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見上げるとそこには、一人の少女がいた。少女…。いや、少女と呼ぶには大人びていて女性と呼ぶには幼い。だが、それはあくまでも雰囲気だけであって容姿は中学生のように見える。
「お、その顔は何だい。この状況が飲み込めないようだな。」
俺の返答を待たず、中学生(仮)は話をつづけた。
「君はさっき、しんどいって言ったね。何がしんどいのか具体的に言ってくれないか。」
「お前は…。誰だ?」
「んあ?会話が成り立たないな。日本語のはずなんだけど…。まぁいいや。はろー!きゃんゆーすぴーくイングリッシュ?あ、伝わんないか。」
「いや、そのだからお前は」
「話を戻すと、君がしんどいって感じているものは君自身が理解してないっぽいんだよね。この先に進むにはそういう不純物があると大変なんだよ。んで挑戦者の君はそれを排除しなければならない。少なくとも最後のクエストまでには。でもどうやって排除するかが問題なんだよね。そんで上が出した結論は、排除されるまで挑戦者を放置しとけっていうね、あったまおかしいんじゃないかっていうね。」
「いやだからお前は」
「待って待って本題はここからだよ。」
こいつ…。俺の話をまるで聞かない…。
「放置したところで不純物が排除されるとは限らないし、たとえされるとしても放置は効率が悪いでしょ?でも、それを上に抗議して決定を先延ばしさせるのは建設的じゃない。もうしょうがないから僕が独自で進めることにしたよ。だけど僕は心理学とかよくわかんないし、空気を読むのも苦手。で、昨日思いついたのがもう排除しないまま旅をさせること。旅の過程で排除されるっしょ。」
ん?初耳のことが…。いや、この状態が初見で初耳なんだけど。
「ちょっと待て、俺は旅をするのか?」
「え?知らなかった?」
あ、会話ができた。
「もしかして挑戦者とか、君がこれから何をするのかとかも知らない感じ?」
「あ、あぁ。」
気が付いたら知らないところだったし。
「んー。人事め。面倒くさがったな。オッケーオッケー。」
中学生(仮)は何か考え込む素振りを見せ、指を動かした。
すると、俺の前に小さな画面のようなものが浮かび上がった。