魔窟六階
不定期更新です。
閲覧、評価ありがとうございます。頑張って書き続けますので、これからもお付き合いよろしくお願いいたします。
霞と共にエスカレーターに乗り六階へと上がる。基本的に、釣具屋はその分野毎に棚が別れている。一番大きな面積を持つのはブラックバス用品、ついで海の近いとこならソルト用品、エリアはその次位だ。ルアー専門店だけあって、他の釣具屋のように、投げ釣り、ウキ、ヘラブナなどのジャンルが無い分、この店は綺麗に区分けがされている。
綺麗に区分けがされていても、探しているものを見つけるのは慣れた人でも大変なのは変わらないが。
「エリアコーナー、あ、あそこね」
「ん、霞ちゃん、ちょっと先に中古みてきていい?」
「いいよ♪じゃあ私は先にエリアコーナーでルアー見とくよ」
縁は霞と別れ、中古コーナーへと足を向ける。狙いは掘り出し物がないか?その一点だけである。ルアーは高い。特に、プラグ系は。そう、考えながら、中古コーナーに入る。
ここで、厄介なのは中古コーナーでも、ざっくりとバス、ソルト、エリアなど分けられるものの、バスのコーナーにもエリアに使用可能なものも有るため、全コーナーを調べるという根気が必要になるのだ。
縁は、棚に掛かっている袋を捲りながら、一つ一つチェックをしていく。
これも違う、あ、これはウッドだ、でも二千二百円は高い…………お帰り願おう。あ、これタック○ハウスのウッドK-○EN千円!?これはキープ。などと、捲りながらどんどんと眼鏡に叶うものを籠に入れていく。
中古コーナーを回り終え、一息ついて籠の中身を精査する。
ミノー二本、内ウッド一、もう一本は持ってないカラーのパニッ○ュ、クランク四本、全てラッキーク○フトのエア○ロー、締めて約五千円弱。
「くぅっ!しかし、中古は出逢いって、お父さんは言ってた。悩んだら買え!と」
会計時、ポイントカードとお金を出すが財布の中身が途端寂しくなる。
大丈夫、新品で欲しいものはほぼ無い……はず。ラインもこないだ変えたばかりで余裕。あとは、スナップかフックも……とは思うけど、スナップは良いとしてもフック代は次回にしよう。
心のなかで確認して、エリアコーナーへと向かう。
「あ、縁ちゃん、良いのあったみたいね?」
「うん。それなりの戦果……結構お金使ったけど……」
「そっかぁ、私はあと少し見て回るよ」
「うん、付き合う…………よ!?」
縁は、霞の持つ籠を見て眼を剥いた。
「なに?その量…………」
「え?スプーンの新製品出てたから、全カラー、全グラム数を二つずつと、それようのワレット。あと、限定カラー出てたからそれも各種二つずつ?」
籠の中には無数の小袋と、小物入れのようなワレットが入っていた。スプーンの単体価格はプラグと比べれば安い。
プラグの新品がおよそ千七百円に対し、スプーンの新品単体はおよそ五百円程だ。三分の一である。しかし、ここに罠があるのだ。
エリアにおける最大の罠が。
カラーである。これは、戦略とも言えるし、本当にその日はそのカラーだけに反応することがある。そんなことが、起こるのがエリアなのだ。
しかし、カラーはスプーン一種につき最低でも二十近いカラーがある。それを二つずつ。各グラム数まで会わせると、更に三倍程となるわけで……と、脳の処理が追い付かず、固まる縁を他所に、霞は更に各サイズのフック、スプリットリング(ルアーとフックを接続するリング)をざらざらと籠に入れていく。
中古で吟味し、泣く泣く諦めた自身との違いに心で涙する縁であった。
次回更新は未定です。もしかしたら、現話の状態から少し展開を変えるかもです。主に一話辺りに釣りを持ってきたり…………他は大きく変える予定はありません。
不定期更新となりますが、どうか、応援よろしくお願いいたします。