軍人、ドワーフ村を目指す②
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二人が森を抜けた時である、少し遠くに一筋の煙が上がっているのが見えた。
「レギオス、あれ何かな」
「村だろうか。昔この辺りを訪れた時はなかった気がするが……少し休ませてもらおう」
辺りは魔獣も出るし、安全に休めるに越したことはない。
シエラも口には出さないが、かなり消耗している。
歩みを進め近づいていくと、やはり小規模ではあるが村のようだった。
周りに木の柵を立てているだけで、中の建物も掘っ立て小屋程度の簡素なものが集まっていた。
「魔獣の出る森の近くにある割に不用心だな」
「そうね。あ、見張りさんがいる。……ごめんくださーい」
振り向いたのは、ずんぐりむっくりとした体型のひげもじゃの小男である。
ドワーフ族特有の姿形だとレギオスはすぐに気付いた。
小男は陽気な声で応えた。
「おう、旅人さんかい?」
「いえ、ギャレフの町から来ました。レギオスと申します。こちらは娘のシエラ」
シエラはどうも、と会釈をした。
「ほうほう、そんな遠くからよく来たのぉ。いったい何の用じゃ?」
「あなた方ドワーフの力をお借りしたく、参りました。レギオスと申します。こちらは娘のシエラ」
レギオスが頭を下げると、シエラが慌ててそれに続いた。
「おいおい。人間というのは堅ッ苦しいのう。名乗られたからには名乗り開けそう。ワシはコリンズ、よろしくな。レギオスにシエラちゅうたか? そうかしこまらんでいい。頭を上げな。いったいどういう用件だ?」
「はい、ある器具を作りたくて。その協力を仰ぎたいのですが」
「……ふむ、仕事の依頼か……」
コリンズと名乗った男は、依頼と聞いて顔を顰めた。
ドワーフ族は基本的には人間に好意的だ。
先刻の様子から見てもそれはわかる。
そして無類の仕事好きで、帝都にいたドワーフたちは新しい機械の開発となれば目を輝かせていた。
ここのドワーフとて本質は似たようなものだろう。
にもかかわらず、一体どうしたのかとレギオスは内心首を傾げた。
「……いや、ワシがどうこう言っても始まらん。あいわかった! 長老のところまで案内しよう」
「有り難いです」
「気にすんな。ほら、遠慮せずこっちゃ来なさい」
コリンズに続き、二人は村の奥へと入って行くのだった。




