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Ep.56 オープニングセール その19

●前回のあらすじ:

店主の元妻とギルド受付嬢の姐さんの口論は、托卵疑惑も仄めかされ、かなり危ない状況になった。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに

・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?

●その他の人物:

・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)

・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。


本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。

 「ギルドの姐さんって、あんなに攻撃的な性格してたのか……。あんなにキレイな女性なのに……。すごい……」


 店主は、ギルド受付嬢の姐さんが女どうしの口喧嘩の中で見せた、ネチネチとしたカウンター口撃に驚いた。しかし、同時に彼女に膝枕をしてもらいながら罵られたいとも感じた。

 全体としては、差し引き彼女への気持ちに対して幾分の自動ブレーキが働いたのを感じていると、近づいてくる一人の男に気がついた。

 その男は、背中に竹の束をたくさん背負っていて、服装はボロボロ、髪も禿げ上がっていた。全体的にみすぼらしく、この辺の住人としては違和感が漂う。

 彼は武器屋の前まで来ると、誰にと言うことなく少し大きめな声で話し始めた。


「あのー、男爵様はおいでで?」


 その声に、営業マン風の男が対応する。


「なんだお前は、その格好で社長に会いに来たのか?」


 汚い男は困り顔で返答した。


「へえ……。顔役さんから仰せ使ったもんで……」


 その言葉に、地味な女社長は反応した。事務長に「ちょっと失礼」と一礼すると、ツカツカと営業マン風の男の前に出た。


「私がその男爵です」


「あれ?フルーツみたいな派手な服を着ていると聞いていたんですが?」


「……派手すぎるから着替えたのよ。で?」


 汚い男は社長の胸に光るブローチの高級感に頷くと、ニヤリと笑って続けた。


「へへへ。そうで御座いやしたか。それはどうでもいいんで御座いやすが、勝負の品をお届けにあがりやした」


「勝負の品?」


「何のことです?」店主も、顔役との勝負という言葉に釣られて集まってきた。

 汚い男は「へへへ」と笑いながら、背負っていた竹の束を目の前に降ろした。


「顔役さんからの言伝ですが、勝負の内容は、この竹槍、百本全てを完売してみせろとのことで御座いやす。期間は一週間で御座いやす」


 驚きの声が、店主の口から溢れた。


「ちょっと待ってください!竹槍なんて農村の護身用みたいなもんです!そんなの武器屋の売り物にはなりませんよ!しかもそれを百本だなんて!」

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

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