Ep.51 オープニングセール その14
●前回のあらすじ:
突然現れた全身ピンクの服に身を包んだ少女は、盾をピンクに塗装するなどやりたい放題で、店主たちは彼女翻弄されたのだった。
●主な登場人物:
・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに
・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族
・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに
・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役
・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?
●その他の人物:
・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)
・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。
本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。
結局、ピンクの娘の試用は決定通りに行われることになった。営業マン風の男は渋々の合意ではあるが。
彼女に名前を訪ねると、ララ«Lala»と答えた。店主と地味な女社長は、軒先で開店の支度をしながら、ララについて話していた。
「ねえ、何だかんだでララちゃんが来てくれて良かったんじゃない?女将さん、まだまだ赤ちゃんから手が離せない時期でしょ?」
「ええ、それはそうなんですが……」
「ん?どうしたの?」
「まだ確信はありませんし、社長に申し上げるのもあれなんですが……」
「え?」
店主は、ギルドの受付嬢の姐さんが指摘したことは伏せながら、元妻の抱いている子供が他の男の子供かもしれないことを説明した。
「え?嘘?」
社長は焦った。赤子をダシに元妻との再構築を迫ったのは自分だからだ。
あちゃー、托卵の可能性があるってこと?店長さんの子供じゃないなんて、そんな考えは思いつかずにせまっちゃったわよ……あはは、ははあ……。
微妙な空気なったが、営業マン風の男が助け舟になった。
「社長、もうすぐオープンです。すでにお着替えが届いていますので、よろしければお召し物を……」
「あ!そうね。このカラフルな服、あまり印象良くなさそうだもんね!あ、店長さん、まだそうと決まった訳じゃないんだから、気を落としちゃだめよ!ええと、どこか着替える場所はないかしら?」
社長がそう言いながら店の中に入ると、店主の元妻が自分の部屋を使うように申し出た。社長はそれに応じて、化粧道具やらが入ったバッグと、衣類の入った風呂敷包を持って彼女の部屋に入った。
社長の妹が用意した着替えは、いつもの地味な田舎貴族の普段着と言えるものだったが、彼女の気遣いか、その服に見合う程度でワンポイントになりそうなブローチが添えられていた。
「オープン記念と言っても、小さな個人商店だし、これくらいが丁度いいのかもね。ありがとう!」
社長は着替えを済まし、髪と化粧を直すために、小さな鏡が添えられただけの慎ましやかな化粧台についた。すると、脇に二冊の手帳があることに気がついた。
「こ、これは……!」
女の直感だった。女であれば、体調や妊娠の可能性などの管理のために、月のものや、致した日を手帳に付けているものだ。
顔を近づけて手帳の表紙を伺うと、片方が今年のもの。もう片方は、店主の元妻が身籠ったタイミングであろう去年のものだった。
「こ、こ、こ……」
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