グノーム
90階層以降は厳しい戦いだった。進む通路に岩の障害物も多く、曲がりくねった通路、不意の襲撃、魔法を連発してくる敵、敵の数。
あらゆる要素が重なり、1階層進むのに時間がかかった。敵の数も多いのでレベルは上がったが、このレベルになってくると全然上がらない。
「このダンジョン、何回層まであるんだ。イグナイト、ウォーム、もう少し休んでHP回復させるか?」
「ガウ」
「ガウ」
「そうか。ならもう少し休んでいこう」
俺達の欠点は、数の少なさもあるが、HPの回復だ。回復手段が自動回復しか無い事だ。数はデットスピリットで補えなくは無いが、ピンとくるモンスターがいない。
サラマンダーはレベルこそ低かったが戦闘力としてはかなり強い。出来ればサラマンダー以上の優秀な仲間が欲しい。
「よし、そろそろ行くか」
そして俺達は更に先へ進む事にした。
俺達は休み休み少しずつ進んでいる。自身のレベルもそうだが、スキルレベルも全然上がらなくなってきている。感覚的にはもう何年も上がってないスキルもある。そうして俺達は100階層のボス部屋へとたどり着いた。
「90階層からは長かったな。後半はずっと土属性の魔物ばっかりだったな。それを思えばイグナイトとウォームはレアモンスターだったのかもしれないな」
「よし、行くぞ」
「ガウ」
「ガウ」
そして扉を開き中へ入ると、そこは80階層と似た様な景色だった。かなり広い空間だな。
そのまま進んでいると、大量の石つぶてが飛んできた。
「くそ。ボス戦で不意打ちか。あちらからか」
攻撃が飛んできた方向を見ると小人の様な老人風なモンスターが飛び回って、直ぐに隠れてしまった。
「グノームか。また魔法陣魔法か。厄介な。」
また大量の石つぶてが飛んでくる。ダメージはあまり食らってないが、詠唱中にダメージを受けるとキャンセルされる。
地味にいやらしい。
サラマンダー達と連携を取るが石壁をつかったり、岩陰に隠れたりしてなかなか捉えきれない。しかも的確に俺にだけ攻撃を仕掛けてくる。大技は使わず石つぶてばっかりだ。
「くそ。ムカつく。どっかのクソジジイみたいな事しやがって。意地でも詠唱させない気だな」
まるで全力を出す必要が無いと言わんばかりに石つぶてしか飛んで来ない。地味にHPが削られて行く。
「クソ。一時撤退だ」
そうして俺達はボス部屋から撤退する事にした。