軍人、火山に着く②
背負い袋から懐中電灯を取り出し灯りを付けると、真っ暗だった洞窟が灯りに照らされ、むき出しの岩肌が露わになる。
よく見れば通路のようで、地面は石畳になっている。
通路の上には無数の石が転がっており、崩れた時のままになっているようだ。
「どうやら中は手付かずだったようだな」
「……驚いた。ワシらが何年かけても中へ入れんかったのに、こうもあっさり事を成しよったわい」
「なんだよ。信じられないって顔だな?」
「うむ、正直言って全く信じとらんかった」
コリンズの言葉にレギオスはガクッと肩を落とした。
「じゃあなんでついてきたんだよ」
「そりゃおめぇ、仲間だからよ。酒を飲み交わしたら俺たちゃ友だ。親友だ」
「……そいつはどーも」
「がっはっは!」
苦笑するレギオス、大笑いするコリンズ、そして呆れたようにため息を吐くシエラ。
三人は洞窟を奥へと進んでいく。
幾つかに枝分かれした洞窟の奥には、生活スペースが見える。
慌てて逃げたのだろう、殆どそのままなのが生々しい。
「この奥がワシの工房じゃ。……ところでレギオスよ、ここまでついてきたんじゃし、他の連中を差し置いて、最初に行く権利くらいあるじゃろう?」
「あぁ、もちろんだ」
「今の言葉、他の連中には内緒じゃぞい」
太い人差し指を口元に当て、しーと言うコリンズ。
通路を奥へ行くと、立派な工房が見えてきた。
「おうおう懐かしいのう。二人とも、紹介しよう。ここが我が工房『ブラックアクス』じゃ!」
看板には金槌の絵に『ブラックアクス』の文字。
それを支える石柱には見事な細工が刻まれている。
中には作りかけだろうか、見事な金属細工が無造作に転がっていた。
翼を広げた鳥に正面を見据える虎、天へと昇る竜。
いずれも金属で作られたとは思えないような出来栄えだった。
「うわぁ……すごいね。コリンズさん」
「婚礼用の髪飾りじゃったかな。細工を凝らせと言われて作られたもんじゃ。あまり趣味じゃあないが、これだけの細工を作れるのはワシくらいなもんじゃからの。ちなみにもっと凄いものも作れるぞ? のうシエラよ、今日の礼として一品、何か作ってやろうか?」
「ほんと!?」
「あぁ、本当じゃとも!……っと、その為にはまず荷運びをせんとな」
「そうだった」
思い出したかのようにコリンズは工房の道具を外へ運び出していく。
レギオスとシエラもそれを手伝う。
馬の荷車は工房の道具で一杯になっていった。
「ふぅ、とりあえずワシの分はこんなもんじゃ。まだ積めるし、他所の工房の道具も持って帰ってやるかのう」
「早くした方がいい。洞窟内がやや揺れているようだしな」
レギオスが見上げると、洞窟内に微震が走る。
恐らく火山活動の影響だろう。
時折洞窟内が振動していた。
またいつ、揺れが起きるとも限らない。
そうなれば荷物を運び出している暇などない。
三人は頷くと、作業を再開するのだった。




