軍人、洗濯機を作る③
「さて、まずは試運転といくか。……シエラ」
「はーい。洗濯物はちゃんと持ってきているよ」
完成した洗濯機に洗い物を投入。
洗剤を入れ、ボタンを押すとガタガタ音がし始めた。
「わわっ、ねぇレギオス、変な音がしてるよ?」
「まず試運転だ。これから本格的に回り始める」
しばらく音がしていたかと思うと、水が注がれ始める。
満水になった辺りでガタン、ガタンと音を立て本格的に回り始めた。
「おおー、こいつはすごいのう! 本当に勝手に洗ってくれとるじゃないか!」
「うん、洗濯って大変だから、これってすごい機械だよ」
「動作は問題なさそうだが……ちゃんと汚れが落ちてるかだ」
三人で見守る事30分、取り付けていたタイマーで洗濯機から水が排出されていく。
そしてしばらく高速で空回転をしたのち、ピピッと機械音が鳴った。
「終わったようだな」
「すごいよレギオス! ちゃんと綺麗になってるよ!」
「しかも水切りまで終わっとるぞい。そこまで全部自動でやってくれるとは大したもんじゃのう」
「そうプログラムしてあるからな」
レギオスは洗濯機に電気制御で洗濯、脱水機をタイマーでやるよう設定してある。
回してしまえばあとは干すだけという簡単作業だ。
「こりゃすごいわい。面倒な洗濯がこんなに早く終わるとは、まさに革命じゃ」
「うん、私の仕事なくなっちゃいそう」
「大げさだな……」
そう呟きながらレギオスは洗濯物を取り出し、パンと広げる。
真っ白なシャツには傷も汚れも付いていない。
ちゃんと洗えているようだな、と満足げに頷いた。
「ともあれ、これで大分家事は楽になるな。ところでコリンズ」
「なんじゃ、また新しい機械かの?」
「察しが早くて助かるよ」
「ま、部品が余っとったからの。まだ何かやる気だとは思ったったわい」
「レギオス、今度は何を作るつもりなの?」
「ここは暑い、食べ物がダメになりやすいだろう? それを防ぐものさ」
シエラの問いにレギオスは答える。
高温多湿のギャレフの町では、食品が腐るのが早い。
おかげで毎日買い物をせねばならず、それもまた家事の手間となっていた。
無論困っているのはレギオスらだけではなく、ジークも牛乳を早く捨てねばと困っていた。
レギオスが次に作ろうとしているのは、低温を作り出す機械。すなわち――
「冷蔵庫、だ」