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幽霊 and you 〜守護霊少女とその少年〜  作者: 年替わりスープ
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第一話 就職決定

「つまり君たちはそうゆう存在なんだ。それを自覚して就職に取り組むように」


教師がそんなことを言い終わると共に6時間目の授業が終わる。

教室内はすっかり帰宅モードに切り替わり和気藹々とした空気となっているが私、幸村幽々の顔は暗いままだ。


「ユユ〜どうしたのそんな暗い顔してぇ〜可愛い顔が台無しだぞぉ〜」


そんな私を見かけたのか、明るく、しかし、どこか気の抜ける声が幽々に近づいてきた。

その声の持ち主は霊奈、短めなショートカットが特徴的である元気な少女だ。


「あぁレイナちょっと最後の先生の言葉がね・・・」


「ユユまだ就職先決まってないもんねぇ」


「最後先生こっち見てたんだけど!私とガッツリ目合ってたし!」


あれは完全に合っていた。安い恋愛映画の一目惚れのシーン並みにバッチリただの教師と目が合っていた。恐らく、いやほぼ確定事項であの教師はクラスに向けてではなく、クラスで唯一就職が決まってない私に言ったのだろう。まったく、ちゃんと教師の仕事してやがる!


「あはは・・・でもユユならきっと良い就職先見つかるよぉ!」


「いいなぁレイナは決まってて、私も早くイイところ見つけないとなー」 


「頑張らないとねぇ!!う〜でも現世にいくの緊張するなぁ現世ってどんな感じなんだろう。教科書見ただけじゃよく分かんないよねぇ」


「あんまりこっちの世界と大差ないらしいよ。お父さんが言ってた」


説明が遅れたが、「現世」というのはこちらの世界から見た通称、肉体と魂が結びついたものたちが生きる世界のことだ。対してこちらの世界の名は、「霊界」この世界には魂だけの存在、噛み砕いて言えば幽霊達が生きているのだ。(幽霊が生きるというのはおかしな話だが)また、幽霊達にも種類がある。大部分、約9割を占める幽霊のことを

素霊という。素霊はなんの特徴も持たず、ただこの世界で生きるべくして生きる存在である。そして、残りの1割が特別な存在。役割を与えられた存在である。


「あ〜あ、私たちも素霊だったら良かったのになぁ守護霊なんかなりたくなかったよぉ」


「コ〜ラッそんなこと言わないの。私たちは私たちの役目を全うしないと」


霊奈をそんな感じで注意したが、かくゆう私自身も霊奈と同じことを思っていた。自分で選択する間も無く役割が決まっているというのは、中々堪えるものである。しかも、その役割というのが、守護霊であるが故のものであるというのは億劫になるには、十分な理由であった。

守護霊の役割、簡単に言えばそれは、現世に降り立ち取り憑いた人間を守る。というものだ。

霊界しか知らない身にとって、現世に行くというのは不安材料になるには申し分ないし、こちらの姿が見えないにしても、知らない人間と一日中行動するというのはしんどいものである。「守護霊冥利に尽きるだろう!!」と大口を叩いていた実戦担当の素霊体育教師には、守護霊になってからほざきやがれと何度思ったことだろうか。


「幸村!!ちょっと職員室に来なさい!」


霊奈とワイワイと喋っていたら、会話を強制終了させるようにガラッとドアの音が響き、先ほどの教師が私の目を見て

そんなことを言った。




「お前の就職先がきまった。」


職員室に入った私に教師が開口一番に放った言葉を私は理解できなかった。

なので、こんな声が出たのは至極当然のことである。


「へぁ?」


気の抜けた、抜けすぎた声が私の口から出た。教師がふざけているのかと言わんばかりの目線で睨んでくるが、もちろんふざけてなどいない。


「お前の就職先がきまった。」


「・・・いやいや!就職先って、取り憑き先の人間って自分で決められるんじゃないんですか!?就職先がきまったって勝手に決めたとでもいうんですか!?」


「そんな訳ないだろ。お前が中々決めないから、余った枠に自動的に配属されたんだよ。恨むなら自分の優柔不断さを恨むんだな。」


「そ、そんな・・・就職先ってどんな人なんですか・・・」


「えっとな、蘆屋倫太。春から高校2年になる16歳の男子だ。」


「あしや・・・りんた・・・」


「というわけでお前も晴れて春から現世だ。頑張ることだな。」


「いやちょ・・・」


という訳で私の守護霊ライフは始まりを迎えることになる。 









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