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概観・NYメト美術館の所蔵品など

 I.  概観


 キプロス音節文字には、Akanthou(一般)系とPaphian(南西)系の2系統あり、日本語として解読や分析を試みたのは、Akanthou系である。

 文字は約55種類あり、全部、表音文字で平仮名、カタカナの様である。母音は、A,E,I、O、Uの5種類。子音は、12種類。ギリシャ語表記のためか、線文字Aと異なり、LとRが区別され、線文字AのR行がL行として活用され、新たにR行が形成されている。またT行は、線文字AのDA、TE、TI、TO、DUに酷似する。


 1. 音声の究明


 E.ドーブルホーファーは、「失われた文字の解読 III」(矢島文夫/佐藤牧夫訳。1963年。山本書店)の中で、キプロス音節文字の音声究明の顛末を紹介している。

 1869年、キプロスのダリで二か国語テキスト(Idalion Bilingual)が発見され、キプロス音節文字で表記したギリシャ語とフェニキア語で、同じ内容が記録されていた事から、キプロス音節文字の音声が判明した。

 1910年には、ギリシャ語以外の言語で書かれたキプロス音節文字の原典が確認された。この言語は、キプロス祖語(Eteocypriot)と呼ばれ、ギリシャ系住民の流入以前から、土着系住民の用いた言葉とされている。但し、紀元前1000年紀には、キプロスでギリシャ語に加え、フェニキア語が使われた事もあり、単一の言語とは限らない、との見方もある。

 なお J.チャドウィックは「線文字Bの解読」の第2章で、キプロス音節文字との間に発見された7つほどの共通記号が、線文字Bの音声解明の糸口だった旨解説しており、線文字Bとの共通記号にキプロス音節文字の音声を代入したら「クノッソス」との単語が読める様になり、解読が飛躍的に進んだ由。


(注)4世紀末頃、アレキサンドリアの辞書編集者ヘーシュキオスによれば、古代キプロスの住民が「そして」という語を、他のギリシャ人と異なり「カイ」でなく「カス」と発音。ここから無数に登場する2つの文字が、「カ」と「ス」であり、「そして」を意味すると究明された由。この「カス」は「且つ」に通じるだろう。



 2.母音と子音


「地球ことば村」のサイトの「世界の文字」で、「ミノア文字」の一環として「キュプロス文字」(キプロス音節文字)の50音表を掲載。母音は、A、E、I、O、Uであり、日本語と同じ。子音は、Tの文字がDの音を兼ね、またギリシャ語等を表記する為、LとRが識別されている。


(キプロス音節文字)  J, K, L, M, N, P, R, S, T, W, X, Z


 現代の日本語では、50音表に従えば、子音は次の通り。


 H、K、M、N、R、S、T、W、Y


 このうち、H音は奈良時代、F音/P音の様に発音された由であり、当時に遡り、P音に差し替え、また、YをJと表記すれば、次の通り。


 J、K、M、N、P、R、S、T、W


 これは、キプロス音節文字の子音から(何れもギリシャ語の表記と関係深いと見られる)L、X、Zの音を省いたものである。 



 3. 字源


 キプロス音節文字が、日本語に由来する場合、字源は次の通り。(インダス文字の音声は、筆者の解釈)


(文字) (字源/イメージ)


 A     双斧(ax)。インダス文字のAが源流と見られる。

 E     インダス文字のEに酷似。

 I     焚火(漢字「火」に酷似)。線文字 AのI/ HIの字源は、松明。

 O    HOと解釈すれば、麦などの「穂」だろう。

 U    ウサギ。


 KA    貫いた矢で「貫通」。

 KE    「毛」。

 KI    線文字Aの「KI」と同じ字源(リュトン、角型杯)で「器」。

 JA 「JA」と発音した直後の口の形。

 LA    ライア(楽器)。

 LE    8の字で「連鎖」を表現。

 LO    線文字A、またインダス文字の「RO」。

 MA   「橋」の記号の様に、平行な縦2本棒の上部の隙間に小さな「V」。「間」を表すのだろう。

 MI    左右に垂れ下がる、ウサギの耳。

 NA    線文字Aの「NA」(字源は、涙)を簡略化。

 NE    狭い通路を走り抜けたネズミの軌跡。

 NO    インダス文字の「NO」と同様。

 NU 織物の「縫い目」。線文字Aの「NU」と同じ字源。

 PA    線文字Aの「PA」と同じ記号で、字源は歯。 

 PO    線文字Aの「PO」(乳首=紅)を斜めにした。

 PU    線文字Aと異形だが字源は同じで、竪琴。

 R行    本来、キプロス祖語にないRの発音を図解した。巻き舌(RA・RO)、舌の位置(RE・RU)等。

 SA    線文字Aの「SA」(字源は、三)を簡略化し「V」に。

 SE    線文字Aの「SE」。

 SO 「O」の下に横棒を加え、「底」を表現する。

 SU    線文字Aの「DU」(牛)を簡略化。

 TA    線文字Aの「DA」

 TO    「F」で泊 (ふなどまり)。

 TU    津(船着き場)。 

 WA    線文字Aの「WA」を簡略化し、銅などのインゴットの形にした。



 II.キプロス音節文字の原典(NYメトロポリタン美術館の所蔵品から)


 何れもMet Art Cypriot syllabaryで画像検索すると登場する。


 1.台形(5角形)の石板(紀元前3世紀)


 英国の研究者Philippa Steeleの著書「Writing and Society in Ancient Cyprus」の表紙にも写真が登場する。(著書名で画像検索が可能)

 石板は石灰岩。上3分の1を仕切る「床」が描かれ、上の階には人が座り、下の階では、二人の男が向き合い、これから両手を引きあうかの様な仕草。二人の間にツルハシが置かれており、二人は半ば閉じ込められた状況と見られる。

 下の階の右側には、キプロス音節文字が3段にわたり刻まれており、この文字列を日本語として解読した。 


(1)ローマ字変換(登場する順番のまま)


「・」には、線文字Aの場合と同様に「I、JA、SI、NO」から補充する「癒しのルール」を適用した。また幾つかの記号は、合成記号と推定される。


(上段)(JA) O TE I TO (SI/JA) MI TE I JA KA


(中段)(JA) RI TE (SI/JA) PE (I/JA) O (JA) RITE LO KATI A TO


(下段)(JA) KA RUNO MI


(2)日本語解釈


(ア)上段


(左から右へ)「お手、いとし」「やめて」「いやか?」


(右から左へ)「早い手を見て、やっといておや」


(イ)中段


(左から右へ)「やり手氏、夜番をやっていろ」「貸しな、と」


(右から左へ)「と(ツルハシ)預かりおいてや。お、夜這い事しているや」


(ウ)下段


(右から左へ)「実るのかい?」


(左から右へ)「いや、刈るのみ」


(3) 全体像


 ツルハシを使う作業に人を引き込む場面だろう。炭鉱とも見られるが、むしろ二人は囚人であり、片方が、ツルハシで穴を開けて逃げようと画策し、夜の作業に相棒を引き込もうとしている。すると右手の人物の背後の「大きな台」は、壁に掘るべきトンネルの輪郭であり、上の階の人物は看守。以上、解読した内容を繋げれば、


「お手、いとし」。「やめて」。「いやか?」。早そうな手を見て、「やっといてや、やり手さん、夜番をお願い」。「貸しな」と(ツルハシ)預かって。「おい、夜這い事しているけど、この作業は実るのかい?」。「いや、掘るのみだ」。


 二人は共謀しているが、ツルハシは1本。夜中なので、どちらが掘り続け、どちらが休むのか、もめている。



 2.片側に庇の突き出た、石灰岩のオブジェ(紀元前5世紀)


「Met Art Cypriot syllabary」で画像検索すると最初の方に登場する。醤油つぎの様な形で、3行にわたりキプロス音節文字が刻まれている。


(1)ローマ字変換


(上段)TETA WO TO SE O TI TO

(中段)SA I A NO

(下段)[TORA] ZO JE TI E


(2)日本語解釈


(ア)上から下


 右端の記号だけ上から下へと追えば、「殿へ」。


(イ)右から左


(上段)年の瀬と/年の生徒 尾立て/の縦

(中段)の挨拶(最後のTUは、オブジェ全体の形から)

(下段) へ知恵ぞ トラ (左端の記号+ZOに限り、線文字A風に読めばTO+RA、しかも2つの記号でトラを描いている)


 繋げれば「年の瀬と/年の生徒、尾立て/の縦 の挨拶に知恵を出しました。トラ」。オブジェの突き出た部分が「尾」だろう。


(ウ)左から右


(上段)縦、落とせ、をちと

(中段)さ言い、あの

(下段)トラぞ、入れ知恵


 繋げれば「縦に落とせ、をちとさ、言い。あのトラから入れ知恵です」。


(3)まとめ


(ア)上記の「縦の挨拶」や「縦、落とせ」に従い、オブジェを90度、反時計回りに回転させて庇の部分を上にすると、「へのへのもへじ」の乗りで絵を描いている事が確認できる。文字列の中段と下段の間に微妙に線が引いてあり、左右に人の顔が描かれている。

 左側は、鼻の尖った人物の顔で、目をつむり、何か飲もうとしている。ストレス過剰気味で、さしずめ酒をあおるところ。顔の下の文字列WO-TATEは、TIKA-NETE(ギリシャ語で「お元気ですか?」)と読み換え可能。

 この様に読み換える場合、上段の文字列は、「NETE TIKA TO SE O TI TO」となり、右から左へ「年の瀬と 尾立て/貸してね」、左から右へ「寝て勝ちとせ、をちと」。


(イ)全体像は「年の瀬と/年の生徒 尾立て/貸してね/の縦 の挨拶に知恵を出しました。トラ。縦に落とせ/寝て勝ちとせ、をちとさ、言い。あのトラから入れ知恵です」。トラは「年の生徒」である事が窺われる。

 これに対し、右側に登場する顔は、かなりのユルキャラで、テンションの低い様子。酒を飲み、気分が良いのだろう。顔の下の文字列で、トラらしき4つ足動物を描いている。


(ウ)文字列で日本語を記述したと仮置きすれば、O= TAIL、TATE= STAND/VERTICAL、またTORA= TIGER= DRUNKARDと解釈される。

 オブジェ全体をトラと見做せば、尾が立っているので、「尾立ての挨拶」に適合。また「縦の挨拶」や「縦、落とせ」に従い、オブジェを回転させると漫画が登場するので、指示内容を正しく読んでいる事が認められる。この様に日本語として読めば、オブジェの風変りな形状が理解できる上、隠された漫画に到達出来るので、「日本語」の前提は正しいだろう。

 この漫画のうち、右側の顔がミノア人の生徒。左側の顔が先生で、ギリシャ人。ギリシャ語を習っていた可能性があろう。

 なお(右側の顔の漫画のすぐ下)下段の左側の文字列は、線文字A風に読んでTO+RAとし、同時にトラの姿を描いたのは、作者がミノア人、あるいはミノア人に酔っ払いのイメージがあったから、と考えられる。

 仮に12支で年を数えていた場合、ちょうど年の瀬で、生徒が寅年、あるいは当年/翌年が寅年で、オブジェは、生徒から先生への正月用の贈答品とも推測される。


 

 3.三角形の石板(右側に肩をはだけた男性の半身像)(紀元前3世紀)


 男性の衣服や左側の文字列が、赤く塗られている。文字列は3段に刻まれており、次の通り。


(上段)A RO O SI NA O

(中段)KA I TO SALO TE NE SO

(下段)TE LO KA I TO


 右から左へ読めば、「オネシラスは、すねて去ろうとしているのか? ……と怒りながら/ 問いながら」。

 ヘロドトスの「歴史」第5巻によれば、(紀元前499年)アナトリアでアケメネス朝ペルシャに対する「イオニアの反乱」が勃発し、キプロスでは、サラミス王のオネシラス(Onesilus)が首謀者となり、島全体を動員しようとした。しかし、アマサス王国が例外的に参加を拒否したので、オネシラスはアマサスを攻撃。その後、反乱は鎮圧され、彼は殺害された。

 従って石板の男性は、オネシラスと推定される。衣服などが、赤く塗られているのは、上段に記載の「オネシラス」を「女シラス」と揶揄している可能性があろう。アマサスで作成された物と推測される。



 4.女性の足先の乗った、石灰岩の台座(紀元前4世紀末期-前2世紀)


「Limestone plinth with the feet of a female statuette」で写真が検索可能。側面が基本的に長方形であり、そこに上下、2段にわたり、キプロス音節文字が刻まれている。

 右端の上部に突起部分があり、そこにサンダルを履いた人の右足先が彫られている。この突起部分の右端に親指があり、その左手上部に鼻緒、左側が残りの指だろう。親指の爪の部分だけ、色が濃い様に見える。


(1)上段の文字列


 左側の記号は、かすれて読めないので、右側5つの記号に限定して解析する。そのすぐ左隣に、区切りの「・」が見られる。


(ア)記号の音価


 5つの記号に、左から右へ、①から⑤の番号を付せば、それぞれの音価は、次の通り。


 ① 曖昧な母音:A/I。


 ② 縦棒3本:MI/SA。


 ③「‹ 」の左側にかすれた縦棒:近似値として、NU。縦棒を無視すれば、キュプロ・ミノア文字風に、U。従って、NU/U。


 ④ TE。あるいは[SA+ (I/YA/SI/NO)]/ TI+ (I/YA/SI/NO)。


 ⑤ TAの横棒が右に伸び、先端が下に折れるので、TA-NOBI- (I/YA/SI/NO)。または簡略に、TA- (I/YA/SI/NO)。


(イ)解読


 A/I  MI/SA NU/U TE・[SA+ (I/YA/SI/NO)]/ TI+ (I/YA/SI/NO)

 TA- (I/YA/SI/NO) + (NOBI)


(a)右から左へ


 〇 たびのや さやちの う みあい(旅の屋、さや地の、海あい)

 〇 たのしさの ぬ/う みあい (楽しさの、飲み合い/生み合い)


(b)左から右へ


 〇 あい さうて しのびた(相添うて、偲びたい)

 〇 あい さみ ぬ さやちや のた/のびたや(相/愛、醒めぬ、さや地や。飲んだ。伸びた)

 〇 いや みぬ さやちし のびたい(いや、見ぬ、さや地、偲びたい)


(ウ)まとめ


 合わせれば、「旅の屋、さや地の海あい。相添うて、偲びたい。楽しさの、飲み合い/生み合い。相/愛の醒めぬ、さや地や。飲んだ。伸びた」。「いや、見ぬさや地を偲びたい」。

 この文脈から、オブジェ全体が、酒器/水筒に見える。さや地とは、理想郷/天国だろう。


(2)下段の文字列


(ア)記号の音価


 9つの記号に、左から右へ、①から⑨の番号を付せば、複音節の合成記号について、音価は次の通り。(④~⑥は単音節)


 ① 通常、Aと捉えるが、上下に向かい合うTIの記号とすれば、TI-(NI/RA)。従って、A/ [TI-(NI/RA)]。


 ② (α) 中央の長い縦棒を (I/YA/SI/NO)、左右の短い縦棒をNI/RAとすれば、 (I/YA/SI/NO)-(NI/RA)。

(β) 読み換えとして、中央の長い縦棒を、NAGA+ (I/YA/SI/NO)とする。


 ③ SAの中央に縦棒を加えたもので、SA+ (I/YA/SI/NO)。


 ⑦ Iの上部に短い縦棒があるので、I-(I/YA/SI/NO)。


 ⑧ KSA (XA)を斜めに書き、中央を線で結んだもので、KSA- (I/YA/SI/NO)。


 ⑨ TAの横棒が、右に伸びるので、TA+(NOBI)。


(イ)解読


(a)左から右へ


 ② (α) の場合:


  A/ [TI-(NI/RA)]  (I/YA/SI/NO)-(NI/RA) SA- (I/YA/SI/NO)  TA NA KO

 I-(I/YA/SI/NO) KSA- (I/YA/SI/NO)  TA+(NOBI)


 〇 あちら屋に/恥じらいに 咲いたな。恋や、咲いた/この言いぐさ、伸びた。

 〇 荒れ地に、死の沙汰なくし 戦の頼み。

 〇 走らん、矢来さ、店子や、この戦の頼み。


 ② (β)の場合:


 A/ [TI-(NI/RA)]  NAGA+ (I/YA/SI/NO)-(NI/RA) SA- (I/YA/SI/NO)  TA NA KO I-(I/YA/SI/NO) KSA- (I/YA/SI/NO)  TA+(NOBI)


 〇 散らん、流れ矢の沙汰。泣こうや、戦やった。野火。


(b)右から左へ (ここでは、②の(a)を省略し、(b)を活用)


 TA+(NOBI)  KSA-(I/YA/SI/NO)   I-(I/YA/SI/NO)  KO NA TA

 SA- (I/YA/SI/NO) NAGA-(I/YA/SI/NO)-(NI/RA) A/ [TI-(NI/RA)]  


 〇 タビ/旅の 際/臭い/言いぐさ。いや、こうなった/良い子なのだ。

 さように流し/いざ長屋に、あちら。


 〇 伸びた戦。いや、こうなのだ。矢さ、流れ矢。野に散らん。


(ウ)まとめ


 以上をまとめれば、2通りの解釈ができる。


(a)旅したタビ


 旅のタビの臭い、言いぐさ。「いや、こうなった」。「良い子なのだ」。さように流し、「いざ長屋に、あちら」。

 あちら屋に/恥じらいに、咲いたな。恋や、咲いた。この言いぐさ、伸びた。


 この文脈から、台座に右手に乗るのは、鼻緒の綺麗なサンダルと見られる。当時、足の親指の爪にマニキュアする習慣があり、サンダルを脱ぐと、花が咲いた様に見えたのだろう。


(b) 戦死


 走ろう! 矢来さ、店子や。この戦の頼み。荒れ地に、死の沙汰なくし、戦の頼み。

 伸びた戦。いや、こうなのだ。矢さ、流れ矢。野に散らん。流れ矢の沙汰。泣こうや、戦やった。野火。


(3)総合


 以上を合わせれば、次の通り。


(ア)上段


「旅の屋、さや地の海あい。楽しさの、飲み合い/生み合い。相/愛の醒めぬ、さや地や。飲んだ。伸びた」。「いや、見ぬさや地を偲びたい」


(イ)下段


(a)戦死


「走ろう! 矢来さ、店子や。この戦の頼み。荒れ地に、死の沙汰なくし、戦の頼み。伸びた戦。いや、こうなのだ。矢さ、流れ矢。野に散らん。流れ矢の沙汰。泣こうや、戦やった。野火」。


(b) 旅したタビ


 旅したタビの臭い、言いぐさ。「いや、こうなった」。「良い子なのだ」。さように流し、「いざ長屋に、あちら」。

 あちら屋に/恥じらいに、咲いたな。恋や、咲いた。この言いぐさ、伸びた。


(ウ)まとめ


 この石のオブジェは、墓碑であり、故人の職業が、サンダル作りだった事を示唆している。生前、故人を交えて集まり、あるいは飲み会するのが常だった。戦死した故人が、集まった家族や親戚、友人に向かい、亡くなった経緯について語っている。


(4)彫刻と漫画


(ア)オブジェ全体が、酒器/水筒に見える。またオブジェの右上の「花」は、サンダルを履いた足先になっている。


(イ)「旅したタビ」の中で、「この井草、伸びた」とも読み取れるが、下段の②の記号が、これを表現している。当時は、井草で、サンダルを作ったのだろう。


(ウ)下段で、記号⑦(Iの上部に短い縦棒)の左下に、丸く小さな穴があるが、そこに着目しつつ、石のオブジェの写真を左に倒すと、その穴が鼻先に(ANAがHANAに)変貌を遂げ、故人の顔が現れる。顔は細長く、下に身体が描かれている。矢傷を探せば、左から腰に刺さる矢が見られ、首の辺りにも矢が刺さっている。なお上段の②の記号は、矢来を象っていよう。



 5.男性の足の乗った石灰岩の台座(紀元前6世紀の半ば乃至後半)


「Limestone plinth with the feet of a male statuette」で検索可能。Cesnola Collection の番号が 74.51.2336。薄い石板の上に、男性と見られる人物の左右の足が乗り、足首の手前まで彫られており、左足が少し前に出ている。両足の隙間には、キプロス音節文字が3行、刻まれている。


(1)変則的な記号の音価


(上段)


 〇 左から2番目、右から3番目の、長い縦棒:I/YA/SI/NO


 〇 右端の記号:曖昧なので、A/E


(中段)


 〇 左端:通常、I/ HI。読み換えは、Xの上部に短い縦棒と見做し、I-KSA。


 〇 左から2番目:簡略な速記体と見られるので「繰り返し記号」と解釈。


 〇 左から3番目:REにも似ているが、KOの下に2本の斜線と見做し、KO-(NI/RA)。


 〇 左から4番目:コロン(:)の様に、点が2つ並ぶので、NI。


 〇 左から6番目:2本の平行線が、長い斜線に乗るので、RASI。


 〇 右から2番目:短い平行線(NI/RA)が繋がり、斜めの「コ」の形。後者は、インダス文字からの類推もありWAとすれば、(NI/RA)-WA。


 〇 右端:第一印象では、TI。しかし三角屋根(KO)の下に、縦棒と解すれば、KO-(I/YA/SI/NO)。


(下段)


 〇 左から3番目:XAの中央に点。加えて右上に交差する斜線があるので、KSA-NO。


 〇 左から4番目:第一印象では、A。但し下部をTI、上部と支えの縦棒によるフォーク形で(線文字A風に)REと読めば、RETI。


 〇 右から3番目:KOの下に点が2つ、横に並ぶので、KO-(NI/RA)。


 〇 右から2番目:REだが、三角屋根の左右に短い斜線があるので、線文字AのMAを想起し、REMA。更に、屋根の右側を描く斜線の上部が、左上に突き出ているので、NOREMA。


(2)解読


(ア)ローマ字変換


 中央寄りの文字列クラスター3行を対象にすれば、左から右へ、並ぶ順番に従い、次の通り。(石板の左端、右足の小指の前辺りに記号が幾つかあるが、読解困難にて取敢えず省略)


(上段)


 SE I/YA/SI/NO SE TE KA SE I/YA/SI/NO KO-(I/YA/SI/NO)   A/E


(中段)


 I-KSA (々) KO-(NI/RA) : TE RASI  I/YA/SI/NO      

 I-KSA  (NI/RA)-WA  TI/ [KO-(I/YA/SI/NO)]


(下段)


 HI/ (I-KSA)  I/YA/SI/NO KSA-NO A/ RETI I-KSA KO-(NI/RA) NOREMA I-KSA


(イ)左から右へ


(上段)


 せいぜん で かぜ の こいは

 生前で、風の声は


(中段)


 いくさ (ひくさ)こら に て らし や いくさにわ いこう

 戦さ、引くさ。子らに 照らしや、戦さには行こう


(下段)


 ひ の くさの あれち いくさ にこ/ こら のれま いくさ

 日/ 火の草の荒れ地、行くさ。戦さに行こう。こら、乗れば、行くさ  


(ウ)右から左へ


(上段)


 A/E  KO-(I/YA/SI/NO)  I/YA/SI/NO SE KA TE SE I/YA/SI/NO SE

 あやこ のせ かてせ のせ

 やや子 乗せ、  肩背、乗せ/ 勝たせの戦


(中段)


 TI/ [KO-(I/YA/SI/NO)] (NI/RA)-WA   I-KSA 

 I/YA/SI/NO RASI TE : KO-(NI/RA) (々) I-KSA

 いこう にわ いくさ/ この らんわ くさいし/ いくさ

 し らし てに にこにこ いくさ


 行こう、庭の戦さ/ この乱は臭いし、戦さの知らせ手に、ニコニコ行くさ。


(下段)


 I NOREMA  KO-(NI/RA)  I-KSA  A/ RETI  KSA-NO  I/YA/SI/NO

 I-KSA

 いのれ まあこら いくさ あれち くさの の いくさ

 祈れ。まあ、こら逝くさ。荒れし、草野の戦さ。


(3)まとめ


 以上、解読した内容を繋げば、次の通り。


 生前で、風の声は、「戦さは、引くさ。でも子らに 照らしや、戦さには行こう。日/ 火の草の荒れ地を行くさ。戦さに行こう、こら、乗れば行くさ。やや子 乗せ、肩車。勝たせる戦さだ。行こう、庭の戦さ。この乱は、臭いらしいので、ニコニコ行くさ」。

 祈れ。まあ、これは逝くさ。荒れし、草野の戦さ。


 兵士として出征した人物の人生が、二重写しで、幼い子供を肩車に乗せ、「出征遊び」する場面で始まり、途中から、その後、本当に従軍して戦死した旨語られている。 以上を踏まえ、両足のポーズを改めて見れば、右足を引くのは「戦さは、引くさ」と、躊躇する仕草だろう。


 従ってこの石板は墓碑であり、左端(右足の小指の前)に散見される記号は、作成者のサイン、もしくは戦没者の名前だろう。


(4)漫画


 この文脈に因み、石板には、次の様な漫画が隠れている。


(ア)順方向


 〇 上段の文字列の左端には、SEの記号が2つ、ほぼ連続して刻まれているが、子供を肩車するイメージ。


 〇 下段の文字列の右寄りには、子供の顔が隠れており、右から3番目の記号で、屋根(KO)の下に点が2つ並ぶ、KO-(NI/RA)が、鼻である。


(イ)逆方向


 石板の写真を上下、逆に見ると、次の通り。


 〇 「上段」の文字列が逆さになり、多数の縦棒が一列に並ぶ様に見えるが、塀の向こう側に見える槍の列で、兵隊の行進。


 〇 右足のすぐ先で、文字列の右端寄りに、白骨化して歯や目の目立つ、頭部の漫画が現れる。頭の左側上部に、バツ印で深い傷が入っているが、「これは逝くさ」の致命傷だろう。


 〇 両足の間には、上記の頭部の漫画と同じ大きさで、肩車された幼子の顔が登場する。歯が生え揃わないため、下顎から牙が2本、突き出ており、鬼の様に見える。



 6.金の腕輪(紀元前5-6世紀)


 丸く、とぐろを巻く金の腕輪で、オリジナルは、1887年に盗難に遭い、NYメトロポリタン美術館(展示室176)の所蔵する物は複製品。(Cypriot braceletで検索)14もの記号が端に向かって刻印され、音声を再現すれば次の通り。(読みにくい記号は、合成記号と解釈した)


(先端)KSE-NU TE WA NU RO [・] NU PA PO PA LISI/SILI KA-SA SE


 右から左へ「せかさし りし/しり ぱぽぱ(し)ろぬ わて ぬくせ」

 左から右へ「せぬては ぬろ(し/い)ぬ ぱぽぱ りし/しり さかせ」


(1)聖地パフォス


 PAPOPAとの文字列に着目し、キプロスの主神アフロディーテの聖地、パフォスと解釈すれば、


 右から左へ「世間を知り、パフォスの主を知らぬは、手抜きだぜ」

 左から右へ「(お参り」せぬ手は 呪い死ぬ。パフォスは走って探せ」。


(2)親の遺産


 右から左へ「せかさず 利子は追わぬし 知らぬ わって 抜かすぜ」

 左から右へ「先代は 呪いぬ。あとは 利子 咲かせ」。


 右から左へ読む内容は、子供が遺産を意識し、親の生きている間に示す態度であり、左から右へ読む内容は、親の死後を想定した子供の本音。おそらく金の腕輪の重複部分が遺産(「利子」)を表し、「きんべん」の賜物なのだろう。


(3)スカトロジー


 右から左へ「せかす尻は覆わぬし、知らん顔しても臭いぜ」

 左から右へ「あらぬ手は濡らし、箱で尻を捜せ」。


 金の腕輪がとぐろを巻く形なので、「勤勉」の象徴か。



 III. アマサスの石板



[ICS192] 英国 Oxford大学 Ashmolean博物館所蔵。


 Artemis Karnava 「The Syllabic Inscriptions of Amathous: Past and Present」のネット版に写真。4行にわたる文字列が、欧米の研究者によりローマ字変換されており(サイトは History, prehistory and the languages of Cyprus)、これを元に日本語として解読すれば、次の通り。


(右から左へ)


 WI-TI-LE-RA-NU-[・]-TA-NA-[・]-MU-NO-TI

 A-I-LO-[・]-E-KI-YA-NO-TI-[・]-MA-NA-KO

 TO-U-[・]-PA-KI-MI-RA-NU-[・]-TA-NA-MU

 NO-TI


 語尾に何回も「NO-TI」が登場するので、これを「の地」と解釈し、[・]を「い」、「や」、「し」、「の」で補えば次の通り。Aは、HAとも読むだろう。


 ういてれらぬ [や] たの [し] むの地

 は/あ いろ [や/の] えきやの地 [や] まなこ

 とう [い] わきみらぬ [や] たのむ

 の地


 浮いてばかりでないのは、楽しみの地

 入ろうや、隘路の駅屋の地は、眼で遠くから見据え、

 脇を見ずに向かう 頼みの地


「隘路の駅屋の地」に関し、キプロス東部で、角の様に細長く突き出たカルパシア半島の南、奥深くに位置するエンコミ(ENKOMI)と解釈すれば、青銅器時代、銅の取引された重要都市で、アラシヤの中心地と見られる。


(逆方向)


 次に末尾から逆方向に読み、[・]を「い」、「や」、「し」、「の」で補いながら、日本語として解読すれば、次の通り。


 ちのむのた [や] うらみ きわ [し] うと 

 こなま [い] ちの やきえ [の] ろい あ/は

 ちのむ [し] のた [や] ぬられている


 血を飲むのだよ、恨みを詳しく言うと

 この町、エンコミの焼き枝の炉/牢屋は、

 血を飲む死の田で、毒が塗られている。


 エンコミでは銅の製錬も行われており、「炉」/「牢屋」を銅の製錬場と解釈すれば、銅の摂取過剰により、従業者に喀血等の症状が発生していたと推測される。この様に双方向から読み、テーマがエンコミと理解できる。因みに上記I.で取り上げた、キュプロ・ミノア文字の原典は、エンコミで出土しており、やはり銅の製錬場の話だった。



[ICS 193] 1895年、J.L.Myres教授により英国Oxford大学のAshmolean博物館に寄贈されたもの。AN118。


 4行にわたり、鮮明にキプロス音節文字が刻まれているものの、ローマ字転換が未着手。J.チャドウィックやJ.オリヴィエの音声表に基づき、我流でローマ字転換を試みたら、混同しやすい記号があり、また予想外に(二音節の)合成記号や読み換え記号が多く、煩雑な作業となった。以下、文字の登場する順番通り。


 ・NA MA・ KI JA WITE KI E・ SA  KORO ・SI TA・NA A 

 RA  LAKO KOSU/KORE ・ NA MA RI MA KI E ・ I PO A

 MO NA  PA ・ NA  KA NE E/EXA ・ MI・ NI  KA MI I

 KA NA PI JA LI WA  KA ・ WI/NE RA TA ・O・ NI KA


 1.左から右へ


「・」につき、線文字Aの場合と同様に適宜「い」、「や」、「し」、「の」で補っていく。


 なま(い)きやういて きへ(し)さん ころ(・)した(い)なあ

 らら ここす(や)ナマリ まきえ(や)い ポア

 もなぱ(の)なかね え(・)み(し)にかみ い

 かなぴやり わか(い)うぃらた(し)お(や)にか


 生意気や、浮いて消えた奴、殺してやりたいな。

 あらら、ここ巣や。鈍る薬、まき餌だ。やい浮いてこい!

 藻場の中ね。笑みし、死に神!

「行かない槍、若い!」 笑ったし、親父か!


 1行目のTEが、行の並びから突出しているが、「下向きの矢印」に似た形なので、突然、浮いてきた魚を表現していよう。2行目のナマリは魚を麻痺させる薬物で、水に溶かしたのだろう。(毒もみ)

 3行目に「死に神」が登場するが、石板の中央を良く見ると、どくろの様な顔が描かれている。すなわち2行目のRI-MA-KIの連なりでRIとKIが両目、間のMAが鼻、3行目、すぐ下のEが口、4行目中央のKAが顎で、笑みを浮かべている。文脈から、水面に映る父親の顔と判明する。

 また3行目の連なり「・MI・」で、目を吊り上げ(槍で)魚を狙う人の顔が描かれているが、おそらく子供。4行目の連なり「・O・」でやはり人の顔が描かれており、父親だろう。 


 2.右から左へ


 2行目のKOSUは、KORE、3行目のEはEXA、4行目のWIはNEと読み換えました。また「・」につき適宜「癒しの」ルールを適用。


 あな(い)たし(・)ころさ(ん)生きている やき(の)まな(や)

 あほい(・)え きまけ まな(や)これ こら ら

 いみかに(の)み(や)えさ ねえ かな(し/い)はなも

 かに(や)お(い)たらね(・)か わりや ぴなか


 ああ、痛い! 殺すな、生きている。焼いてはならぬ。

 アホ言え、気負けしてはならぬ! これ、子供ら、

 ライムに/来身(来世)は、カニの身だ。餌ねえ/かな、悲しい。イワナも/花藻

 カニだ。いたらね、代わりに火の中に。

(老いたら、寝ようか? 替わって、火の中に)


 河や湖に子供を魚捕りに連れて、野宿した話。最後の「火の中に」では、自分を魚などに例え、無駄な殺生を戒めている可能性があろう。


 3. 上から下へ


 次に右端から、最初の6行を上から下へと(「・」を飛ばしながら)読めば、次のとおり。ここでは1行目の合成記号「ころ」を「つ」と読み換えました。


 ああいか なぽみに たいかお しえにた つきみら さまえね 

 ああ火か、なお見えた。焚火を教え、眠ったのだ。月を見れば、思いがさまようね。


 主人公は、夢うつつで、この日を回想している。


 4. 結論


 子供が父親に連れられて湖や川で魚をとり、野宿する話で、文字が活字風に整然と並んでいる事もあり、子供にキプロス音節文字の読み書きを教える教材とも考えられる。

 例えば「・」には、適宜「癒しの」ルールを適用しつつ読むべき事を平易な事例で示している。また合成記号につき注意喚起し、同音異義語や掛け詞の多様性も指摘している。読む方向も、左右双方向に加えて上下も試すべき旨、示唆に富み、完成度が高い。文字のクラスターで描かれた漫画を発見するのも一仕事である。



[ICS194] 音声不明な箇所が多いが、在アテネ・フランス学院のMassimo Pernaが「La grande inscription d’Amathonte (ICS 194+195)」で、Masson(1961)やPerna(2018)のローマ字変換例を掲載しており、これを元に日本語として解読した。


(右から左へ)


(1) TU-[・]-?- A-LI-RA-NI-[・]-O-I-TE: TU-SU-[・]-TA-LE-YA-(?)- PA-KU-KE-[・]-A-NO-TI-[・]-?-TA-SO-TI


 TU-[YA]-?- A-LI-RA-NI-[YA]-O-I-TE: TU-SU-[NO]-TA-LE-YA-(?)- PA-KU-KE-[YA]-A-NO-TI-[NO]-?-TA-SO-TI

 つや、ありらに やおいて:とおすのたれや(と)ぱくけや あのちの(み)たそち

「ところで、あちらに矢を射て、通すのは、誰か」と聞けば、あの地でお会いした、そなたではないか。


(2) A-PU-?-PI-()-O-I-TE-()-A-:PI-?-MA-[・]-PI-NA-()-A-SO-NA(?)-TU-KA-I-MI-NO-NA


 A-PU-?-PI-(YA)-O-I-TE-(SI)-A-:PI-?-MA-[NO]-PI-NA-(YA)-A-SO-NA(NO?)-TU-KA-I-MI-NO-NA

 はく(い)きにおいて、矢を射たのは:ぴ(?)まの雛や アソナの使い、ミノナ

 誓って、矢を射たのは、キ(ジ)マの民、アソナの使い、ミノナです。


(3) A-YA?-I?-A?-?-?-KO-TI-()-A-:NA-[・]-TA-I?-()-A-SO-NA-()-TU-KA-I-MI-NO-NA


 A-LA-SI-YA-?-?-KO-TI-(JE)-A-:NA-[NO]-TA-RI-(TO)-A-SO-NA-(NO)-TU-KA-I-MI-NO-NA

 アラシヤに……こちらに御出でとは。何と運の良い、アソナの使い、ミノナです。


(4) TU-MI-RA-[・]-O-I-TE-[・]-I-MI-KA-NI-()-O-I-TE-[・]-TA-KO(?)-E-NE-MI

 -NA-()-O-


 TU-MI-RA-[SI]-O-I-TE-[YA]-I-MI-KA-NI-(YA)-O-I-TE-[SI]-TA-KO(KU)-E-NE-MI-NA-(SI)-O-

 積み出しを置いて、死に神に矢を射て、支度。エンコミ市を


(5) I-TE-[・]-TA-RA-WO-[・]-E-NE-MI-NA-[・]-SE?-LA?-WA-TI-KE-[・]-MU-SO-TI


 I-TE-[NO]-TA-RA-WO-[YA]-E-NE-MI-NA-[SI]-SE?-LA?-WA-TI-KE-[I]-MU-SO-TI

 目指して乗ったら、おや。「エンコミ市へ?それは失敬」に、笑むそち。


 ヘロドトスの「歴史」に類似の話があり、アテネとペルシャの対立激化を背景に、アテネの船隊がエフェソスに入り、内陸を遡ってペルシャ傘下のサーディス(Sardis)を焼き払ったところ、ペルシャ王ダリウスは、報告を受けて空に向かって矢を放ち、「神よ、我にアテネ人を懲らしめさせん」と叫んだ由。

 なお出航時に何故、矢を射たかについて、逆方向に読めば「波がなかったから」と理解出来る。


(逆方向)


(5)潜むし、ケチ。笑わせるくらい、波ねえや。笑ったのって、言

(4)おうや。波ねえからって、言おうや。しかも二回目だって言おう。やたらに密

(3)なノミに勝つ謎が解けたぞ。何とチコ……かしら。あ

(2)あんなノミに勝つのだぞ。あや、波の増し日に走って行こうや。(ピプ)は

(1)きそうだ。ミノ地が危ないので、やれたのですって言おうや。やけに舌が回らない。


「ミノ地」はクレタ島とも解釈可能。故郷で疫病が流行り、二回目の航海は逃避目的。しかし気分悪く体調不良で、症状が出ている可能性も、と読める。

 この様に逆方向に読んでも、日本語として同じ文脈で理解出来るので、作者の意図と推定される。


[2か国語テキスト(ICS196)⇒ 別稿へ] 



 IV. まとめ



 キュプロ・ミノア文字は、線文字Aから派生したと見られており、日本語として解読可能である。キプロス音節文字は、その子孫に相当するが、NYのメトロポリタン美術館の石板等、「キプロス祖語」と理解される一連の原典を日本語として解読したら、付随する漫画やイラストが、文脈や内容と符合し、明白な裏付けが得られた。

 更に、アマサス出土の「2か国語テキスト」のキプロス音節文字の記述を日本語として解読したら、併記されたギリシャ語と符合した。従って「キプロス祖語」は日本語、との結論である。 

 他方、線文字Aと同様に「・」に遭遇したら、適宜(い、や、し、の、何れかを代入する)「癒しの」ルールを適用するが、裁量の幅が大きいので、「同様に柔軟なルールを許容したら、他の言語でも解読可能では」との批判もあろう。

 しかし「・」につき、句読点と捉えても、原典の文字列が日本語に見える場合が多く、その中には、2か国語テキストも含まれる。更にキプロスの古代文字に「癒しの」ルールを適用すれば、左右双方向に読んで、一つの文脈で解読可能になるのが、日本語を当てはめた場合の特徴である。

 キュプロ・ミノア文字及びキプロス音節文字のIの記号は、それぞれ焚火を表し、線文字AのI/HIは松明を表すが、日本語なら説明可能である。

 クレタ島では紀元前1450年頃、線文字Aが失われ、換わって線文字Bで古代ギリシャ語を表記する様になった。キプロスには、紀元前1200年頃から移民と共にギリシャ語が入ったが、ギリシャ文字が伝播した後も、キプロス音節文字は使われていた。この様な文字の併用状態が、ペルシャ戦争を経て、キプロスがエジプトの一部となるヘレニズム時代まで続いたのである。

 そこで日本語の祖語が、地中海東部で最も長い間、独自の文字で記録され続けたのがキプロスで、特にアマサスと推定される。ここの日本語グループが、その後、日本列島に渡来した可能性があり、キプロス出土の埴輪と日本の埴輪が良く似ているのも、状況証拠と見られる。

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