エピソードゼロ ~火種~
…なんで、なんでこうなったんだ…!
どうして、水神様が!
…主よ、力を…求めるか…?
…お前!!なんで!?
…説明している時間がない… 契約 だ…。
…妹を…すずを…助けてくれるんだな!?
…助けるのはオレじゃない…主、お前だ。
…代わりが必要だ…。
…早く、神おろしをしなければ…!
…おぉ…次の土地神様だ…!!
…いや…違う…!これは…妖だ!!
…!!
…お父さん!!
…娘、お前に憑りつかせてもらうぞ…!
契約 だ!!
…私は大丈夫…
だから…あなたはしっかり生きて…。
頑張ってね!
ごめんね…そばにいてあげられなくて…
香を…お願い
母さん…待って!!
…坊や…力が欲しいかい…?
…俺は力が欲しい…
頼む…俺に、俺に力をくれ…!!
…契約成立だねぇ…後で後悔するんじゃないよ。
これであんたも立派な 妖付き さ…。
何事ですか!?
…です…!…が…土地神様を…!!
なんですって!?
…母さんが…母さんがぁ!!
…あなたは何ということを…!
…母を助けたければ今は強くなりなさい…
あなたには新しい名を授けます…。
新たな名は武蔵、この名に恥じぬよう
縁で強くなり、母を助けて見せなさい!
私がその機会を与えます。
ハッ…!!
その目覚めは最悪だった。
彼は額についた嫌な汗を横になったままで
手で拭った。
彼の名は武蔵。
だが、これは本当の名ではない…。
彼は武蔵という裏名を持つ15歳の青年である。
「兄様…お目覚めですか…?」
「…あ、ああ…香
今…何時だ?」
部屋に入って来た少女、香に聞く
ニャーと同時に入ってきた白い猫が鳴いた
「今は…亥二つ時です…。」
「そうか…そろそろだな…。」
その人物は起きる
そして服を黒服に着替え、
狐のお面を手に取った
彼は今日、村長、天に呼ばれているのだ
「…行ってきます。」
部屋を出ながらお面をつけた
「行ってらっしゃい、[武蔵さん]。」
物語の歯車が今、音を立てて動き出す…