守護霊鑑定士とは何ぞや?
§前提知識§
●鑑定
専門的な知識を持つ者が、科学的、統計学的、感覚的な分析に基づいて行う、評価・判断をいう。
また、鑑定の結果を記した報告書を鑑定書という。 wikipediaより
●占いの種類
・命占術
占星術など大自然の法則などをもとに定められた法則に従って占う。
・ト占術
タロット占いなど、道具を用いて一定のランダム性でもって占う。
・相占術
手相など、膨大な経験則からなるパターンに当てはめて占う。
守護霊鑑定は多分、これに当てはまる。
●守護霊
明確な意思をもって取りついた人間を守ろうとする霊。
ヨーロッパ辺りの概念が発祥で言葉自体は新しいが、そもそもの概念自体はかなり古い。
19世紀から20世紀にかけての心霊ブームにも影響されている。
ちなみに、日本で有名なコックリさんもこの流れで誕生している。
●霊視
見えないもの(主に霊)が見える霊能力の一種。
霊視能力の検定・資格・免許なども存在するが、トップページに振込先を載せているなど、協会自体もシステム作って暴利をむさぼる姿勢が明け透けて見える。
記載されている鑑定士一覧も実在するかも怪しい。
●霊感商法
悪徳商法の一種である。霊感があるかのように振舞って、先祖の因縁や霊の祟り、悪いカルマがあるなどの話を用いて、法外な値段で商品を売ったり、不当に高額な金銭などを取る商法である。
その中でも、祈祷料、除霊料、供養料などの名目で法外なお金を払わせるが、商品の販売はしないものを特に霊視商法ということがある。
地鎮祭の費用、先祖供養の祈祷料など、いわゆる伝統的なものとして『社会通念上認められているもの』については、除外されることが多い。 wikipediaより
§守護霊鑑定士とは何ぞや?§
0)ある日の迷惑メールにて
『守護霊鑑定士』とかいう、ある種のパワーワードが目に留まる。
→ぱっと見で違和感の塊だったので、真面目にバカを考えてみた。
→ちょっとした思考実験のようなものだ。チラシの裏程度の気持ちで見よう!
1)霊が存在するという前提・死後存続はあるという認識
→まずこれがなくてはならない。しかし、霊の存在を証明する方法がない。
→霊感はあくまで主観的情報であって、客観的なものではない。
→見えないものが見えている。
→見えていない人間に対し証明が非常に難しい。
2)霊が存在するとして、世界が生まれてからの生命全部が当てはまるのか?
→死後存続:それが一体いつまで続くのか、誰にもわからない。
→もしずっと存続するならば累積が天文学的数字なるため、当てはまらないとする方が無難。
→つまり、どこかで消滅していなければならない。
→もしくは輪廻転生、前世という概念を当てはめる。
→では、最初の魂はいったいどこから来たのか?
→結局、宗教的、哲学的問題となってしまい、解決を見ない。
→人の魂の始まりを、人類史が始まってからとするならば、それは一体いつからなのか?
→明確ではない。そもそも人類史とは連続的なもので区切りを付けられるものではない。
人間の都合で区切っているに過ぎない。
→祖先とは、一体何代前まで遡ればいいのか?という問題も。
3)守護霊を鑑定することに意味があるのか?
→守護霊は骨董品ではない。
守護霊は意志をもって憑りついた人間を守るのであって、簡単に交換できるものではない。
→そもそも物体ではない。故に、鑑定してお墨付きを与えたとしても取引できない。
→憑いているのが守護霊とは限らないのでは?
→何をもって守護霊と判断するのか、基準や根拠はどこにあるのか?通常の霊と守護霊の差は?
→守護霊の形態は?
→色や形が一様であるとは限らない。
→言葉(音声)を発することはできるのか?
→物質に干渉することはできるのか?
→同一個体が死ぬまでついているとは限らないし、途中で交代するかもしれない。
→憑りついているのが人だとは限らない。
→普段身に着けている物なのかもしれないし、家や土地かもしれない。
→複数人数が一人に対して憑いている場合はないのか?
→祖先、先祖、祖霊 一族、氏族単位でひとくくりにする場合が多々。
集合体である可能性も捨てきれない。
→偉人・英雄だけが人類ではない。
→守護霊も当然、これまで生きた人間の数だけ種類があるはず。
→住んでいる国や地域、宗教によって守護霊の傾向に差異が発生しているかもしれない。
→全人類の守護霊を網羅しデータを得る事は極めて難しい。
→統計学的に妥当だと言える数のサンプルを蓄積させているか、甚だ疑問。
→とても手先が器用な人間が、死後守護霊となって憑りついたとして、
憑りつかれた人間は器用になるのか?
→守護霊のいる場合といない場合の差は一体どうなっているのか?
→明確な事例を提示できない。
→守護霊の能力は当たり前だが神に劣る。しかし自分に最も身近な存在ではある。
→守護霊がいないからと言って、不幸になるのか?
→そんなことはない。
→守護霊で占うという行為自体、守護霊に対して失礼なのでは?
→天に召されるという安楽を蹴ってまで、地上に残り、
憑りついた人間を守ろうとする意志は生半可なものではないはず。
→レッテル貼り、レーティングをしたからと言って、
守護霊の格や能力と守護霊に対する思い入れは全く別物。
(※レアリティが低くても推しキャラを重用する人間は多いよね)
◇結論:そもそも守護霊の判断基準に明確なものが何一つとしてないのでは?
4)守護霊を鑑定したからと言って、これからの運勢、未来を示すものではない
→守護霊の能力=その人の未来に直結するわけではない。
→守護霊が利用者の運勢に関わっているかどうか、因果関係がまるでわからない。
→ただし、不幸を遠ざけるという意味では間接的には関係しているとは言える。
→そもそも、運気の上がり下がりをどうやって判断するのか?
→過去と現在との比較なのか、それとも現在と未来との比較なのか、別の基準があるのか?
→最高値は?最低値は?
◇運とは?
最善、あるいは次善の結果を『確立を無視して』引き寄せる能力、要素。
ある事象における確立が正規分布をしていたとしても、個人個人の結果には偏りが生じる。
例:人物A、Bがサイコロを振った結果
Aの結果:6-4-5-5-4-6 Bの結果:1-1-3-2-3-2
→無限回数繰り返すことができなければ、必ず生じる
偏りの生じるタイミングもまちまち。
極端な分布の偏りが生じたとしても平均すれば収束する場合もある。
例:人物A、Bがサイコロを振った結果
Aの結果:1-1-1-6-6-6 Bの結果:1-6-1-6-1-6
→未来の範囲は一体どこまで?
→直近なのか数年先までなのか、それとも死ぬまでなのか?
→いずれにせよ、未来予測にしては根拠に乏しい
顧客が死ぬ未来が見えたとしよう。
いつ、どこで、どのようにして死ぬのか、ピンポイントで特定することなど不可能。
→仮に死ぬ未来・運命が見えたとして、死因が一致するとは限らない。
5)そもそも守護霊が意志を持っているというのならば、鑑定士を介さなくても何らかのメッセージを飛ばしているはずでは?
→鑑定士が仲介する意味が薄い。鑑定士≒通訳ならば、両者に齟齬が生じると非常にまずい。
→そればかりか意図的に守護霊を怒らせたり、無理矢理交代させたり、
顧客と守護霊との仲を壊すことも可能なのでは?
→守護霊の意思を無視する行為を顧客が止める術がない。
→顧客が不利益を被った際の補償がない。
→見えている人と見えていない人の情報量に圧倒的な格差が生じている。
→ギャップを埋める手段がない。
◇ちなみに・・・
【相談料おいくら?】
予想:2~3万ぐらいが相場?
調べた結果、一時間1~2万円とか20分5000円。つまり自給1~2万円
→一日につき一人か二人相手するだけで、十分稼ぎとなる。こう考えると破格。
時間で区切ってあることがほとんど
→鑑定、占いとは、そもそも時間で区切るようなものではない。
→つまるところ相談料と言うことになる→対価に見合ったものを返しているのか?
金を払えば幸福になれるのか?→答えは【NO】
6)利用者は何をもって守護霊鑑定士を訪ねるのか?
利用客の目的とは・・・
・鑑定なのか
・占いなのか
・相談なのか
・未来の情報取得なのか
心理は?好奇心?不安?
不幸が連続すると何らかの関与を疑うのは人間としての性→原因を突き止めたいと考える。
未来に対する恐怖、不安から藁をも掴む思いで縋る。苦しみや悩みから救われたいという願望。
→幸福の追求・不幸の拒絶・心の安寧
7)何をもって守護霊鑑定士を信じるのか?
→そもそも現実の不幸な出来事に対し、霊が関与したという証拠はないし、証明もできない。
→当たるとか当たらないとか、そういう感想は『ただの占い』でしかない。
→鑑定士と言うのならば、不確定な情報を分析し確定させるだけの根拠を提示しなくてはならない。
◇ネット上の占いサイト
マークシートによる選択式の自動診断は、所詮決められたルーチンに従い
結果を当てはめているだけ。
→設問や結果に対し基準と根拠が存在しない。
→問診表を直接、鑑定士が見ているわけではない。
→結局の所、利用者自身の診断でしかない。守護霊そのものを診断しているわけではない。
【バーナム効果・フォアラー効果】
誰にでも当てはまる性格の記述をさも自分のために診断された内容だと思い込んでしまう現象を指す心理学用語である。ニコニコ大百科より
→軽い気持ちでやるものなので、結果の価値も軽い。当たればラッキーぐらいの気持ち。
→そんなものの結果に意味があるのか?
→ある種の娯楽としては成り立つ模様
◇霊能力者ごとに能力にも差があるのでは?
・ある鑑定士には見えても、ある鑑定士には見えない。
・ある鑑定士には○○のように見えて、ある鑑定士には◇◇に見える場合もある
→見え方も一様ではないし、常時見えているとも限らない。
【さらに・・・】
人知を超えた能力には、人知を超えた代償を求められる。
→未来視など人が持つには過ぎた力なのは明らかである。
→霊視能力者がまともな人生を送れる可能性は低い。
→決して便利なだけのものではない。
→それでも守護霊鑑定士を目指した理由、動機は?
医者が流行性感冒症なのかインフルエンザなのか、診断するとき、体温の測定、症状の問診、血液検査などを行う。決まった症状があり、病理があり、様々な手法でもって特定できる。
→診断とは人間の努力の積み重ねであり、確固たるノウハウがある。
→積み上げてきたバックボーン、社会的信用がある。
守護霊鑑定士にはそういったものがあるのか?答えをぼかしたり、鑑定が曖昧だったりしないか?
→占いに当たりはずれがあるが、鑑定結果に『当たりはずれ』があってはならない。
→『確定』させなければ、鑑定士を名乗ることは許されない。
→結局、口コミなどの評判、友人などのコネクションから、半信半疑のお試し気分なのでは?
→当たったという実感がなければ無意味。
→不幸だと実感している人間に、幸福であるという実感を与えるのは非常に困難なのでは?
●結論
守護霊を鑑定することに大した意味はないし、鑑定しただけで運気の上下は起きない。
もし仮に守護霊なるものが存在するならば、守護霊鑑定士などと言う胡散臭い人物には近寄らせないようにするはず。
結局、あいまいな原因と結果に対し 鑑定と言う作業を間に挟むことで、
あたかも未来が確定するかのように誤認させ、あいまいな返答を真であると見せかけているに過ぎない。
技術に対し、対価を求めるのは妥当。
しかし、守護霊鑑定には技術的なものは、何一つとして証明しえない。データベースや研究成果の公表も為されていない。
何代か前の祖先を指定したとしても、家系図の残っていない場合がほとんどで確かめる術が限られる。
英雄や偉人に当てはめても、重複してしまう場合が出てくる。
掘り下げれば下げるほど、矛盾や疑問点が山のように出てくる。
◇結局、守護霊鑑定士は何をしているのか?
守護霊鑑定士の資格を持った占い師であれば商売として成り立つが、守護霊鑑定士だけを前面に押し出しても商売は成り立たない。
只の相談・アドバイスに対して対価を求めるのは妥当かどうか?
カウンセリングをしたいのであれば、国家資格である『公認心理士』や民間資格の『臨床心理士』を取得すべき。そこに心霊現象を加えることに意味はない。場合によっては有害ですらある。
『守護霊鑑定に頼りきるのではなく、未来を自分の手で切り拓いていくのだという想いを忘れないようにしましょう』
責任逃れの常套句でしかないし、ただの気休めでしかない。人付き合いに関するアドバイスと一体何が違うのか?
運の要素を努力でどうにかできるのであれば、守護霊鑑定士に依頼などしない。不安をあおるような言動をした場合、最悪、詐欺罪 恐喝罪で刑事告訴もありうる。
どこで不幸を掴み、どこで幸運を手放しているのか?幸福を掴むにはどうしたらよいのか?福を呼ぶにはどうしたらよいのか?
開運に関するアドバイスは具体的でかつ良識的でなければならない。
しかし、守護霊鑑定士の能力と良識を保証するものは現状存在しない。
よって【守護霊鑑定士】とは、『ただの言葉』である。職業ではない。
§守護霊鑑定士という職業が成り立つためには・・・§
創作におけるバックボーンとして守護霊鑑定士を考える。要は物語の世界観の構築。
◇霊と言う存在の一般化
・まず誰でも霊が見える技術があり、時代であり、世界であることが前提
・霊と言う存在が一般に認知されている必要がある
◇霊と言う存在が現世に及ぼす影響
・現実に起こる出来事に強く結びついていなければならない
・心霊現象と断ずる何かがなければならない
・それらを観測、分析可能な技術がなければならない
◇守護霊の価値
・他の霊と守護霊の明確な区別ができるようでなければならない
・憑りついた人間に対し、目に見える明確な利益が生じていること
・交換・取引あるいはランクアップなどが可能であること
・守護霊の形態に明確な傾向があり、グルーピングができること
・守護霊と言う仕組みが解明されていなければならない
◇守護霊鑑定士と言う職業
・守護霊鑑定がなければ、守護霊の分類ができない、あるいは難しい、技術としての守護霊鑑定が確立していなくてはならない
・守護霊鑑定士になるための能力が、具体的な基準でもって定められていなければならない
・守護霊を取り扱うのための必須技能でなければならない
・研究結果が一般に公開され、認知されていなければならない
・技術や資格を得るのに、国家もしくは組織によって定められた試験をクリアする必要があること
場合によっては専門学校があっても良い
・守護霊鑑定士による違法行為は、法律によって明確に罰則などが定められていなければならない
・社会的信用が確保されていること