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Ep.45 オープニングセール その8

●前回のあらすじ:

暴漢に破壊された店舗を修繕している間、軒先に商品を陳列したい。

しかし、地域の顔役は景観問題から難色を示したと言う。

地味な女社長は直談判に向かった。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに

・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?

●その他の人物:

・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)

・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。


本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。

 裏通りを行き、その中ほどにある建物の一階のテナントに事務所のような一室がある。「こちらです」営業マン風の男は、地味な女社長に目を合わせて促すと、ドアをノックし、中からの応答を得て入室した。


「ん?またあんたか。しつこいのう」


 さして広くもない一室の正面奥には事務机があり、そこに齢七十ほどになろうかという男が構えていた。向かって右側には大きな窓があり、そこから裏通りがよく見え、差し込む光が部屋の中を柔らかく照らしていた。


「先程は失礼しました。何度も押しかけて申し訳ありません。なにぶん切迫しており、我が主からもお願いをさせていただきたく……。こちら、我社の代表で男爵のターニャ・ヴェンツェル様です。社長、あの方がこの通りの顔役の……」


 営業マン風の男が紹介を終えたかどうかのタイミングで、顔役の老人は被せる様に話し始めた。


「男爵様?この若いお嬢さんが?……にしても、まるでスイカみたいなおかしな格好じゃのう。ガコエワ界隈やらの、どこぞの田舎貴族が都会を勘違いしたかのような格好じゃ。のう?はっはっは」


「……え、ええ。そのガコエワ貴族です。先代までリヨイ村を統治していました」


 営業マン風の男は、恐る恐る横目で社長を見た。社長の目の下がピクピクと痙攣している。田舎貴族にしろ、服の色にしろ、彼の言葉が尺に触っているのは間違いない。

 彼女の服装と言えば、上は赤く、下はグリーン。確かにスイカのようなおかしな配色だ。営業マン風の男は、自分が着替えを促さなかったことで、主に恥をかかせたことを悔いたが、既に時遅しである。

 顔役の老人は椅子にふんぞり返って言った。


「そんで?何があったとしても、通りに売りもんをおっ広げて商売なんぞ許可できんよ?」


 地味な女社長は、一歩前に出て言った。


「暴漢の襲撃より店がめちゃくちゃにされてしまったのです。先日、店長を任せた者もその暴漢にボコボコにされてしまったんです」


「それはさっきも聞いたわい。……そもそも何でそんな襲撃を受けるんじゃ?商売始める前の店に無差別強盗は来んじゃろ?なら、顔見知り。さしずめどこぞで恨みでも買ってきよったか?田舎モンが柄の悪いこっちゃ……」


 顔役の老人はそう言うと、ふうと息を吐いて再び喋り始めた。


「まあ、実際はどうか知らんがの?ここは裏通りと言っても、天下の王都、西区の中心区画の一角ぞ。下町の品のない露天商のようなことはできんのじゃ。田舎から来た連中には分からんじゃろうがのう」

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

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