ダンジョンの奥地にて
連続3話投稿
「ここはいったい···」
俺は確かダンジョンでモンスターに囲まれて···
そうだ。俺は死んだはずだ。だがこの見慣れた風景は俺が潜っていたダンジョンだ。俺は生き残ったのか?
ふと自分の手を見てみる。
すると確かに自分の手がそこにある。あるのだが、微妙に透けている。手だけではない。足も胴体も、着ていた全ての服も透けているのだ。
「装備は無いのか」
いったいどうなっているんだ。俺は魂だけの存在になってしまったのか?このまま死者の世界に行ってしまうのか?俺は暫く混乱したまま固まっていた。
そうだ。ステータスを見れば何か分かるかもしれない。
「鑑定」
名前 スティング・テグニス
種族 ゴースト
LV 1
HP 50/50
MP 100/100
STR 0
VIT 0
INT 100
MEN 100
AGI 50
スキル
剣術LV6
盾術LV4
槍術LV4
格闘術LV4
身体強化LV5
鑑定LV5
闇魔法LV1
HP自動回復LV1
物理攻撃無効
即死無効
ユニークスキル
死者の息吹(発動中)
何だこのステータスは?俺は生まれながら魔力が殆ど無かった。だから魔法が使えない代わりに剣術を極める事にした。町ではそこそこ有名な剣士になった。でも本当は魔法が使いたかった。子供の頃は派手でカッコイイ魔法使いになりたかった。でも魔法の適正が無く諦めた。
それが初めての魔法が使える。だが闇魔法だ。闇魔法は魔落ちした者が扱える魔法だ。通常は人もモンスターも使えない。使えるのはゾンビやスケルトン、ゴーストなど、魔に落ちた者達だ。しかし派手さもなく実用性にかけるスキルばかりだと聞いた。だが魔法が使えるだけでもありがたい。最高だ。
そして今まで謎スキルだった死者の息吹と言うスキル。このスキルを調べる為に鑑定スキルを使いまくってLVを上げた。だが、結局効果が分からなかった。
でもまさか死ぬ事で発動するスキルだったとは。それにゴーストってモンスターじゃないか。
しかし、これはチャンスだ。俺はこれから最強のモンスターになる。そしてこのダンジョンの初めての制覇者になる。時間なら無限にある。死にさえしなければ。
次話は2月19日 19時更新