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Ep.41 オープニングセール その4

●前回のあらすじ:

ガラの悪い冒険者は、本社の筋骨隆々のスタッフに制圧され、憲兵に逮捕された。

店主たちは、荒れ果てた店内に呆然とするのだった。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに

・地味な女社長: 前作主要キャラの一人ターニャ・レニ・ヴェンツェル«Tanja Leni Wenzel»。田舎育ちで地味な服装だが男爵号を持つ貴族

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?

●その他の人物:

・刀のお嬢様: 女社長ターニャと同様に前作の主要キャラの一人。公爵令嬢ユア・スワーネリ・アルンスタ・ガコエワ«Jua Svanhild Arnstad Gakoeva»。先王から聖勇者の称号を授かった冒険者。武器は東国刀で二刀流。現在は行方不明になっていることがターニャから言及されている。(前作では「ゆあ・スヴァンヒルド」と表記)

・高貴な女聖職者: ですわ口調で、相当なお嬢様と思われる高貴な聖職者。インヴィリ«Yngvild»と名乗った。


本作でターニャが店主に武器屋再開を持ちかけたのが、前作の魔導車レースの数ヶ月後という時系列になっています。

 憲兵隊機動隊が駆けつけたすぐ後に、監視機官数名も訪れた。彼らは被害状況を記録するだけでなく、破壊された武器防具や移動可能な小型什器類のいくつかを証拠品として押収して行った。それ故に今現在の店内は、ガラッとしているとまでは言わないが、それなりの空間が広がり、一部の据え付けの棚も損壊し、床にはま武器防具が落ちていたり、損壊された物の破片類が散らばっている。


「これからどうしましょうか……」店主は店の中を見渡してそう呟いた。


「この状態で営業を開始するのは現実的ではありません。オープンを明日に順延しましょう」


 営業マン風の男はオープン延期を提言したのだった。

 店主は床に落ちた展示品のナイフを拾い、それを窓の光に晒して落下痕の具合を確かめた。幸いにして宝剣級の高級品というわけでもないし、商品としては十分通用する程度であった。店の床には、まだこのような商品がいくつも散乱している。そのまま使える商品と傷物の区分けをする必要があるし、それらの損害額を帳簿にも反映させなければならない。可能であれば特価で修理や交換・買い替えができるか、工房や取引先に事情を説明して交渉に回りたい。この惨状の後始末としての直近のやるべきことが店主の頭を巡った。


「ええ……。この状態では仕方ありませんね」


 店主が賛同の姿勢を見せたのだが、地味な女社長は腕を組んで語気を強めた。


「そうかしら?奥の在庫部屋の商品は全くの無傷じゃない」


「え……?でも店はこの有様ですよ?」


 店主は、散らばった武器が転がる床に手のひらを向けたが、社長は首を横に振る。


「通りの八百屋を見てみなさいよ。軒先に台を並べて、その上に商品を陳列してやってるじゃないの。武器屋だってやれないことわないわ!」


「そ、そうか。店の中がダメなら、店の外に陳列すればいいのか!」営業マン風の男は奮起した。


「それにね、オープンを心待ちにして武器を必要としている冒険者が来るんでしょ?せっかく来てくれたのにオープン初日から閉店だったら、どんな悪評が立つかしら?」


 店主は、社長のその言葉にハッとした。ギルドには、初心者や脱初心者の初級冒険者をターゲットにした広告を出した。もし、今日彼らが武器を買えなかったらどうなるだろうか……。


「社長、やはり私も店を開けなければならないと思います。冒険者たちの武器調達の予定に遅れが出れば、ダンジョン攻略の出発も遅れて、彼らの仕事や収入にも影響します。もし遅れなくても、武器がアップデートできなくて攻略に苦労して、生命の危機に遭遇するかもしれません」


 店主が言うと、営業マン風の男も納得し始めた。


「そうか!それに、我々がターゲットにしているのは初級冒険者。店長さんが指摘した影響は、彼らには甚大です!彼らのためにも、店を開けなければ!」


 地味な女社長は、二人の言葉を聞くと笑みを浮かべて言った。


「……解ってるなら、さっさとしたくしなさい!」


 地味な女社長の一声で本社から応援が呼ばれ、数名の男が魔導車で駆けつけた。彼らは、皆筋骨隆々の大男だった。彼らの手で、店内の片付けが素早くなされていく。また、彼らは木材や工具まで持ち込んでいて、すぐに応急的な棚を作るのだとう言う。

 軒先に仮設の什器と商品を陳列し露天商のような雰囲気で開店するが、このような形態での営業は、この通りには馴染まないため、近隣の店に事情の説明に回り承諾を得る必要が出てきた。


「私が近所を回ってきます!」営業マン風の男がその役割を志願した。


 その間、店主は魔導二輪を駆ってギルドに駆けつけ、営業開始の遅延と事情の説明を説き、チラシ配布の一旦停止の措置を願い出たのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

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