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人と機械の境界線  作者: キレショー&露
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第1話

ここは、ロボットと人間が共存する世界。

そんな世界の片隅で、機械工の少年は亡き父親から受け継いだ小さな工場(こうば)を一人できりもりしていた。

「ふぁ~……眠……」

少年、『橋本 幹(ハシモト カン)』は昨日、ついつい夜遅くまで仕事に熱中していたせいで睡眠不足だった。そのおかげで朝食も食べれていない。

「さーて、今日も仕事しますか……って……あれ……」

カンが工場の鍵を開けようとした時、異変に気付いた。鍵が……開いている……。

「……やべぇ。昨日鍵かけんの忘れてた……」

カンはすぐさま扉を開けると無くなっている物がないかチェックし始めた。

ある、ある、ある、ある……。

結果から言うと無くなっている物はなかった。

だが、本来『あるはずのない』ものがあった。工場の片隅ですやすやと寝息をたてている傷だらけの女の子がそこにはいた。

「は……?」

それが、カンとリンゴの出会いだった。


「は……?」

何でこんな所に女の子が。浮浪者か?

カンはひとまず女の子を起こす事にした。

「おい!起きろ!人の工場で何してんだ!」

カンは女の子を揺さぶった。

「んん……?ふぁ~あ、よく寝た~、ってアイタタタ……!」

痛がっている女の子の様子を見て、カンは揺さぶるのを止めた。

「悪い……」

「いえいえ~。貴方ここの工場の人?」

女の子は笑って答える。

「そうだ」

「勝手に入り込んじゃってごめんなさい!やむにやまれない事情があって!」

「事情って何だ」

「いや~それは答えられないなぁ~」

「ふざけてんのか」

「ふざけてないふざけてない!……痛っ」

女の子は顔の前で手を振っていたが、傷が痛むのだろう、顔をしかめた。

「……来い。治療くらいはしてやる」

「えっ!いいの!?」

「怪我人を放置しとく程俺は非情じゃない」

「ありがとう!」


「いや~、ホントありがとう!」

怪我を治療してもらった女の子は笑顔で答えた。

ぐぎゅるるる~

「あは、恥ずかしいな」

「腹も減ってんのか。面倒な奴」

カンはそう言うとリンゴを一つ、投げて渡した。

「これはもしかして」

「飯。何か文句あるか」

カンも同じようにリンゴを一つかじっていた。

「ううん!ありがとう!」

「お前、名前は?」

「『リンゴ』!私『リンゴ』って言うの!」

「美味そうな名前」

「えへへ」

「年は……っと(そーいや前田のばーさんが女に年を聞くのは駄目だっつてたな……。まあ、俺より下っぽくて学校に行ってなさそうなら18くらいか……?)」

「どーしたの?」

「いや、何でもねぇ。……お前、何で傷だらけで俺の工場にいたのかは言いたくねぇんだよな」

「うん」

リンゴはうつむき加減にそう言った。

「……あ~、面倒くせぇけど傷が治るまではここにおいてやる。治ったら出てけよ」

リンゴはそう言われるとパッと顔を明るくした。

「ありがとう!」

「ただし、家や仕事の手伝いはしてもらうからな。穀潰しはおいとかねぇ」

「うん!」

こうしてカンとリンゴの共同生活は始まった。

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