07 こちらは実況席~!
あらすじ:情報屋として運営に協力しても実績稼げます
視点:風の神様の1柱 トバス様
『』:猟団長 ボーデさん
「さあ! こちらは1番実況席!
早朝6時開始の{戦場①}が10時過ぎに終了。
4時間の早期決着となりました為
{戦場②}の実況もこの1番実況席で行っております!
実況担当は私、アナ!
解説には、今回珍しく実況を引き受けてくださった
風の神様、トバス様です!」
どうもどうも~。
風を司ってたりしなかったりします、トバスです。
「それでは、よろしくお願いします! トバス様!
そういえばトバス様。
トバス様はあまり解説には来られませんが
今回の{戦場②}何か気になる要因でもありましたか?」
はっはっは、いやいや違うんだよ~。
僕達、神々にはね、存在の認識される事が大事でね~。
それを再確認してもらう為にね~。
定期的に解説者を受けないとダメなんだよ~。
言わばノルマだね、ノルマ。
「は、はあ・・・。
か、神様の間でもノルマとか有るんですね。
・・・あっ!
そういえばトバス様が推薦に挙げてらっしゃる【紅牡丹】!
直前になって参戦してきましたね!
今、勢いの有るあの猟団!
もしかして参戦を予期されてました!?」
いやいや~、それは偶々なんだよ~。
この戦場って、小規模で戦力比が大きすぎて
はっきり言って、消化試合みたいで不人気だったのさ。
盛り上がりも少なそうで、誰も受けたがらなくてね~。
僕も早く終わりそうだから丁度いいかなって思ったんだよ。
「な、なるほど!?(や、やりにくい~、この神様)
それでは、【紅牡丹】の参戦は
楽しみなサプライズってところですね!?」
うんうん、そうなんだよね~。
これなら退屈しなくて良いかな~。
あの子達はしばらく休養って聞いてたしね。
ふふふ・・・モユル君辺りは、特に悔しがりそうだな~。
「そういえば、火の神様であるモユル様も
【紅牡丹】を推薦に挙げてらっしゃる神様の1柱でしたね!」
そうだね、僕やモユル君の創った【紋章】って
同じ火の神、風の神の中でも地味なのが多くて
あんまり人気なかったんだけどね~。
あの子達が目立つ使い方してくれたおかげで
使用者が増えてくれたんで、僕も嬉しいよ。
そうそう、カナデちゃんなんかは特にね~。
ほら、カナデちゃんって音楽を司ってるじゃない?
戦場にはほとんど関係ない能力扱いされてたから
3年前まで【紋章】の使用度どころか
子供達からの認識度も厳しかったからね~。
今では逆に、すっかりあの子達のファンみたいなものだよ。
「なるほど! 神様の世界にも色々あるんですね!
・・・さあ! 予定より早く開始した{戦場②}ですが!
今の所、目立った大きな動きはありませんね!」
そうだね~。
帝国軍が侵攻途中で国境付近の小さな村を飲み込む。
本来は、ただそれだけの内容だったからね~。
ま、一方的な蹂躙になるはずだったのさ。
だから、両陣営に所属する猟団も対照的だよね~。
一方では勝ち組に便乗して荒稼ぎしようとした中堅上位。
一方では、下位脱出を狙ってイチかバチかに賭けた子達。
ふふふ・・・あの子達が参戦する事で
この戦場がどう変わるのか見物だね~。
「そうですね! この{戦場②}の勝利条件は村の防衛ですし。
さあ、どの段階で、どこに出現するのか!
神出鬼没な彼らの参戦が実に楽しみです。」
そういえば、僕が聞いた話なんだけどね~。
あの子達、しばらくは休養予定だったのに
参戦した理由っていうのが笑ったよ~。
ほら、この間さ~{奴隷商人の追撃}って戦場あったでしょ?
その時、保護した奴隷の子の1人なんだけど
結局、あの子達の猟団が預かる事になったらしくてね~。
その歓迎会らしいよ?
「え? か、歓迎会ですか!?
ま、まあ・・・あの猟団らしいと言うか何と言うか・・・。
さて! 現在の戦場の状況ですが!
村の西側と北側に門があって、そこへ続く街道を守る形で
防衛戦が発生しているようですね!」
そうだね、僕の見た所だとね~。
帝国軍はこの戦場を全く重要視してないみたいだから
特に策とかは無く、兵力に物を言わせての力押しのゴリ押し。
う~ん、やっぱり普通に見ると面白味の無い戦場だよね~。
あ、でも防衛側の子達は結構頑張ってるみたいだね。
「防衛陣営では、最近実績を上げている【黒の鉄斧】の他。
火力では中堅上位に匹敵すると言われてる
【フレイムエッジ】が居ますね。
それと、忘れてはいけないのは【狭霧の村青年団】ですね!」
そうだね、そもそもあの子達は
この【狭霧の村】出身の子達で、生まれ故郷を守る為に
結成した猟団だもの・・・それは命がけで守るよね。
あの子達の守る西門への街道は隘路になっているから
今はまだ、かろうじて守れているみたいだけど
さすがに地力の差があるから厳しいかな?
少しでも押されたら、一気に雪崩込んでくるだろうね。
「おっと! その西側の隘路ですが。
帝国軍側は広い為、兵士がみっちり密集してますね!
これは・・・普通では伏兵の格好の的なんでしょうけど。
力押しで十分という、余裕の表れなんでしょうか!?」
まあ、僕もそうだと思うよ~。
今の【オキナ帝国】は、僕達との契約違反があるから。
金銭による傭兵の募集は出来るけど、ギルド施設の利用や
情報を得る事も出来なくなってるからね~。
それはもう余裕過ぎて、指揮する気もないんだろうね。
<<ブオオォ~~~ン! ブオォ~~~~ン!!>>
「おおっと!! ここで! 来た! 来ましたよ!!
この独特の【法螺貝笛】による登場音が鳴り響くっ!!」
あれ? このタイミングで登場なの?
てっきり僕は、演出として村の壊滅間際まで引っ張ってから
登場するのかと思ってたよ、その方が盛り上がるだろうしね。
「確かに、それは私も少し思いましたけど。
やはり、報酬を考えれば
村が残った方が良いと考えたんじゃないでしょうか?
壊滅して敗北判定になってしまったら、半分に減額ですし」
う~ん、あの子達がそんな普通の感性とは思えないんだけど。
何かいつもとは違う変則的な事をしてくるかもしれないね~。
それにしても、この【法螺貝笛】って面白い音色だよね。
確か、遠方の【フソウ】で作られた物なんだよね~?
カナデ君が欲しがってて、特別に取り寄せてもらったな~。
<<パパパパ~ン♪ パパパパ~ン♪
パパパ、パ~パ~パ~パ~パ~~~♪
ジャーン! ジャーン! ジャーン!!>>
「さあ! 【紅牡丹】名物の1つ、特攻隊の登場だ~~~!!!」