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シード オブ ランダム ~決め手の異世界チートは賽子で~  作者: 明生 勇里
第1章 サイコロ振って異世界生活
5/17

第5話 ブロンズアント討伐!後編

5話目の投稿です。 人に読んでもらうというのは、中々難しいものですね。今後も頑張ります。

 巣の最奥へ辿り着くと天井の高い巨大なホールとなっていた。壁には、至る所に穴が開いていて、引き裂かれた白い繭と赤く脈動する繭がいくつもある。孵化前後のブロンズアントの卵なのだろう。


 ホールの最奥には、金色の羽根を生やしたブロンズアントが一際大きな穴の中で蹲っている。あれが女王蟻か?女王を守るように1匹の巨大なブロンズアントが赤いオーラを纏い穴の前に仁王立ちしている。ここまでで相手にした兵隊蟻の倍の大きさはある。


 「あのでけえのがガーディアントだな。後ろの守られてんのが女王蟻だ。」

 「でかぶつを倒せば、ほぼほぼ俺達の勝ちだ。」

 「それじゃあ、楽勝ですね!」

 「早く倒して、ギルドで美味しい夕食と行きましょうね!」


  雰囲気強そうで、実際はハリボテみたいな魔物なんかな?サクッと倒してミリアさんと美味しいディナーと洒落込もう。武器に雷纏を掛け直し、ミリアさんから光の鎧(ライトアーマー)を掛けてもらう。準備万端、蟻駆除の最終戦だ!


 「光の煽動(ライトフラッシュ)!」


 シウバさんが、先の戦いで使った光魔法をガーディアントに放つ。魔法を受けてシウバさんに視線を向けたガーディアントだが、その場からは動かない。両腕を前に突き出し黄色の光がシウバさんに放たれる。魔法蟻と同じ三角錐の土塊だ。


 飛んでくる三角錐の土塊に剣を縦に構えて両断する。2射、3射と連続でいくつも土塊がシウバさんへ降り注ぐ。2射目からは、土塊を剣先で弾きながらガーディアントへ接近していく。魔法は通じないと判断したガーディアントは槍を構えてシウバさんへ刺突する。槍を素早く避けて銀色の剣をガーディアントの肩口に振り下ろす。


 剣先が肩に触れる前に、振り下ろされた力を反射したようにシウバさんが宙を舞った。


 バチバチ!  バチバチ!

 

 ギリルさんの投げた短剣がガーディアントの額に向かって飛んでいく。


 キン! キン!


 額に当たる金属音がしたが刺さることなく跳ね返って地面に落ちた。


 「雷纏剣(サンダーソード)!」


 ギリルさんに続いて、俺もガーディアントに剣を振り下ろす。シウバさんと同様に剣が触れる前に反発した力を受けて後ろに弾き返される。ガーディアントの胸に赤い種紋(シードシール)が浮かび上がっている。これは(シード)か?


種族:蟻魔物

名前:ガーディアント

Lv:30

職業(クラス)守護者(ガーディアン)

(シード):斥力 (女王蟻の加護)

スキル:初級土魔法書Lv30 槍術Lv30


 「こりゃあ、面倒な(シード)だな。斥力か?」

 「攻撃が当たらないのでは倒せないな。」

 「あの場所からは動かないんですね。」

 「ガーディアントは女王の前から死ぬまで動かないのよ。」


 追撃してくるかと思ったがガーディアントは動かなかった。何故か土魔法も撃ってこない。再びホールに入ってきた時と同じく仁王立ち状態だ。魔法も弾き返すのかな?


 「風の球(エアーボール)!」


 小さめの風の球(エアーボール)をガーディアントに放つ。


 シュッ!


 「おっと!」


 小さな風の球(エアーボール)が自分に向かって飛んできたのを上手く躱した。


 「魔法も弾き返すなんて無敵じゃないですか?」

 「女王蟻の加護が無くなれば(シード)は使えないんだがな。」

 「んなこと言っても、女王蟻に攻撃できないから無理だろぉ。」

 「女王蟻が死ぬまで(シード)能力も永続ってのが厄介よね。諦めて帰る?」


 楽勝モードでホール内に入ってきたのに、今や帰宅モードだ。シウバさん達の話によるとガーディアントが使える(シード)は、巣の女王蟻によって多種多様らしい。今回は、難攻不落のハズレを引いたみたいだ。物理と魔法が無効か。こうなったら俺の運頼みかな。


 「(シード):ランダム!」


 左手から赤い光が輝きだし種紋(シードシール)が浮かび上がる。同時に、いつも通り3つの賽子(サイコロ)が能力を決定する。これは、使い方次第でどうにかなるかな。


 「ギリルさん、まだ(シード)能力使えますか?」

 「おうよ!あと10分位は行けるぜ!」

 「ガーディアントの腹に、短剣投げて貰っていいですか?」

 「結果は同じだろうが任せろ!行くぜ!」


 シュッ! カキン!


 短剣は、ガーディアントの腹に()()()と斥力によって弾き返される。予想通り一発必中(ファーストショット)は、斥力に妨げられてはいないみたいだ。これなら行けそうだ。


 「シウバさん、確認ですが女王蟻も無敵だったりするんですか?」

 「いや、ガーディアントの守りが無ければ女王は働き蟻以下だ。」

 「了解です。俺がガーディアントを引き付けるので女王蟻をお願いします。」

 「ん、ガーディアントを動かせる(シード)を引いたのか?」


 俺は、シウバさんに首肯して皆に作戦を説明した。それじゃあ、作戦開始と行きますか。俺はギリルさんに魔法を付与した短剣を手渡す。


 シュッ!


 「(シード)極振り(エクストリーム)!」


 ギリルさんが短剣を投げると同時にシウバさんが(シード)を発動する。自己ステータスを1つに極振りすることができる能力らしい。


 「(シード)無限治癒(インフィニティヒール)!」

 

 ミリアさんも(シード)を発動しシウバさんに付与する。MPが尽きるまで対象を回復し続ける能力らしい。


 カキン


 短剣がガーディアントの腹に当たる。弾き返されることなくガーディアントの腹に短剣が貼り付いた。どうやら成功だ。俺は、シウバさんの剣に手を置き魔法を掛ける。


 ザザザザッ!


 ガーディアントが踏ん張った足で地面を削りながらをシウバさんに向かってくる。いや、引っ張られている。次第に踏ん張る力よりも引力が勝る。貼り付いた短剣を支点に宙に浮いたガーディアントがシウバさんの剣と衝突する。


「うおりゃああああああ!」


 ドン!!!


 シウバさんは剣に貼り付いたガーディアントを豪快に持ち上げて地面に叩き付けた。地面に巨大な人型の凹みができた。ステータスを腕力に極振りしたからこその芸当だ。地面に押し付けられたガーディアントは動けないでいる。剣をどかそうとするが持ち上がらないようだ。


「ロア! 貸せ!」


 シウバさんは、俺からブロンズソードを奪い取る。一瞬で女王蟻の前まで移動し紫電を纏ったブロンズソードを振り下ろす。


 ザクッ! バチバチ! カランカラン!


 大穴の中から金色の蟻の頭が地面に転がった。女王蟻の死骸が魔魂石に変わるとガーディアントの胸の(シード)は光を失った。


光纏剣(ライトソード)! とどめよ!」


 ドンッ!


 剣に押しつぶされて身動きの取れないガーディアントの頭へ光を纏ったメイスの一撃が振り下ろされた。さっきまで全く歯が立たなかったガーディアントは、あっけなく頭を潰されて絶命し魔魂石へと変わった。


【ランダム→(シード):闇魔法:引力(グラビティ) 2回(1セット)効果切れ】


 勝負が決すると(シード)能力の効果切れが眼前に表示された。今回は、ガーディアントの斥力と反対の引力(グラビティ)が使えるようになる(シード)だった。それにしても、ミリアさん・・・


 「私の出番が少なかったからね!よーし、ロア君は赤い繭を雷で焼いちゃって!」

 「あっ、はい。分かりました。」


 俺は、赤い光を脈動させている繭に向かって、雷の球(サンダーボール)を放ち焼き払った。全ての繭が燃え尽きたのを確認して、ゆっくりと廃鉱の入口まで戻ってきた。身体強化系の(シード)は、筋肉痛が酷いみたいでシウバさんはお疲れモードだ。


 「んじゃ、仕上げで炎の結晶投げるから、みんな下がってな。ミリアは壁作ってくれ。」

 「はーい。光の壁(ライトウォール)!」


 ドンッ!


 シルバースネークの口に投げ込んだ時と同じ爆発が起こり廃鉱の入口が閉ざされた。あの爆弾は、炎の結晶というのか覚えておこう。再発防止の為、入口を閉鎖するようにギルドからお達しがあったらしい。


 「んじゃ、ギルドへ帰るとしますかね。ロア!リターンストーンに魔力流せ。」

 「えっと、このクリスタルにですか?」


 ギリルさんから渡されたクリスタルに魔力を流し込むと4人が青い光に包まれた。青い光は空高く伸びていき視界が真っ青になった。


 「お、お帰りなさい!ロアさん、無事に初クエスト完了しましたか?」


 聞き覚えのある女性の声が耳に届き、視界が次第にクリアになっていく。ギルドカウンター前へ転移したみたいだ。リターンストーンだっけ?めっちゃ便利アイテムじゃないか!


 「カ、カレンさん、只今戻りました!無事に討伐完了です!」

 「やっぱりですか!討伐おめでとうございます!クエストの報酬など登録作業進めますね。シウバさん達もお疲れ様です。その様子だと、やや難ありだったみたいですね。」


 カレンさんにお疲れモードを見抜かれたシウバさんが、頬をポリポリ掻きながら肯いていた。クエスト報酬を受け取った後は、昨夜同様に宴会となった。


 「しっかし、コツンと当たるからって弾かれたの見た後に引力(グラビティ)でくっつくと思わねえよ。」

 「引力(グラビティ)に触れた物と引力(グラビティ)を掛けた物が引き合う魔法だというので、一発必中(ファーストショット)で当たるならいけるかと思いまして。あとは装備可能Lvの話を思い出して試してもらったんです。シウバさんの力技は予想外でしたけど。」

 「磁石のように俺の剣にガーディアントが貼りついても女王蟻の所まで戻られたら意味が無いからな。あいつでは装備できない武器を上に乗せて動けなくする。装備可能Lvをあんな使い方する奴、初めて見たけどな。」

 「ロア君て、魔法の使い方も変わってるし発想が豊かなのね。」


 夕食を食べながらガーディアントとの戦いを振り返る。思い付いたアイディアでピンチを切り抜けることができた。何だかんだで神様は乗り越えられる試練だけ与えているのだろうか。今日の反省会を終えると、シウバさん達の武勇伝が始めり、更に楽しい宴会となった。


 「そいじゃあ、俺達は明日の早朝にフェブレーの街へ行くからよ。ロア頑張れよぉ!」

 「サクっとLv20になってフェブレ-まで来いよ!」

 「シウバ!Lv20までって、普通は半年はかかるわよ。うーん、でもロア君ならサクッとレベル上げちゃうかも?頑張ってね!」

 「はい!皆さんのような武勇伝作りながら頑張ります!」


 ミリアさん達は、ジャニューの街での滞在は元から1日の予定だった。明日の早朝から商人の護衛を受けていてイースさんの時のように隣町まで送り届けるらしい。短い付き合いになってしまったが、また近い内に再開したい。


 明日からまた頑張るぞー!!!気合を入れて昨夜の睡眠不足を補うように泥のように眠りに落ちた。


 うーん。どれくらい眠ったかな?今日も何だか体が重い。(シード)や魔法の使い過ぎが原因かな。体を伸ばそうと腕を伸ばすと柔らかいものに触れる。こっ、これは。


 ムニュ・・・


 スースーと下着姿で寝息を立てるミリアさんが、今晩も俺の布団の中に潜り込んでいた。あー、嬉しいけれど童貞の俺は今日も眠れません!寝不足のまま翌朝を迎えたのは言うまでもない。

毎日更新頑張ります。 評価・感想頂けると嬉しいです。

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