軍人、火山竜と相対する②
「むぅ、足りん。足りんぞ」
「そう言われてももう肉がない。俺も疲れちまったし、今日は諦めてくれないか?」
火蜥蜴の肉はもうなくなってしまった。
ここから取りに行くのも面倒だし、また解体して焼く気力はない。
「仕方ない。この辺にしておいてやるか」
偉そうな事を言いながら、鼻を鳴らす火山竜。
霊獣の割に何というか……妙に親近感があるなとレギオスは思った。
「人間よ、その肉を毎日持って参れ」
「そりゃ無理だ。悪いが出来ない」
「ただでとは言わぬ。こいつでどうだ?」
そう言うと火山竜は大きく息を吸い込み始めた。
「きゃあっ!?」
「シエラ、俺に掴まれ!」
「ぬおおおおっ!?」
凄まじいまでの風に、周りの木々に捕まる三人。
しばらくするとそれは止んだ。
見上げると火山竜の頬は大きく膨らんでいる。
「ぶふぅっ!」
そして、息を吐き出す。
直後、遠くで雷のような爆音がとどろいた。
レギオスらが恐る恐る目を開けると、辺りに降り積もっていた灰が綺麗さっぱり消えていた。
「な、何をしたんじゃ!?」
「ここら一体の灰を吸って、吐いた。それだけだ」
事もなげに言ってのける火山竜、遠くを見ると、灰の塊で小さな山が出来ていた。
「毎日我に供物を捧げれば、この辺りの灰は全て我が処理してやろう。噴火も止めようとも思えば止められる。どうだ?」
「そう言われても俺はここの村に住んでいるわけじゃないからなぁ」
「ぐぬぬ……そ、そうか……」
悔しがる火山竜を見て、レギオスは少し考えたのち、コリンズに声をかけた。
「だが、なぁコリンズよ。よかったらここに住むドワーフらでこいつに肉を用意してやれないか? テイスティパウダーは都合するからよ」
肉をテイスティパウダーをかけるだけで誰でもこの味が出せる。
ここへドワーフらがまた住むのであれば、火山竜の庇護は大きいだろう。
灰がなくなればここでの生活も可能。
そうなればわざわざ荷運びをする必要もなくなるのだ。
レギオスの意に気づいたコリンズは、うんうんと頷く。
「む……成る程! そういう話なら大歓迎じゃ! 火山竜よ、どうだ?」
「我は肉さえ食えればなんでもよい」
「決まりじゃ! そうと決まれば帰って宴をするぞ! おいレギオスよ、帝国式の料理を頼むぞい!」
「おう、シエラも手伝ってくれな」
「もちろんっ!」
その夜、ドワーフ村でまた宴が開かれた。
レギオスの料理は大評判で、皆美味い美味いと舌鼓を打っていた。
宴には火山竜も飛び入り参加をし、ドワーフたちは度肝を抜かれていた。
それでも細かい事を気にしない彼らはあっさりとそれを受け入れ、最後の方は打ち解けていた。
「とりあえず一件落着なのかな?」
「みたいだな」
赤い顔で飲み、食い、歌う。
そんな彼らを見てレギオスもまた盃を傾けるのだった。




