺をリタが呼ぶ。
「なん」
「はむ、ん…。」
応えようとした俺の口が、顔を寄せてきたリタに柔らかいもので塞がれる。
「ちゅく…、んぁ。」
(というかこれって…!?)
絡む舌と脳内に響く水音。
マリ姉とはお馴染みで、…最近はニーニャともするようになった深い接吻だった。
「ぷはっ、ラストさん…。」
口を離したリタが、目を潤ませながら上目遣いで俺を呼ぶ。
その顔は普段の懐いた狼系魔物のような無邪気さは無く、完全に発情した女の顔だった。
プツーン
そんな顔を見せられてしまえば、先ほど回復させた理性が切れてしまうのが道理というものだ。
「リタ、本当に俺で良いんだな?」
切れはしたがまだ辛うじて残った理性を総動員して、リタに最後の確認を行う。
「…ラストさんで良いんじゃないです。
私はラストさんが良いんです…!」
そうまで言われたら男冥利に尽きるというものだろう。
ドサッ
「痛かったら止めてくれ。」
「はい…♡」
俺はリタをそっと押し倒したのだった。
ようやく二人目と関係を持ってハーレムタグに相応しくなったのではないでしょうか?
次回が今章ラスト(予定)です。
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