表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/63

Ep.23 冒険者ギルドの受付嬢 その4

●前回のあらすじ:

かわいい冒険者ギルドの受付嬢が、ガラの悪い冒険者に絡まれていた。

店主は助けに入るのだが、かなりイカれたやつだった。


●主な登場人物:

・武器屋の店主: 裏通りで武器屋をやっていた店主。経営に失敗し、女房にも逃げられてしまった。地味な女社長の出資で武器屋を再開することになった

・地味な女社長: 地味な服装の若い女経営者。どのような会社を経営しているかは明らかでない

・武器屋の元女房: 店主とは離婚したが、地味な女社長の取り計らいで再び店主と暮らすことになった

・営業マン風の男: 地味な女社長の部下。武器屋と本社を繋ぐパイプ役

 ガラの悪い冒険者が受付カウンターの上に置かれたチラシの束を片手で薙ぎ払い、そのほとんどが床へと舞い散った。そして「何がチラシだクソギャラァ!」と辛うじて聞き取れる叫び声を上げながら、床の上のチラシを次々に踏み潰した。受付嬢の姐さんの表情も真っ青の驚き顔だ。


「ちょっと、あんた!やめないか!」店長は制止を試みたがその手は弾かれた。


 武器屋の再オープンのために、そしてこれから冒険を始めようと言う初心冒険者のために作られたチラシが、一人の悪者によって文字通り踏み躙られていく。


「何てことしてるのよ!」受付嬢の姐さんもヤツを止めようと手を伸ばしたが弾かれた。


「俺を馬鹿にすっからこうなんだよギャラァ!さっさと女聖職者を連れてこいよ!俺がそいつのダンジョンの入り口全部を大冒険してやっからよギャラァ!」


 チラシの蹂躙は休む事なく続けられている。


「やめてくださいよ!」


 店主がチラシを守るために床に覆い被さると、ガラの悪い冒険者は店主を足蹴にし始めた。


「っせんだよおっさん!どけよギャラァ!」


「これはウチの営業担当が、店のために、初心冒険者さんのために一生懸命作ってくれた大事なチラシなんです!それをあなたのような人間の好きにはさせません!どきませんよ!ぐああああっ!」


「ああっ、店長さん!」受付嬢の姉さんの声が悲痛の色に変わった。


 一体、この男はどう言う冒険者なのだろうか。店長の長い接客経験の中で、理不尽なクレーマーに対応した経験がないわけではない。だが、その経験を考慮しても酷い部類の人間だ。

 それに、ギルドはメンバー制で顔馴染みが多い。人数が多ければその要素は薄まるが、それでもルール、掟、風紀ってもんはある。ここの冒険者ギルドは、王国政府から補助が入っているから尚更のこと。普通はここまでひどければ、メンバーでいられることなんてないはずだ。そもそも、こいつは仲間を何だと思っているのだろう。

 店主は痛みの中でそんなことを考えていた。


「ちょっと君!」


 店主に暴行が加えられるのを見て、営業マン風の男が駆け寄ってきた。彼もまたガラの悪い冒険者を止めにかかったのだった。しかし、その正義も虚しく、彼は「うわあ!」という声と共に一撃で突き飛ばされてしまった。


「大丈夫ですかあっ!?」


 店主が声をかけると、営業マン風の男は「あうう……」と悶えていた。意識はあるようだ。だが、彼の無事が確認できると、全身の痛みで意識が遠のくのがわかった。激しい暴行で限界に来ているようだ。

 ガラの悪い冒険者は、受付嬢の姐さんに振り向いた。


「ネエちゃん、誰も紹介できねえんならテメェが責任取るべきだろ!?ギルドの受付嬢のクセにパーティーメンバー一人紹介できねえんだからよ!職務怠慢にも程があるじゃねえかよギャラァ!」


 ガラ悪い冒険者は、カウンター越しの受付嬢の姐さんの手を掴み引き寄せた。そして、もう片方の手で彼女の肉体を弄ろうと手を伸ばした。

 姐さんもそれを拒もうと、必死になって何度も手を弾いているが、さらに強引に引かれて抱き寄せられた。


「いや!やめて!」柔らかいトーンだった姐さんの声が高くなった。


「へへへ!大人っぽいふりして、本当はかわいい声で鳴くんじゃねえか!こんな色気丸出しのフシダラな服着やがってよ!本当は相当スキなんだろ!?わかるぜ!ああ、いい匂いだなァっ!デハハハハ!」


 痛みで朦朧とする精神の中、店主は、受付嬢の姐さんの悲鳴を聞いて最後の力を振り絞りって立ち上がった。


「お、お客さん……お止めください!今日のところは……お引き取りください……!」


 店主の手は、受付嬢の姐さんの体を触ろうとするガラの悪い冒険者の手首を強く掴んでいた。


「誰がテメエの客だ!訳分かんねえことスカすんじゃねえギャヴァァアアア!」


 怒号が轟いたと思った瞬間、彼の鉄拳が店主の顔面にめり込んだ。


「ぶぎゃあ!」店主は吹っ飛んだ。


「店長さぁん!」


 受付嬢の姐さんの声が響いた。

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ、↓から★★★★★をいただけるとよろこびます。

次回もご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ