はじめての一尾!
大変お待たせしました。色々な事があり、すこし執筆を止めていましたm(_ _)m
これから、また頑張りますので、応援閲覧よろしくお願いいたします。
絢香は苦戦しつつも、なんとか準備を終え、キャスト講座に移る。そして、投げる度に左右に大きくずれて、ルアーが着水する。
「絢香ちゃん力みすぎだよぉ。こうやって、軽く真上に立てる感じで投げてみて♪」
そういい、力を入れてない柔らかなキャストを霞は行う。ロッドが振り抜けると共にティップが空気を切り裂く音が短く鳴り、鋭い弾道でルアーが絢香の投げる距離の二倍は飛んでいく。
「こんな感じね?」
「わかりました!やってみます」
絢香は、ロッドを真っ直ぐ立てるのに意識して、手首のみで力を入れずに投げる。
ティップは空気を切り裂く音を出さないが、今度は真っ直ぐ、今までで一番の飛距離が出た。
「そうそう♪」
「出来ましたっ!でも、霞先輩の様に音が鳴らないのはなんでだろう?」
「うーん、それは、投げた時にロッドを止めてないのと、親指で押してないからかな?」
「ロッドを止める?親指で押す?」
絢香は不思議に思い、ロッドの親指の位置を見る。絢香は言われたとおり、中指と薬指の間にリールを挟み、親指はそのまま握り込んでいるのに対して、霞はキャストの時リールシートの真裏、背中の部分で親指をのせていた。
投げたルアーを回収して、霞の真似をして、止める、押すを意識して絢香はもう一度投げる。
今度は鋭い音と共に、ティップが空気を切り裂く音が短くなる鳴り、ルアーがさっきよりも早く鋭く飛んでいった。
「鳴りましたっ!」
「おおー♪絢香ちゃん凄いっ!すぐに出来るなんて思わなかったよ」
「えへへぇ」
誉められた絢香は、調子にのってもう一度回収し、同じことをする。
「凄い凄い♪でも、絢香ちゃん……魚釣らなきゃ」
霞の冷静なツッコミで我に返り、どうやって釣るかの講座に移ることになった。
「まずは、今絢香ちゃんは自作のクランクだよね?今朝早くて魚が浮いてる感じだから、そのルアーでどうやって釣るかを教えるね♪」
そういって、霞は持ってるタックルを別のクランクが結んであるロッドへと持ちかえ投げる。
「投げたあと、波紋が広がるよね?」
「はい、広がりますね」
「そのまま、まずは波紋が消える直前まで待つの」
「え?動かさないんですか?」
「うん。ここで、食いに来る魚も多いから……来ないね。で、波紋が消えかけたら、巻くんじゃ無くてロッドを少し立てて、こうロッドをシェイクしながら波紋を出していくの。この時、ラインの弛みが一定に成るように少しずつ巻くのが理想ね♪」
「おぉー」
水面に波紋をいくつも立てながら、ゆっくりとルアーが動いているのを見て絢香は感嘆する。
「へぇールアーってこういう風に動かすんだ」
「うーん。一概には言えないけど、こうやって反応無いときは止めて、波紋が消えかけるまで待って同じことを繰り返したり、こんな感じで竿を水平より少し下に向けてルアーを引っ張って止めてを繰り返したりと、色々あるわ、よっ!」
霞は竿を突如煽り、あわせを入れ、次の瞬間リールからドラグ音が短く鳴り響く。
「え?え?もしかして、釣れたんですか?」
「うん、そうよ。あまり、大きくは無いけど、ここのアベレージより少し大きいかな?」
難なく魚を浮かせ、寄せた後、霞はランディングネットで魚を掬う。
「うわぁ、綺麗な魚……これなんて魚なんですか?」
一部がピンクとも紫ともつかない光沢で輝く、小さな黒点を纏う魚体に絢香は眼を輝かせる。
「これは、虹鱒ね♪多分種類沢山あるから間違いではない……はずよ♪」
「へぇーこれがレインボーって魚なんですね」
「さぁ、絢香ちゃんも試してみて。今のパターンだと、ルアーをジャーク……えっと、ルアーを引っ張る感じで止めたタイミングで喰ってくるみたいだから♪」
絢香は言われた通り、先程観た霞の真似を出来るだけ行う。
「引っ張って、止めて巻く。引っ張って、止めて巻く。引っ張っ!!!!」
三回目のジャークのタイミングで竿が一気に重くなり、弓なりに曲がる。
「絢香ちゃん、ロッドを寝せないで!水平より少し立てて!」
霞の指示を聴きながら、竿を立てようとするが、竿はさらに曲がり、リールからドラグ音が鳴り響き続ける。
「ドラグが出てる時は巻かないでいいから、大丈夫、絶対に糸は足りるから。焦らないでね」
「は、はい。お、重い……」
未だに、下へ、下へと突っ込む様に走り続ける魚は勢いが止まらない。絢香は片手でなく、両手でロッドを持ち、なんとか竿を立てようとする。
「絢香ちゃん、ロッドのグリップを肘に当てみて。こんな感じで」
そういい、霞は自身の持つロッドグリップを肘にあてがい、手本を見せる。
絢香はまごつきながらも、ようやくその形に持っていく。
「あ、なんか力があまり要らなくなった?」
「うん♪そうやって、肘にロッドをあてて曲げるとテコの原理で力が半分以下で済むんだよ♪」
「おおー、これだと竿を立てやすい」
絢香は調子にのって、ドラグ音が止んだリールを巻きながらロッドを立てる。
「あ、ダメっ!寝かせてっ!」
「え?」
次の瞬間、いいサイズの魚が水面を割り、首を振りながら体を捻らせつつ、ジャンプをする。
そして、着水すると同時に、絢香の持つロッドから、重みと生命感が消える。
「え?なんで?」
「トラウトはジャンプしたりしてルアーを外しに来るの……」
「え?えーーーーーー!!」
後に残ったのは、魚の着水の波紋のなかに取り残されるように、絢香の作ったクランクだけがたゆたっていた。
タイトル詐欺過ぎた……いや、決して狙ったわけではなく……
流れでばらしちゃった……てへっ←
不定期連載ではありますが、また来週には上げれる……はず。
応援、閲覧が動力となってます。ブクマなども入れていただけると嬉しいです。
また、お付き合い頂けると嬉しく存じます。