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Ep.57 オープニングセール その20

●前回のあらすじ:

裏通りの顔役の使いが現れ、勝負の条件として竹槍百本、一週間での完売を提示してきた。

店主は、竹槍は武器屋で扱いような商品ではないと絶望した。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに

・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?

●その他の人物:

・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)

・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。


本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。


「そ、そんな。あまりにアンフェアじゃないですか!」


 営業マン風の男は、竹槍の束に戦慄した。だが、地味な女社長は彼を制して言った。


「待ちなさい。……分かったわ。良いじゃないの。この竹槍をきれいサッパリ売り捌いたら、顔役さんはウチの傘下に。つまり、ここの裏通りはウチが仕切る……」


「へえ……、ですが、もし売れ残ったら、この通りから撤退していただく……」


 店主は驚きの声を上げた。


「え!そういう約束なんですか?全く良くありません!だ、だって、竹槍なんて絶対に無理です!こんなの竹を斜めに切っただけの尖った棒っきれですよ?商品じゃない……」


「やってみなくちゃ分からないでしょ?」


「せっかくこの通りに戻って来たんです。オープン当日にそんな無茶な勝負を仕掛けるなんて、どうにかしてます!」


「意気地なしね!」


「それでも大事な場所です!」

 

「あのねえ、もうサイは投げられたの。覚悟を決めなさい覚悟を!往生際が悪い」


「数日オープンを遅らせればいいだけでしょう?」


「あんたもお店開きたいって言ったじゃないの!あー、もうっ!ぐだぐだ言わない!社長命令よ!はい、君、承ったから行った、行った!」


 社長は、顔役の使いで来た汚い男を促すと、男は懐から紙を差し出した。


「へえ。では、この承諾書にサインを……」


 社長が紙に書かれた内容を読むと、それは勝負条件の書類だった。一通り確認して書類に勢い良くサインして突き返した。


「では、勝負開始ということで、顔役さんにお伝え致しやす……!」


 汚い男は、不敵な笑みを浮かべると、通りをもと来た方へと歩いて行った。

 店主は彼の背中を物惜しそうに見つめ、orzのポーズで項垂れた。


「あああああ〜、終わった!ふあああ」


営業マン風の男は「店長さん……」と声をかけ、かがんで肩に手をかけた。そして地味な女社長を見上げた。


「どうするんですか?何か妙案が?」

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

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