軍人、プラスティックを作る③
「よし、完成だ」
温め終わり、鉄箱の中から鳥の模型を取り出した。
軽く触ってみたところ、普通に固まっているようだ。
「……ふむ、いい感じだな」
翼や嘴の部分など、薄い箇所も固まっている。
もちろん力を加えれば折れるが、プラスティックとしては十分な硬度だと言えた。
「わー、すごいねぇレギオス。牛乳がこんな風になるなんて」
「これが科学だ。面白いだろ?」
「うんっ!」
シエラは珍しく楽しそうな笑顔で頷いた。
好奇心が刺激されたキラキラした瞳。
レギオスも昔、実験で新たな発見した時はこんな風に笑顔を浮かべたもので、それをテレーズにからかわれたものである。
そんな昔の自分とシエラを重ね、苦笑した。
「おおーい、レギオスよーい!」
遠くから聞こえる声に振り向く二人。
見れば、森の奥でコリンズが手を振っていた。
「戻ったか」
「おう、火山竜のやつ、随分と喜んどったぞい。毎日飽きもせず肉を喰っとるらしい」
土産話をしながら大笑いコリンズするコリンズ。
帰りがけにテイスティパウダーを置いてきたが、あれからずっと食べているらしい。
今コリンズが追加分を持っていったわけだが、なくなる寸前だったとか。
確かに飽きにくい味ではあるが……まぁ相手は霊獣、人間の常識で考えても仕方ないかと思い直す。
「それよりレギオスよ、次に作る洗濯機じゃったっけ? それの設計図は出来とるかの?」
「あぁ、だが今回は複雑な部品を多く使う。鋳物で型から作りたいのだが、いけるか?」
「ホ、鋳物ならワシらの得意分野じゃわい。任せておけ」
――鋳物とは、砂に型を作りその中に金属を流し込み、冷やし固める事で成型する方法である。
土と火の民であるドワーフらが発明した金属成形法で、強度はいまいちだがとにかく手軽だ。
レギオスは頷くと、設計図をコリンズに見せた。
「こんな感じなんだが……」
「ふぅむ、中々大掛かりじゃのう。それにかなり細かいし、部品も小さい」
「難しいか?」
レギオスの問いに、コリンズはにやりと笑う。
「何を言っとる。確かに難易度は高いが、ワシならこの程度すぐに作ってやるわい。おいレギオス、砂を集めるのを手伝えい」
「そういうと思って、集めてあるさ」
コリンズの仕事場には大量の砂がどさっと置かれてある。
細かい作業に使いそうな、ピンやらなんやらも。
既に準備は万端だった。
「これで足りるか?」
「……よかろう、では任せておけ。ドワーフ族一の名工と言われたワシの実力を見せてやろう」
やる気満々と言った顔で頷くコリンズは、早速作業に取り掛かったのである。




