軍人、機械製作に着手する③
「コリンズ=ガンドロフさんですね。鍛冶屋として登録したいと! それはそれはこちらとしても大歓迎です、はい!」
翌日、レギオスはコリンズを連れギルドに赴いた。
鍛冶屋としてのスキルを持つコリンズは予想通りギルドに歓迎され、あっさりと登録は終わり、その上かなり大きな仕事場を格安で貸して貰えたのである。
連れて行かれた先で、立派な鍛冶場を見上げコリンズは唸る。
「おおう、こんな立派な仕事場を借りてもいいのかの?」
「えぇ、何年も前の工房主さんが引退するからとギルドに引き渡してくれたものなのですが、中々借り手がいなくて……コリンズさんが来てくれて助かりました。レギオスさん、良い方を連れて来てくださりありがとうございます」
「昔聞いた話を思い出しまして。役に立てて光栄です」
「ほほっ、では早速荷運びをするかの! レギオス、手伝ってくれ」
「おう」
レギオスはコリンズと共に、新たな仕事場へと荷物を運びこんだ。
金槌に金属やすり、ペンチに金床、などなど。
「改めて見るとすごい種類と量の工具だな」
「言っておくがこれでも最低限しか持って来とらんぞ。本当なら窯も持って来たかったんじゃがのう」
「そりゃ流石に勘弁してくれ。鍛冶屋の窯なんてとても馬車では運べないぞ」
「冗談じゃよ。さて、電気機械とやらを早速作るとするかい!」
「まずは電熱器を作ろう。設計図を見てくれ」
レギオスが渡した設計図を、コリンズはじっと読む。
「……ふむ、これなら五分の一くらいのサイズに落とし込めそうじゃの。長老のジジイなら三分の一が限界じゃろうがな! どうだおい、ワシはすごいじゃろ!」
「いや、小さければいいってもんじゃないんだが……」
確かに小型化の為に来たレギオスだが、あまり小さすぎると今度は調理に不便なのである。
「むぅ、そういえばそうだの。仕方ない。この通りに作るか」
「だがそこまで小型化できるなら、それはそれでありがたい。他に作って欲しいものはあるからな」
技術足らずで作れなかった物も多数ある。
コリンズの技術なら、それらも作れそうだとレギオスは考えた。
「じゃあ俺は新しい電気機械の図面を書く。何かあったら聞いてくれ」
「ほいよ。じゃが先日色々と教えてもらったからのう。電気についてはかなり分かったぞい」
満面の笑みを浮かべるコリンズ。
実際かなり優秀で、電気に関してはそれなりの知識を付けていた。
とはいえそれも大雑把なもの。
電流、抵抗、電圧……電気と言っても一括りに言って色々とある。
それらを教え込むにはあまりにも時間が足りない。
わかったつもりのコリンズだが、想定通りに行かない事は無数に存在する。
「む、むむむ……おいレギオスよ。こいつはどういう事じゃ?」
「あぁ、それはな……」
わからないことがあればその都度、レギオスは指導をする。
その甲斐あってか、丸一日かけてようやく電熱器が完成したのである。