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Ep.47 オープニングセール その10

●前回のあらすじ:

軒先への商品陳列を認めない顔役に、地味な女社長は反撃を開始した。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに

・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?

●その他の人物:

・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)

・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。


本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。


「あのねえ、ここの通りは冒険者相手の商売でもってるじゃないの。その顔役が、冒険者への評判を自ら落とすなんて悪手よ。地方から集まってくる冒険者たちにも、王都市民の心の余裕を見せたらどう?繁盛したら、あなたの顔も立つわよ?」


 社長は腰に両手を当て、そう言い放った。

 

「なんじゃと!?おちょくっとんか!?パーティー仮装みたいなおかしな服着て、あんたほんまもんの貴族なんか?偽物じゃろ?偽物が貴族名乗って商売とは詐欺でもやりよるつもりか?お前の店はこの通りには要らん。さっさと店畳んでどこぞにでも暗ませや!」


 顔役の老人の怒号を怒号に室内は震撼した。社長も表情を堪えているが、心臓を掴まれたような圧迫に戦慄し、またしても辺りは静寂に包まれた。

 しかし、再び静寂を破ったのも社長だった。


「あっそう、我が家の名誉にケチ付けると言うなら、あなたも覚悟なさい!売られたケンカは買うわ。店はやらせてもらう。あなたが私に膝を折るか、私がこの通りから去るか、男爵ターニャ・レニ・ヴェンツェルの名において、この勝負承ったわ!」


「ちょっと社長……!」


「おう!ええ根性じゃ、やったるけえのお!」


「あっそう、お店やっていいのね。行くわよ」


「あっ!?」


 社長は勢い良く部屋から去っていった。裏通りを行く社長に、営業マン風の男が駆け寄る。


「社長、一体、勝負ってどうするんですか?こんな近所で……」


「仕方ないじゃないのよ。貴族が家の名誉を貶められたら引くわけないじゃない。あっちもそれくらい分かって啖呵切ったのよ。こっちが本物か見定めるつもりでしょ?さ、超特価で湯沸かし器を設置できるチラシを撒くわよ。もちろん工事の受付は武器屋。イメージアップを図らなくちゃね」


「住人を買収するんですか?」


「ふふ。言い方によってはそうなるかしら?」


 服装は地味な女社長ターニャ・レニ・ヴェンツェル。北方の都市ガコエワよりさらに北西の山奥にある、リヨイ村を統治していた男爵家の一人娘にして唯一の末裔。

 男爵家以下リヨイ村の住人は、代々王国の治水工事を請け負ってきた土木技術集団であった。そのような境遇のために、彼女は幼少の頃より屈強で荒々しい男共に囲まれて育ち、持ち前の度胸を身に着けた。

 政治闘争により領地が召し上げになった後は、彼女は技術者や作業員を結集して王都で起業した。その会社が、主に湯沸かし器の設置工事や土木作業員の派遣を行う、ヴェンツェル水道工務店だった。

 故に彼女は貴族にして、根っからの土建屋のドンでもある。

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

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