表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2LDKのアパート物語の一節  作者: スズキやんま
5/5

「待ってうそでしょ知らなかったの?」

「お、おう。」

「はー、よく僕についてきたね。魔法使いだって知らなかったんでしょ。すごいよ、素性の分からない相手をよくここ前で信用できるの。とんでもないバカか、最強のメンタルの持ち主。」

「うるせーよ、素性を明かさなかったのはお前だろ。」

「あ、僕のスペックを君に見せてなかったっけ。」

「あぁ。」

 サクラは大きくため息をつき、指を動かした。あの時使った魔法だ。湯気がもくもくと現れ画面のようなものが出てくる。

 そこには、サクラが魔法使いであることと所持金、名前が書かれていた。

 名前…、そこには確かに名前が書かれていた。サクラとは別の名前。

「西川メグミ…。」

「…。」

「お前…、西川メグミっていうのか。サクラとかけ離れてんじゃねぇか。」

「…。」

 俺の声に何一つ反応せず、サクラはずっと下を向いている。指を画面のほうへ向け、何かをぼそりとつぶやいた。画面は湯気をまとい、そのまま消えていった。

「お、おい。」

「ねぇ。」

 耳をつんざくような大きな声で叫んだ。裏返り、かすれた声は焦りを隠しきれていない。

「君さ、サクラって呼んでね。」

「え、でも」

「サクラって呼べよ。」

 低く響く声でサクラは言った。

「あぁ。」

 サクラの迫力に圧倒されてしまう。後ずさりをする俺をサクラはまだ追い詰める。

「いいね。」

「わかったって。」

「ならよし。だけどね、ほかの人に私の名前を言ったら殺すから。君が一番苦しむやり方で殺してやるから。」

「わかったわかったから。それ以上凄むなって。」

 それを聞き、彼女は視線を俺から外し空を仰いだ。

 混乱していて気が付かなかったが、雨が降りそうだな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ