Ep.48 オープニングセール その11
●前回のあらすじ:
地味な女社長は、顔役にけしかけ、勝負をすると言う形で許可を取り付けた。
●主な登場人物:
・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに
・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族
・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに
・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役
・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?
●その他の人物:
・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)
・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。
本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。
「さーて、忙しくなりそうね……取り敢えず許可は取ったし」
「あれって許可を取ったって言うんですか?大丈夫ですか?」
「取ったわよ。あの人、勝負に乗ったじゃない?店を開けなきゃ勝負できないじゃないのよ。あれっ?……えっ嘘?何よ!何でいるの!?」
裏通りを歩いて店の近くまで戻った二人の目に映ったのは、武器屋の前に立っている全身ピンクの小柄な女の子だった。地味な女社長が追い返したはずのバイト志望の少女だ。社長に気がついた彼女は、片手を上げて大きく手を振った。
「おかえりなさ~い!スイカのお姉さんが留守の間、ここの番をしてました!」
「誰です?あ。あの娘が誰かと言う意味です。スイカのお姉さんが社長だということは分かります」
「うるさいわよ!さっき、お向かいの道具屋さんにアルバイトの面接に来た娘よ。何故か分からないけど、ウチの店で働きたいって言うのよ。それで追い返したはずなんだけど……」
営業マン風の男は焦った。彼はコンビニの担当社員のように、武器屋の収支監督を任されている。不必要で予期せぬ人件費の上昇は、自分の評価にも直結する由々しき事態である。
「バ、バイトですか!?そんな余裕は……」
「そうよ。だから追い返したんじゃない」
そう言うと、社長は少女の元に駆け寄った。
「ちょっと、何してるの?」
「ハイっ!ここに居た店員さんに面接をしてもらって、試用期間ということで、ここの番をしてます!ヨロシクお願いします!」
どうやら、店の前を任せたスタッフが彼女に任せたようだ。社長は店のドアを開けると、そのスタッフをヒステリックに呼び寄せた。そして事態を問い詰めると、その娘は社長に採用を許可されたと告げたらしい。店の中は大工作業で居られても困る。だから店の外を任せたのだそうだ。
「は?」
社長が少女を振り向くと、その娘は頭を掻きながらニコりと笑った。
「えへへへ」
「すぐ帰りなさい!そして、もう二度と来ちゃだめ!」
「そんなあ、私、このお店に雇ってもらえなかったら、本当に困るんです……」
「ダメよ!」
ピンクの娘と社長が押し問答をしていると、魔導二輪を駆る店主が戻ってきた。店の前で停車すると、魔導二輪に跨ったままピンクの娘を見た。
「おや、その娘は?」
店主の声に真っ先に反応したのはピンクの娘だった。彼女は右手をピンと上げて、笑顔いっぱいで答えた。
「ハイ!新しく採用になりました!よろしくお願いします!」
「してないわよ!」
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