Ep.29 オープン直前 その4
●前回のあらすじ:
早くギルドの受付嬢の姐さんに会いに行きたい!
転びながらも、魔導二輪の運転を掴んだ店主だった。
●主な登場人物:
・武器屋の店主: 気弱な武器屋の店主。一度は店を潰すが、地味な女社長の投資で再オープンさせることに
・地味な女社長: 地味な服装の若い女。どのような会社を経営しているかは不明
・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことに
・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役
・ギルド受付嬢の姐さん: 元妻に隠れて店主と両想い?
「待っててくれ!今すぐ行く!」受付嬢の姐さんに会いたい一心の店主の心の叫びだった。すぐさま甲冑姿のまま肩掛けカバンを着け、その中にチラシの束をぶち込んだ。「そうだ、これも持っていこう!」店主は自らのコレクションから小型の武器を選び、それも肩掛けカバンに放り込んで魔導二輪に跨った。この姿を説明すれば、兜付きのプレートアーマーにポーターバッグを下げた姿でオートバイに跨っているようなもので、もはや怪しいを通り越して変だった。
「アンタ、そんな格好じゃまずいよ。確実に憲兵に捕まるよ」
「そうです。並の不審者のレベルを通り越してます。それにその甲冑は商品ですよ?さっき、もう傷つけちゃいましたけど……」
店主は「そんなに変かなあ」と言うと、仕方なしに胸当て、肩、膝、肘のパッド、籠手のみを残して甲冑を外した。この甲冑は最新式で、胸と腹が別パーツになっており胸当てとしても装備できる。状況によって動きやすさを向上させられる。軍事用とは違い、ダンジョン攻略用の冒険者の声が反映されたものだ。
装備の変更が済むと、一刻を争うかのように魔導二輪をすっ飛ばして行った。
冒険者ギルドに着くと、駐輪場や駐車場のようなものはないので、裏手にある厩に魔導二輪を留めた。一頭の馬が魔導二輪を不思議そうに見ているのに気がつき、店主はその馬の鼻筋を撫でると、そそくさと正面入り口からギルドに入った。そして真っ先に受付カウンターを凝視した。受付嬢の姐さんは?いるのか?あ!いた!
「こんにちは!お世話様です」
「あぁ、店長さん!」
大人の色気を醸し出ている姐さんが、まるで少女のような高い声をあげた。
「お加減、もう大丈夫なんですか?」
すぐに声のトーンはいつもの柔らかく落ち着いたものに戻ったが、
「ええ。おかげさまで、だいぶ。チラシが刷り上がったのでお持ちしたんです。そうだ、あと、今日は護身用にこれをお持ちしたんです」
店主がカバンから取り出したのは、よく女スパイが太ももに忍ばせている、ベルトで装着する小ナイフだった。
「護身用?」受付嬢の姐さんはわずかに首を傾げて店主の手元を見ると、店主はナイフを両手で差し出しながら注意事項を伝え始めた。
「これは太ももにつけておくナイフです。ナイフが太ももの内側に来るようにつけます。利き手とは逆の方につけてくださいね。じゃないと抜く時に足を斬っちゃう危険があるので……」
「ええっ、いいんですか?お店の商品とかじゃないの?」
「大丈夫ですよ。またあんな男に襲われる危険があるなら、持っておくに越したことはありません」
「そう、じゃあ有り難く頂戴しておこうかしら……。それ、どうやって着けるの?着けてくれる?そっちから回ってきて」
受付嬢の姐さんが指を刺した方向を見ると、受付と入り口ホールを仕切るカウンターの隅に開閉可能な部分があった。店主は一度姐さんと目を合わせると相槌を打ち、そそそっとカウンターの内側に入った。
店主が姐さんの前にひざまづくと、姐さんは「ごめんね。ヒール高いと屈むの大変なの」と言ってカウンター内側の床にあった箱を足で寄せ、その上に左脚を乗せた。ロングワンピースの深いスリットから姐さんの太ももが伸びて、ヒール付きのサンダルの足が箱の上にある。
「いいわよ」「はい、失礼します」
店主は姐さんの体を横に右足の前にしゃがみ、持ち上がった左太ももを正面にした。細いベルトくくり付ける距離感なので、内ももが目前も超目前にある。
姐さんの太ももは白く、すらっとして美しい。このまま頬擦りしたい衝動に駆られる。それにスリットからフェロモンでも漏れ出しているだろうのか、脳がぞくぞくする。
店主はまるで発情物質を嗅ぎ分ける動物のように、鼻を上にあげて目を閉じ、彼女の肉躯から分泌される何らかの化学物質を大量に吸い込んだ。意識が遠のく感覚と同時に、体が衝動で動き出しそうな感覚に襲われた。そして息が荒くなると、強い鼻息が姐さんの内ももを薙いだ。
「あぁっ!……ちょ、ちょっと、息かけないで。変な声出ちゃったじゃない……」
受付嬢の姐さんが感じた。
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