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Ep.52 オープニングセール その15

●前回のあらすじ:

店主は、元妻が抱くの赤子が自分の子供ではない可能性を、地味な女社長に伝えた。

社長は着替えるために入った店主の元妻の部屋で、彼女の手帳を見つけた。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに

・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?

●その他の人物:

・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)

・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。


本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。


 地味な女社長は、手を震わせながらも躊躇なく去年の手帳を開いた。彼女には凡そ物怖じというものはない。

 店主の元妻の縄張りを示すかのような、何とも言えない違和感とプレッシャーが、ページをめくったときの空気の塊と共に舞い上がった。

 そのプレッシャーを押しのけて紙に目を落とすと、月別のページの日付欄に、いくつかの記号が書かれているのが解った。無論、女同士であるから、どの記号が「月のもの」か「致した日」の記号なのかは直感的に理解できた。

 社長は、最後に致したとすれば、恐らくこの辺だろうという月を探した。具体的な日にちは、最後の「月のもの」を示すマークと範囲から日付を少し下れば良いだけだから、とても簡単なことだった。


「最後にしたのはこの日か……。その前は……だいぶご無沙汰だわ。あれ?」


 「致した日」を示す記号が、最後のものと、その前のもので少し異なっていることに気がついた。吸い込まれるようにページをめくり、その前、さらにその前と遡る。すると、最後の一回だけ、記号の隣にイニシャルと思しき一文字が併記されていることが判った。


「あ!ちょっと、まさか、これって相手が違うってこと……?誰よ、この『P』って。やだ、ドキドキしてきちゃった……」


 いや、後から妊娠的中を示すために文字を書き加えただけかもしれないわ。……待って、そんなことをする必要ある?そうよ、やっぱり相手がいつもと違ったのよ……!

 社長は一寸動きが止まり、頭の中で思考がループしたが、それを断ち切ってバッグから自分の手帳を取り出した。そして、最後の「致した日」の日付とイニシャルをなぐり書きし、手帳のベルトをホックでとめてバッグにぶちこんだ。あとは元妻の手帳を勢い良くと閉じ、もとの位置へときれいに戻して指差した。


「ヨシっ!」


 土建屋の頭領らしく指差し確認すると、再び鏡台に座った。髪と化粧を整える間、店主への申し訳なさと、どろどろラブロマンスを楽しむかのような感情のいり混じりに葛藤した。


「まさかのまさかよね……。一体どうなっちゃうのかしら……ダメダメ、店長さん悩んでるんだから」


 鏡に向かって、にやけ顔を覆い隠せるような自然な笑顔を何度か練習してから立ち上がり、部屋の出入口のドアノブを掴んで動きを止めた。


「それにしても、すごいものを見ちゃったわ……『P』か……」


 そう言って息を吐くと、作り笑いの自然な笑顔でドアノブをひねった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

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