あざとさと職権濫用と譲歩と
「それでタブさん、私のユニークスキルの問題をどう解決するの?」
「はい、母上! 『ユニークスキル:生命創造』に、オンオフ機能を付けました。これで任意でスキル発動できます。
タブは母上のスキル管理をしております故、これくらい造作もないことです」
タブさんがキラキラした瞳で私を見上げてくる。
「スキルの調整って……」
「サーティス様、他のタブレットもこんな事できるの?」
「いえ、タブレットにスキルを変更する能力はありません」
「変更するのに人化する必要があったので、頑張りました」
頑張れば人化ってできるものなのだろうか……そう思って、サーティス様を見れば、首を横に振っている。
多分、タブさんが優秀なのだろう。
「タブさん、ありがとうね」
そういうとタブさんの顔が、パアッっと花開いたような表情になるが、何かまだ物足りないらしい。
もじもじしていたかと思うと、抱っこしていた私の腕のなかから飛び降りる。
今まで抱っこしていたから分からなかったが、人型タブさんの身長は私の腰より少し高い程度だ。
そしてタブさんは私の腰に手を回すと、抱きつき、頭をグリグリと擦り付ける。
もしかして……と思って、私が頭を撫でるとタブさんは満ち足りたように、目を閉じた。髪の触り心地が、さらさらして気持ちいい。
「このエロタブレット、 奏ちゃんの腰に手ぇ回して! 俺だってしたことないのに!」
やっとペンタブ師匠の拘束から逃れられたリグレット様が大股歩きでやってきたかと思ったら、私からタブさんを引き離した。
師匠、私がそろそろリグレット様を許してもいいかなぁ……って思ったのを汲み取ってくれたのかな。
「リグレット様、大人げないですよ。こんな子どもに!」
「タブレットに大人も子どももないでしょ!?」
全く……ただ抱きついているだけなのに、エロタブレットって。
誰もがみんなリグレット様みたいに、エロ目的で抱きついている訳ではないよ。
タブさんはといえば私の背後に回り、リグレット様から隠れている。
「あのですね、タブさんが人化したのだって元はといえば、リグレット様が人形の調整を初期化したからでしょうが!
いわばあなたがの尻拭いをしてくれているんですよ!」
「そ、それとこれとは話が別でしょ!」
「別じゃないですよ!
タブさんが初期化をなかったことにしてなかったら、私は未だにリグレット様を許してないですし、こんな風に話をすることもなかったでしょうね。
そういえば私はまだ、リグレット様の口から謝罪の言葉聞いてませんしねぇ」
私がジト目でリグレット様を見ると、ばつの悪そうな顔をしている。
リグレット様、大の男が左右の人差し指同士ををツンツンさせながらいっても、可愛くもなんともないんで……
「そんなに怒るなんて思ってなくてさ……
悪かったとは思っているよ。でも奏ちゃんのおっぱいがなくなると思ったら、いてもたってもいられなくて」
「おっぱいおっぱいって、そんなにおっぱい好きなんですか?」
「おっぱいを嫌いな男なんていない! もちろん俺だって大好きさ! 」
リグレット様がとんでもなく、おっぱいにご執心なのは分かった。
「そんなにおっぱい好きなのに、記憶消えてもいいから転生選んでたら、どうするつもりだったんですか?」
「まあ、そこは神の力使って身体の成長に手をくわえれば、なんとでもなるし」
まさかの職権濫用だったよ。でも、私が男になるっていったらどうするつもりだったんだろうなぁ、この神。
「中でも奏ちゃんのおっぱいは至宝レベル、マジ神!
大きさ、形、多分感触だって天下一品なはず! くぅ……触りたい」
更に続けるのかよ。
こんなことで神に神いわれても……それになぁ。
「リグレット様、私は自分の胸が好きじゃないんですよ。肩こりするし垂れるし……
できれば、ほどほどの大きさの美乳になりたいんです」
「ダメったら、ダメ! そんなことするなら俺、転移の許可出さないから!」
「おっぱぱぱぱ……なんて、ハレンチな! せめて双蜜桃といってください」
サーティス様が鼻血を堪えるため、必死で上を向いて、手で首筋をトントン叩いている。
また厨二ワード出てるし、このままじゃ劇場始まっちゃうかも……話変えないと。
「ところでサーティス様、転移にリグレット様の許可って必要なんですか?」
「え、はぁ、書類にサインが必要なので……でも、奏さんがどうしてもというなら、特例で社長にサイン貰ってきますので、気にしないでくださいね」
よしよし、なんとか意識を逸らせたぞ。
でも、サーティス様にトントンしながらいわれると、無理させるのも悪いなぁって気になる。
うーん、仕方ない……
「タブさん、保存直前の設定を胸だけ元に戻せる?」
「もちろん可能ですけど……母上、アレのいうとおりにするのですか?」
「まあ結果的には、そういうことになるかな」
「母上がアレのいうとおりにする必要など、ないんですよ! どうして?」
「いうとおりにしない方が、面倒なことになりそうだからかな。正直、理想の身体は惜しいけど、ここは譲歩するよ」
「奏ちゃん、俺のために……」
「リグレット様、それは違いますから。胸の件は譲るんで、他のことに色々便宜図ってくださいね?」
そこはキッパリいい切っとかないと。
「それは、もちろんだよー。何でもいって!」
リグレット様の言葉に、サーティス様が頬をひきつらせているが、ゴメンねサーティス様。
ここは自重しませんからね!




