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四十三話 まずは土調べからです

 洞窟から出て初めて見える北の大陸の大地。聞けば一日の日照時間は五、六時間程だという。

 西の大陸の日照時間は十二時間程なので、半分かそれ以下だ。


 それだけ変われば育てることができる植物もだいぶ変わってくる。

 野菜や花を育てる上で最も大事なのは基本となる土だ。

 まずは、洞窟の出入口から十分ほど歩いた場所の土を調べる。


 指先で触り、つまみ、持参した長い棒を突き刺す。表面を少し掘って水分量を観察。何に向いた土なのかを見極めないと何も出来ない。


「雨はどのくらい降りますか?」


 リーシェの突然な質問に答えるのは、地上の気象情報をある程度は把握しているイグレット王だ。


「月に数回。小さな水たまりが一キロ四方に無数にできる。人が五人ほど立てるサイズのものは三個ほどだ。翌々日には綺麗に無くなっている」


「なるほど。どちらかと言うと多い方ですね。しかし、吸収しているということは、土の保水性や排水性が優秀な証拠です」


 それからいくつか質問を繰り返す。王は素直に教えてくれた。


 一通り調べた結果、黒く艶がありフワフワとしている。さらに保水性や排水性にも優れているが、作土層が少し浅めだ。長い野菜は難しいだろう。掘った結果、途中で水がしみ出してきたので地下水が高いことが分かる。湿った環境を好む植物でなければ育成できない。


 アンが以前言っていたが、各種族の始祖の時代からある野菜と、現在ある野菜とで、だいぶ種類が増えているらしい。


 始祖の時代にあった野菜では難しいとされていた野菜に対する先入観で、魔人族たちは北の大陸の土は育てること全般に向いていないと思い込み、地上に進出することを端から諦めたのだろう。

 新たな植物が発見されたことも、閉鎖的な交流のせいで伝わってくることは無かった。


 偶然にも最近になって育てられるようになった野菜の中に、この大陸でも育てられる野菜がある。

 あるにはあるがリーシェが一番懸念しているのが、どうやってその種を入手するかだ。

 土に見合うものがあっても種がなければ結局何もできない。


「あの、芋類の種はあるでしょうか?」


 ダメ元で聞いてみる。

 すると、王ははっきりと頷いた。


「『グルメ魔法』の保有一族の中に種から作り出せる者がいる。交渉すればどんな種子でも入手できるはずだ」


 なんて便利な魔法だ。リーシェも「グルメ魔法」が欲しくなってきた。

 翡翠の目を輝かせながらリーシェは身を乗り出した。


「今すぐに!その人を呼んでください!!」


 この大陸にも畑が作れると言うことが判明し、少女は大きな期待に胸を膨らませた。


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