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Sランク剣士がテイマーをやって何が悪い〜どっちが魔物かわからなかった? 余計なお世話じゃい!〜

作者: みももも

 テイマー。

 それはこの世界の人気職の一つである。

 だが当然と言えば当然か、テイマーになるためには様々な資格が必要になる。

 まず前提として、魔物に関する一般的な知識を証明するテイマー資格。

 それに加えて高位の魔物を使役しようとすればその魔物に関する資格が特別に必要になる。

 一般的にテイマーの位階(ランク)はこの特別資格をいくつ持っているかによって決められる。

 俺みたいに、一番基礎のテイマー資格しか持っていないテイマーは『底辺テイマー』と呼ばれ、例えばドラゴンに関する資格だけ持っている人なんかは『ドラゴンテイマー』とか『ドラゴンライダー』とか呼ばれたりもする。


 もちろん資格を獲得するのは簡単なことじゃない。

 俺なんて、特別資格どころか基礎のテイマー資格を取るのにすら5年もかかってしまったぐらいだ。

 まあ俺の場合は少しだけ(・・・・)実技が苦手という欠点があったのだが、それでも一般的にテイマー資格を取るには1年間必死に勉強する必要があると言われている。


 ……というわけで俺は今、始まりの草原と言われる街からほど近い魔獣の生息域に、最下級モンスターであるリトルデビルの捕獲に来ていた。


 リトルデビルは悪魔(デビル)と名がついているものの気性はそこまで荒くなく、初心者テイマーの最初の仲間や初心者ハンターの討伐練習によく使われている。

 どういうわけかこのリトルデビルは繁殖している様子もなく、まるで地面から湧き出るように現れるので、たとえこの一帯のリトルデビルを全滅させたとしても明日の朝には同じ数が復活しているだろうとさえ言われている。

 俺も、かつて駆け出し冒険者だった頃は何百体と、技の練習や戦闘の経験値稼ぎのために剣の錆にしてきた。

 そしてこれこそが、元ハンターがテイマーになるのが難しい理由とされている。


 どういう理屈なのか、リトルデビルたちはかつて自分たちの同胞を討伐した人間のことを覚えているみたいなのだ。

 一般的にテイムは、相手の魔獣との信頼関係を築くところから始めるのだが、俺のような元ハンターは、警戒心というか、恐怖心を抱かれているところからのスタートになる。


 おそらくリトルデビルたちの信頼を得るための一番の方法は、リトルデビルに攻撃しようとしている初心者ハンターからリトルデビルを守ること……なのだろうが、上級剣士である俺がそんなことしたら今度は俺が人間社界から追放されてしまう。

 俺はある意味剣士としての人生を捨てて、テイマーとして第二の人生を送りたいと思っているわけだが、だからこそ人間社会での立場も重視していきたいからな。

 それに「人間を襲った経験有り」などとなると、今後テイマーの特別資格を取るときにも不利になってしまう。

 だから俺は、とにかく正攻法で攻めるしかない。


 まず第一に、リトルデビルに俺の存在に慣れてもらうことが重要だ。

 俺がこの草原に立ち入るだけでリトルデビルたちの警戒度が1段階上昇してしまうのが現状だが、俺がこの草原に来ても何もしないとわかったのか、三日目である現在は初日と比べたら警戒度も薄まってきているような気がする。

 この調子でいけば、いずれは警戒度をフラットに戻すこともできるだろう。

 リトルデビルのためならば、三顧の礼でも百顧の礼でも尽くしてみせよう!

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