Ep.49 オープニングセール その12
●前回のあらすじ:
社長と営業マン風の男が店に戻ると、採用を断ったはずのピンクの衣装に身を包んだ少女がいた。
彼女は社長に採用されたとスタッフに嘘をついて店番をしていた。
●主な登場人物:
・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに
・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族
・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに
・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役
・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?
●その他の人物:
・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)
・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。
本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。
店主は状況を整理しようとした。
「ええと、状況が飲み込めませんが、スタッフの募集をかけたんですか?」
「違うわ。お向かいの道具屋さんで募集してたみたいなんだけど、自分でそれを蹴ってウチで働きたいって言ってきたのよ。勿論断ったんだけど。そしたら私が居ないスキに、スタッフを言いくるめたみたいなのよ。私に採用されたって」
「……そ、それは凄いお嬢さんですね。ねえ、そもそも君はいくつなの?ずいぶん若くというか、幼く見えるけど」
「ハイ!十三歳です!」
「ねえ、ちょっと、その歳でアルバイトって、ご両親には許可とってあるの?」
「お母さんは病気でもう……」
「えっ?」
その言葉は、地味な女社長の琴線に触れ、共感性が発揮され始めた。故なら、彼女もまた幼少期に病気で母親をなくしているからだ。
「そ、それで?お父さんは?」
「残されたお父さんは、酒とギャンブルに狂って……、もう借金まみれなんです……!昨日も取立の人が来て、娘を借金のカタにとか言ってる声が聞こえました!」
「そんな!」
「ここで雇ってもらえなかったら売り飛ばされてしまうんです!私、どうなってしまうんでしょうか!」
「ど、どうしてそれを早く言わなかったのよ!いいわ、あなたにチャンスをあげる。まずは開店セール期間中、ここでしっかり店番をなさい。試用期間中もお給料は出るから」
「ああ……、ありがとうございます!」
「ちょっと、社長!そんな余裕は!」
「何よ!こんな娘を放っとけって言うの!?かわいそうじゃない!バイト一人くらい何とかやりくりしなさいよ!」
「ですが社長!この娘に給料払っても、どうせ高利貸しの元本の減らない利払いやら、酒代やら、バクチの元手に消えるんですよ?でもそれって元はウチの稼ぎじゃないですか?かわいそうですけど、宿屋にでも風呂屋にでも沈んでもらって精算したほうがいい!関わるべきじゃ……」
スパァン!社長の平手打ちが、営業マン風の男の頬を貫いた。
「見損なったわ!」
ピンクの娘も営業マン風の男に詰め寄った。
「そうです!ひどいです!それに、お金は王国の金融公庫から借りてるんです!高利貸しじゃありません!」
「いや審査通らねえだろ!?」
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