【友人との合作】未定
合作をしてみたいね。と当時、設定を練っていたのが懐かしい。
結局、卒業までには完成しなかった作品です。
設定・画は友人。文章は私でした。(画はなかったので割愛です)
「はぁっ!」
ガチャン!ドサッ……
とある荒廃したビルの一室に、少女の意気声と金属が壊れる音。それから、数秒して床に落ちたサンドバックの音が響いた。
状況を見てみると、少女は武道をしていたようで、練習用に設置していたサウンドバックが、少女の突きによって蓄積されたダメージにチェーンが負けて切れたようだ。
鉄骨に巻かれたチェーンはサンドバックの重みを無くして、虚しくチャラチャラと音を立てて回っている。
「あーあ……どうするのよ、これ……。お父様に怒られちゃう……」
何処からともなく若い声が聞こえ、寂れたドアから一人の少女がヒョッコリと現れた。
彼女は、この場所に似つかわしいとは離れており、ひざ上まである黒のワンピースの上に色が映えるように白色のショールで肩を隠している。目は服と同じ色、長い緩やかな髪で途中から巻かれたウェーブが肩辺りまで広がっている。その格好でぱっと見ると葬式かパーティーの帰りのようだ。そんな中、もう一人のサンドバックを壊した少女は口を開く。
「ちゃんとお金払うから。大丈夫。多分……」
「多分って無責任な……」
「それなら、花から伝えてくれたら大丈夫。おじ様は花には弱いから」
「それを言っちゃうと千代もなんだけどなぁ……」
花と呼ばれた少女は腕組みをしてゆっくりと話し、千代子と呼ばれたもう一人の少女は隠す様に腕組みして淡々と話し始めた。
――サンドバックを壊した少女は鷹野千代子。一応この話の主人公である。
目は茶色で短く切ったブロンドの髪、服装は普通に市販で売られているような青のジャージに身を包み、彼女の額にはうっすらと汗がにじみ出ていた。
もう一方は千田花。
彼女は千田組のリーダーである首領の娘であり、千代子とは幼馴染で仲がいい親友であった。
そして、千代子の姓である鷹野とは、千田組の元構成員であった父方の娘だったが、父親が死した後、おじ様と呼ばれた千田組の首領が彼女を引き取ったのである。
「疲れたから帰る」
「ちょっ……! 千代!」
自由奔放であるように、千代子は床に置いてあった自分のカバンを肩に掛けるように手に持つと、転がったままのサンドバックの繋ぎ目を、もう片方の手で持って歩き出す。その行動に驚いた花は小走りで千代子に着いて行く。
ズルズルとサンドバックが引きずられる音を聞きながら、二人はトントンと螺旋階段を降りる。
因みにサウンドバックは螺旋階段の柵にガンガンと当たりながら千代子に着いてくる。花はそんなサンドバックを見て、壊れる前は担がれて来たはずなのに、日も立たず壊れて引き摺られるとは思わなかっただろうなぁ。と思いつつ苦笑いを浮かべる。
「でさぁ、千代。そのサンドバック、どうするの?」
「うん? ……お得意さんに直してもらうかと」
心配する花と対立するように立つと、サンドバックに一瞬目を配る。
「大丈夫。無料だから」
「……。千代、あんたね……」
「ノープロブレム」
「いやいや……」
前に向き直し横を向いた千代子は目を光らせて親指を立てる。そんな千代子に花はため息をつくしか仕方がなかった。
「ただいま! お父様!」
花と千代子は年歴がかかったような風貌のアパートの2階まで上がると、花は扉の鍵を取りだして開けることなく、ノブを軽やかに回して、室内へと踊り入る。
鍵を掛けていないとは、何とも物騒だとは思うが、此処は千田組であるからして、泥棒なんかが入ってこようとしても、この地帯を治めている組織に、易々と盗みに入るバカな奴は居ないだろう。
「おお……お帰り、遅かったな。ん? 千代子も一緒か……」
「……」
ぺこり。と頭を下げる千代子に花はやれやれとため息が出る。千代子と付き合って、いく度となくため息を付いてきたのかイマイチ良くわからなくなった。
ため息を付くと幸せが逃げるとはよく言ったもので、現に好きになった男の子に告白すると、振られるのが当たり前になっていた。――とはいえ、千田組の娘だと知られている以上、生半可な気持ちで付き合おうとする男性はそうそういないだろうが。
「さて、花、千代子。君たちは明日から彼と行動してもらう。入ってきたまえ、」
そのまま上げると書いていましたが、どうにもあげられるような文章体ではなかったので、書き直しました。
かの友人とは、中々会えていないので、久しぶりに会いたいです。