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シード オブ ランダム ~決め手の異世界チートは賽子で~  作者: 明生 勇里
第1章 サイコロ振って異世界生活
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第1話 君の能力はランダムで!

初投稿です。よろしくお願いします!

 頭上には、どこまでも広がる青い空、正面には長く続く街道がある。視界の先に薄っすらと石壁で囲まれたような建造物が見える。建物まで辿り着くのに歩いても走っても1時間以上かかりそうだ。街道の右手側には草原が広がり奥には丘が見える。左手側には木々が生い茂った森がある。後方は道が曲がりくねって先が見えない。


 とりあえず前に向かって歩けという事だろう。こんな道のど真ん中に投げ出されるとは思わなかったな・・・


 服装は、革のブーツ、布の服、腰に袋、武器は何もなし。


「ん? この左手の模様は・・・?」


 腰の袋を確認しようと添えた掌には、黒い模様が刻まれていた。右手で触れてみる。


「うぉっ!?」


 触れた瞬間、模様は黒から赤に変わり2本の光が頭上まで広がり、長方形のディスプレイに形を変える。光は赤から白になり、眼前に知らない文字が左から右へ浮き上がっていく。


「えっと、見たことない文字だけど意味は分かる。異世界召喚ならではのお約束かね?」


 俺【如月 竜亜(きさらぎ りゅうあ)  35歳独身 彼女無し ヲタク趣味 サラリーマン】は、ヲタクの聖地アキハバラからこの地へ飛ばされたのだ。諸々の経緯は後程語るとして、まずはこの文字だ。


 どうやら俺を道のど真ん中へ飛ばした張本人からのありがたーい手紙のようだ。


『神様から迷える我が子らへ 世界の歩き方』


 だって。どこぞの旅行本か?


『1:文字と言葉は、自動翻訳』


 ふむふむ、それでなくては生きていけない。


『2:まっすぐ2時間も歩けば街に到着』


 2時間て、そこそこの距離ですね・・・


『3:腰のアイテム袋には、君の貯金と同額封入』


 おぉ!無一文回避か!貯金と同額って!


『4:君の(シード)は、送り出す前に言った通りランダム付与』


 ああ、そうですか・・・


『5:では、新たな人生楽しんで』


 え、これだけ?文章、短くないですか!?


 読み終わると同時、ディスプレイは光を失い消え、掌の模様も赤から元の黒に戻っていった。


「世界の歩き方を記したにしては、大した内容も無しか。嫌がらせじゃねえか!」


 秋葉原で買い物中に隕石落下で、こりゃあ死んだなと思ったら、宇宙空間みたいな所に投げ出され、気付けば目の前に神様を名乗る白い少年が現れた。神様は、異世界へ転移&転生するから、与える能力を選べと言った。



 神様がくれる異世界能力は、(シード)と呼ぶらしく【身体強化】【魔力強化】【剣術】【位置交換】【範囲拡大】【意思疎通】【鍛冶】【教育】【商売】など異世界転生冒険者向けな能力から、サポート隠居生活向きな能力が並び、興味を持った種(シード)で悩んでいると突然不条理なお知らせが届いた。


「おそーい、時間切れだからもう君はランダムね!」

「え、時間切れ! しかもランダムって! 聞いてないですよ!」

「聞かれてないし、僕は忙しいからね。あんまり1人に時間掛けてられないわけさ。詳しい事は手紙に書いとくから読んでおくれ。それじゃあ、いってらっしゃい!」


 どんな能力を貰ったのか、どんな世界に飛ばされるのか全く聞かされずにイマココという状況である。


「とりあえず歩いて着いた先で情報収集と身支度整えるか・・・」


 アイテム袋の中には、神様が言った通りに金銀銅で作られた貨幣が沢山入っていた。俺のコツコツ貯めた1000万がこの世界でどの程度の価値になるかわからないけれど暫く生きていくには充分だろう。仕事以外は、家に籠ってゲーム三昧だったから貯金は第2の趣味だった。


「しっかしー、水や携帯食料も無いなんてな。まあ、逆に街まで安全に歩けるってことかな?今のところ何もないし。」


 青空に自然が広がる街道を歩き始めは、新緑が気持ち良いなどと思っていた。体感1時間もすると、真夏のような日差しになり全身からは汗が噴き出て、喉はカラカラで呼吸も上がっている。アイテム袋の中身を隅々まで確認したが、この暑さや喉の渇き、体の疲れを癒す物は何も入っていなかった。お金以外何も・・・


「ちょっと休憩するかな。」


 服の袖で汗を拭って、木陰に腰を下ろし呼吸を整える。目を閉じると心地よい風が、より一層体を冷やしてくれるのを感じる。風が気持ちいいなんて暫く思わなかった。


 ゴソゴソッ! 


 背後から草木をかき分ける音がした。俺はビクッとして目を開き立ち上がる。振り返ると目の前に、大型犬サイズの兎のような獣が現れ突進してきた。


「うおっ!」


 突然の来訪者に驚き尻もちを着いた。兎は俺の事など目もくれず華麗に飛び越えて草原へ駆けて行った。この世界で初めて見た生物に驚きながらも埃を払って立ち上がり大きな兎を目で追った。


 ブンブンブンブン


 風切り音が聞こえてきたとほぼ同時に眼前を大きな灰色の塊が通過した。


 ドガーン!!!!


 衝突音がして草原に2(メートル)越えの大きな石斧が兎の真横に突き刺さっていた。兎は恐怖ですくんで動けないようだ。


 ヤバイヤバイヤバイ、逃げるか隠れるかしないと・・・ 巨大な石斧が通過した=それを投擲できるナニカが近くにいる事に俺は恐怖した。


 ブンブンブンブン


 聞きたくない音が再び聞こえてきた。


 ザクッ!!!


 鋭く切り裂く音と共に2本目の石斧が突き刺さった。今度は兎に命中し胴の部分から地面に縫い留めている。ピクピクとまだ動いている。


「おー、俺のはちゃんと当たったな。おいっ!エイン!おめぇのは外れてるぞ。次はちゃんと仕留めろ!」


 俺は、咄嗟に隠れた茂みから声の主を確認していた。獲物を見て声を上げた石斧の持ち主は3m近い巨躯でピンク色の肌をした豚顔が二足歩行している。いわゆるオークってやつかな?神様の手紙の通り言葉は分かるみたいだが今はまだ隠れていよう。


「アルテアの兄貴は流石だぁ! 俺はまだまだ石斧がうまく使えねえ。だから、得意なこれで仕留めるぜー」


 エインと呼ばれた2匹目のオークは、1匹目よりも小柄で細身だ。勿論戦って勝てる気はしない。1匹目を兄豚、2匹目を弟豚と呼ぼう。


(シード)追跡魔法(リモートマジック)!」


 弟豚が中二病チックな言葉を叫ぶと彼の右手が赤く光り出す。俺の左手の模様に似ている。この世界では獣人にも(シード)とやらが与えられるのか?


風の斧(エアートマホーク)!兎を細切れにしろ!」


 魔法のようなものを唱えた瞬間、弟豚の右手に緑色の光が集まり3本の緑色の斧が現れた。斧は兎に向かって回転しながら飛んでいった。衝突の瞬間、鮮血と共に肉塊が散乱した。



「エイン!くいもんをミンチにすんじゃねえ。これじゃ食えねえだろ!馬鹿!」


 弟豚を罵倒しながらも兄豚は笑みを浮かべている。食べる為に殺したのか怪しい所だ。


「アルテアの兄貴すいやせん。次は、ちゃんと食えるように捕まえるんで!」

「おう! エイン! 次は、ちゃんとやるんだぞ。次は。」


 2匹は、地面に刺さった石斧を回収すると俺の隠れている茂みの方に近付いてくる。


「なあ、小僧― 遊ぼうか?」

「なっ!!痛っ!」


 この場を離れようと考えていた矢先に、兄豚に両足首を掴まれ逆さ吊りにされていた。ジタバタするが力の差は歴然で身動きが取れない。足を掴んでいるオークの右手が光っている。視界から一瞬で消えたのは兄豚の能力か・・・


 種族:オーク

 名前:アルテア

 Lv:20

 職業(クラス):オーク戦士

 (シード):身体強化 Lv???

 スキル:???


 鑑定スキル発動か?オークに触れられたと同時にゲームでお馴染みの表示が視界に現れた。ピンチな状況だが、なんだかワクワクしてしまった。


「やっぱ兄貴の(シード)は、身体強化すげぇ!瞬間移動みたいでしたよ!」


 弟豚が、こちらに駆け寄りながら歓喜の声を上げて兄豚に変わり俺の両腕を掴んで再び宙吊りにする。頭には血が上らないからさっきよりはましだ。


 種族:オーク

 名前:エイン

 Lv:18

 職業(クラス):オーク戦士

 (シード)追跡魔法(リモートマジック) Lv???

 スキル:???


 相手の体が俺に触れると分かるのか兄豚に続いて、弟豚のステータスも表示された。戦士タイプと魔法使いタイプのようだ。俺自身のLvやステータスは分からないが今の所は2匹相手に勝てそうにない。とりあえず、無駄だと思うが交渉してみよう。


「えっと手を離してくれないかな?友好的に解決しようじゃないか。」

「餌の言うことを誰が聞くよ?ん、こいつオーク語がしゃべれるのか?珍しい奴だな。翻訳の(シード)持ちか?」 


 交渉決裂か。てか、俺の異世界能力って翻訳だったの!?ステータスが見えるのもそのせいですか!?餌を前にした獣に、(シード):翻訳とか現状打破不可能だ。このままあっさり2度目の死を迎えるのか・・・


「いや、種紋(シードシール)が光ってない。恐らくスキルの一種だろう。おい、小僧!(シード)を使え!」


 兄豚が怒声を上げると弟豚は俺を茂みから街道へ向かって放り投げた。


(シード)を使え!? うわっー」


 (シード)を使うと模様が光るのか。左手は、まだ光ってない!神様がくれた折角の能力が翻訳じゃなくて良かった。いや、そんなことよりも俺に与えられたランダムの(シード)ってどうやって使うの?そんな事を考えながら体が宙を舞い全身が地面に打ち付けられる。


「兄貴は気が短けぇんだ。声にだしゃあ使えるだろ?俺に飛び火が来る前に早く使え!」


 弟豚は苛立った様子で近付いてきた。俺は痛みで立ち上がれず仰向けに倒れたままだ。弟豚の言葉と共に吹きかけられる息が生臭い。臭いに顔をしかめながら考えた。声に出せば使える?こいつが最初に使ったときは確か・・・


「あぁ、もうどうにでもなれ!(シード):ランダム!」


 俺はオークが叫んでいたのを真似して起死回生の能力発動を祈った。


 どうやら成功だ!左手の掌が赤く光り輝き、目の前に、虹色の立方体が3個現れグルグルと回転している。人型、杖、魔法陣、剣、盾、アイテム袋のようなマークがそれぞれの面に刻まれた立方体が1つ、L10のようにLの後に数字が刻まれた立方体が1つ、同様にTと数字が刻まれた立方体が1つ、3つの賽子(サイコロ)が動きを止めた。


「あん?何も起きねえ?兄貴!戦闘系の(シード)じゃないみたいっす。もうこいつ殺っていいすか?」

「弟よ、今度は細切れにするなよ?俺の分もちゃんと残しておけ!」

「へい!ちゃんとやりまっ、ぐはっ!」


 俺はオークたちが話している間に能力を理解した。Lv30というのがどの程度の力か分からなかったが、試しに弟豚の顔面を蹴っ飛ばした。充分な脚力があったようでオークの巨躯が吹っ飛んだ。


 これなら何とかなりそうだ。素早く立ち上がり、傍らに落ちていた石斧を両手で掴み突然の事にまだ起き上がれない弟豚の首筋目掛けて斧を振り下ろす。首の代わりに左腕が赤い血と共に宙を舞う。オークは左腕を失いつつも体勢を立て直し歪んだ顔で赤く光った右手を正面に構え叫ぶ。


風の槌(エアハンマー)! くっそ、俺の腕が!!!」


 奴の右手から緑の光が集まり3本のハンマーが現れ一直線に飛んでくる。(シード)によって身体強化された俺は、魔法のハンマーを素早くかわして再び奴に接近して斧を振り下ろす。


 突然、背中に3度衝撃が走り弟豚を飛び越えて奴の後方へ吹っ飛ばされる。なるほど追跡魔法が弟豚の(シード)だったね。骨は折れていないようだが、痛みはなかなかのものだ。


風の槌(エアハンマー)!」


 吹っ飛ばされる俺の方に向き直り再度詠唱を繰り返す。魔法名だけ唱えれば発動するとは便利な世界だ。感心している場合では無い、追撃のハンマーが3本飛んでくる。体勢を立て直し衝撃に耐えるために両腕を交差して身構える。


 ドドドドドドッ!


 3度の衝撃をどうにか耐えて顔を上げると左腕からボタボタ血を垂らしながら石斧を振り下ろす弟豚が現れた。仕返しをしようと接近戦で来たのだろう。だが遅い!Lv差のおかげで石斧が届くよりも速く奴の腹にボディーブローを叩き込んだ。奴は悶絶して、体をくの字にさせる。素早く石斧を奪い取り首筋に振り下ろす。赤い鮮血と共に豚の頭が地面に転がり絶命した。オークの死体は、虹色に光り輝いた後に野球ボールサイズの玉になり俺のアイテム袋に吸い込まれていった。剥ぎ取り系ではなくドロップ系のファンタジーのようだ。アイテムは自動回収とか楽ちんだ。そんなことが頭に過ぎりながらも石斧を兄豚に目掛けてぶん投げる。遺品の返却だ。


【ランダム→(シード):全身身体強化 Lv30 時間 1分 効果切れ】

 (シード)の効果切れが眼前に表示された。俺の(シード)は、賽子(サイコロ)で能力を決定するランダム式のようだ。使途不明なランダム能力を適当に1つ与えられた訳ではないらしい。神様グッジョブ!


 今回の賽子(サイコロ)の目は人型、L30、T1だった。出た目を確認した後、全身に力が漲り付与された能力を頭で理解できた。物は試しと蹴りをくらわせたら巨体が吹っ飛んだ。あとは時間切れになる前に格闘ゲームで鍛えた腕前でオークに挑んでみた。結果は大成功だったが身体強化の副作用か全身が筋肉痛だ。


「エインをやりやがったな!!!! この小僧・・・」


 さっきまで弟が腕を切り落とされても傍観していた兄豚だったが、返り討ちに合うのは予想外で今は怒りに震えている様子。ぶん投げた形見の石斧は受け取らずに避けたみたいだ。折角、形見を返してあげたのに。


(シード):ランダム・・・お、連続して使えるみたいだ」


 身体強化が切れた状態では勝てそうにないので、もう一度(シード)を使ってみた。左手が再び赤く光り輝き、虹色の賽子(サイコロ)が3個現れる。同時に目の前にピンク色の拳が視界に入り吹っ飛ばされる。さっきまでとは比べ物にならない位の痛みが顔面を走った。Lvが戻ったからダメージも甚大ってことか。奴も、ご自慢の能力を使ってきたようだ。


「小僧!(シード)を使う暇など与えん!エインと同じ目に合わせてやる!」


 俺が吹っ飛んで地面に着地する前にボディーブロー、体がくの字になった所で、両腕を頭上へ振り下ろし、下からは膝蹴りを叩き込んできた。俺は吐血し膝から滑り落ち仰向けに倒れる。直後、右腕を踏みつぶされ強い衝撃と鈍い音がした。学生時代振りの骨折だ。


「へあーほまほぉーく・・・」


 攻撃を受けている間に3つの賽子(サイコロ)の目は杖のマーク、L10、T1で決定した。詠唱前の俺の眼前に【魔法:模倣 威力Lv10 1回】と表示されていた。3本の風の斧が、石斧を振りかぶった兄豚に襲い掛かる。魔法に気付き奴は石斧の軌道を変えて盾にして防いだ。石斧と一緒にピンク色の巨体は吹っ飛んだ。


「小僧!殺してやるぅぅぅぅ!」


 Lv20の相手にLv10の魔法では、吹き飛ばしただけで大したダメージは与えられてないみたいだ。起き上がる前に勝負を付けるしかない。俺は、痛みで身動きも取れない。ここはお決まりの異世界チート能力に頼むしかない。今度は、高Lvの能力をお願いします!


(シード):ランダム・・・」


 蚊の鳴くような声でも力は反応するみたいで左手が赤く光り輝き最後の望みをかけた虹色の3つの賽子(サイコロ)が振るわれる。結果が出るよりも早く、兄豚は俺の前に立っていた。俺の右足、左足は順番に強い衝撃を受け同時に鈍い音がした。痛みで、視界がチカチカしてきた。兄豚に唯一無事な左手を掴まれ宙吊りにされる。


「左腕は折らずに切り落とし、苦しませてからエインと同じく首を刎ねてやる!」

「その前に形見をちゃんと受け取ってくれ。」


 ドン!


 衝撃と共に風の斧で包まれた石斧が奴の左腕を切断し、左腕に掴まれたまま俺は地面に下ろされた。


「うぎゃあ! 俺の腕がぁぁぁ・・・」

「お前の弟得意の追跡魔法で、最初に投げた石斧を風の斧で回収してここまで飛ばした。」


 何が起こったのか分からず痛みに苦しむ兄豚に種明かしをしてやった。


【魔法:模倣 威力Lv10 1回】の(シード)を使って3本の風の斧を作り出し、2本を打ち出し3本目はダメ元で兄豚に向けて放り投げた石斧を包んで戻ってくるように仕向けてみた。石斧を盾にした奴には3本目は見えなかったようだ。戻ってきた石斧が首を刎ねてくれれば決着だったが、そこまで上手くいかなかった。


「この小僧ぉ!!!今すぐ殺してやる!」


 左腕からボトボトと血を垂らして、弟豚とお揃いになった兄豚が右腕に石斧を握りしめ俺の首筋目掛けて振り下ろしてくる。


「賽は投げられた。召喚!!!」


 俺は、必殺の一撃が込められた石斧に向かって赤く光り輝く左手を伸ばす。瞬間、巨大な質量の何かが放たれる。質量の放出に伴って後方に吹っ飛ばされる。その何かは、石斧と衝突しても何もなかったかのように前に前に放たれる。


 そのまま灰色の何かは、オークと衝突した後は空高く上昇していった。


 漆黒の角が2本、長い首と大きな翼に鋭い鉤爪が4本、硬そうな鱗で体表は覆われ尻尾の先には3本の突起物が生えている全長50m超えの巨大な生き物が左手から放たれた。


 ドラゴンだ!賽子(サイコロ)の目は、魔法陣のマーク、L100、T1を出していた。


【召喚魔法 Lv100 1回】と表示されていた。


 ドラゴンの行き先を見上げているとピンク色の何かがボトボトと落下してきた。ドラゴンにより食われたオークの残骸だろう。


 バッサバッサ!!  ズシーン!!!


 翼をはためかせドラゴンが地上へと降り立つ。巨躯の着地と地揺れが起こる。


「人の子よ、本来は召喚主に仕えるのが定めである。だが、Lv1では我を従えるには力不足だ。このまま契約不履行とし、お前を喰らうのも良いが、未熟なお前が、何故、我を召喚出来たのか些か興味がある。才を評価して生かしてやろう。我と真に契約したくば、力をつけ再び召喚するがいい。では、また逢う日を楽しみにしているぞ!」


 バッサバッサ!


 空高く舞い上がりドラゴンは消えていった。


「いやいや、我が血を分け与え傷を癒してやろう!とか回復してから帰還するとこじゃないんか・・・」


 異世界来て短時間で、どうにか死地を潜り抜けたけど、なかなかの重傷で身動き出来ない。俺は、街道に仰向けになりこのまま死ぬのかなと思いながら意識を失った。誰か助けてください!


毎日更新目指して頑張ります! 感想頂けると嬉しいです。

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