プロローグ
完全新作、テンプレ異世界ものです。
よろしくお願いします!
本日は12:00にもう一話投稿されます。
ベビーリーフタウン最寄り、通称〈初心者の森〉と呼ばれる森に、俺ラストは依頼を受けやって来ていた。
ガサッ
「っ!」
すぐ近くで聞こえた草薮を掻き分ける音に、周囲への警戒を強め、その場に身を屈める。
「フゴフゴッ。」
(居たっ!…あれが豚頭鬼か。)
魔豚に似た頭の、二足歩行の巨躯の魔物。
今回受けた依頼のターゲットの発見に、得物を持つ両手が無意識に握り締められた。
「フゴフゴ…、フゴッ!?」
鼻を鳴らしながら餌を探していたオークが、不意にこちらを向き、警戒した様子を見せた。
(見つかった!?いや、場所はまだバレていない筈。)
焦って飛び出しかけるが、組合で聞いた話を思い出し、何とか踏み留まった。
「フゴ…。」
ガサガサ
場所は分からなくとも、俺が居ることは確信しているらしく、警戒しながらゆっくりと近付いて来る。
(後三歩、…二歩。)
『どっ、どっ、どっ』
俺の間合いまでの距離を、心の中で数える毎に、鼓動が速くなっていく。
(後一歩、っ!?)
オークが間合いに入る直前、急所に得物を打ち込めるように視線を上げ、予想していなかった事態に息を飲む。
「………。」
妖精の悪戯か、視線を上げた丁度のタイミング、間合いのすぐ近くまで寄って来ていたオークと目が合った。
「………フゴ?」
そしてこの非常事態にアワを食ったのはオークも同じらしく、鼻から間の抜けた音を鳴らし硬直していた。
「フッ!」
ドスッ!
オークよりいち早く復帰した俺は短く息を吐き、棒立ちするオークの喉に槍を突き込んだ。
「ブヒュッ…?ゴフッ!?ゴブゴポッ!」
渾身の一突きは、巧い具合に動脈を切断したようで、オークは自身の血で溺れ始めた。
「ブギィィッ…」
ドウッ!
オークは暫く踠いた後、苦し気な鳴き声を最後に倒れ伏し、動かなくなった。
「…ふぅ、依頼完了だな。」
この後も討伐証明部位と素材の回収のため、倒したオークの解体作業があるが、一先ずついた区切りに独り言ちた。
… … … … … … …。
… … … …。
…。
ザクッ…、ザクッ…、ザクッ
倒したオークから、とりあえず手足と頭を胴から切り離して、手足はその辺の木の枝に、血抜きを兼ねて吊るした。
残った胴は、分厚い脂肪に悪戦苦闘しながら腹を開き、内臓を掻き出した。
そして今は、頭や内臓などの不要な部分を埋めるための穴を、槍の刃の腹を使って掘っている。
「鍬でも『ザクッ』有れば『ザクッ』楽だったん『ザクッ』だがな。『ザクッ』」
ここで今手にしている槍を買うために手放した、三年使った相棒を求める状況に、何とも言えない気持ちになってしまう。
「これくらいの深さで良いか…。」
オークの頭が辛うじて収まる程度の深さを掘ったところで、いい加減槍での穴掘りに嫌気が差し、作業を切り上げる。
掘り返した土を被せた後で踏み固め、勿体無いが聖水を撒けば、他の魔物が寄って来ることも無いだろう。
ドサドサッ…ゴロン
掘りたての穴に、早速内臓と頭を落とし入れる。
「よし、次はっと。」
血と脂で汚れた手を一旦ボロ布で拭ってから、吊るしていた手足の内、一本を手に取る。
「こっちは意外と脂が少ないのな。」
丸太のような太さの手足だが断面を見てみると、腹周りから予想していた程脂肪の層は厚くはなかった。
この国には、太った人間をオークと揶揄する風潮があるが、こうして実際に見てみると、決して侮れる生き物ではないことが解った。
最初に太った人間をオークと揶揄した奴らは、きっとオークの姿を実際に見たことがなかったに違いない。
そんな益体も無いことを考えている内にも、4つの手首足首を切り落とし、生ゴミを埋めた穴はしっかりと固めた。
「今日中には帰れそうだな。」
手足はそのまま、胴は一抱えの大きさに切り分けてから、収納袋に道具も纏めて仕舞い込む。
ズボッ
穴掘りに使った後地面に突き刺していた槍を抜き、森の出口に向かい歩き
「おっと、忘れるところだった。」
出す前に、埋めた穴に聖水を撒く。
パシャッ
「…ヨシッ!」
もう忘れたことがないかの確認を終え、今の棲みかに帰るべく、今度こそ森の出口に向かい、意気揚々と歩みを進めた。
討伐証明部位「お~い、おれは?」
※ちゃんと回収しているのでご心配無く
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