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48話・可愛い白狐

アリーズやコンと晩餐を済ませて自室に戻ってきたフェリックスは、窓の外で白いものがちらつくのに気が付いた。


「コン?」


 そんなはずはないのに白くてふさふさしたようなものが見えた気がして窓の側へ寄る。そこには一匹の白狐がいた。コンに良く似ているが微妙に違うような気がする。


「にゃあうる」


 甘えたような声にフェリックスは窓を開けてやり、白狐を部屋の中にいれた。

 よく見ればコンよりも少しほっそりして見える。コンの兄弟かな? と、フェリックスは思った。


「おまえはコンの知り合いなのかな?」

「にゃああああるるる」


 猫みたいに鳴いて、フェリックスの足に纏わりついて来た。


「ずい分と人懐こい奴だな」


 そう言いながらフェリックスは、思い出の中の白狐を思い出していた。


「おまえはシロってことないよな?」


 あの時、自分はまだ四歳。もう二十年は過ぎているのだ。狐の寿命は何歳までかは知らないが、もうかなりの年齢になっていることだろう。だけど目の前の白狐はあの若い白狐のコンとそう変わりのない年に思えた。


「まさかな。それならシロはかなりの高齢ってことになってしまう。シャワーを浴びたばかりなんだけどな。何か匂うか?」


 白狐がふんふんと鼻を彼の足に擦り付けて来る。くすぐったいな。と、子供のように身を捩りながらフェリックスは机の上においてあったガラス瓶に手を伸ばした。

 その中には星の形をした砂糖の塊が入っている。書類作業が行き詰ると甘いものが欲しくなるので、随時常備している物だ。それを何粒か掌に取り出して白狐の前に差し出すとぺろりと食べられた。思わず「可愛いな」と、呟けば「にゃあう」と、返事が返って来た。


 コンは人の気持ちが分かるのか、アリーズのいう事を良く聞く。この白狐もコン同様に人の気持ちが分かるようだ。

 白狐は寝台に上がりこもうとした。


「おいおい。帰らないのか?」

「なううう」


 人に飼われているのか分からないが懐かれたようである。一足先に寝台に上がりこまれ「寝ないの?」と、いうように首を傾げられる。


「先に寝ていて良いよ。私にはまだやることがあるから」


 フェリックスがそう言って領地から届いた書類を前にして机に向かうと、白狐は椅子に座った彼の膝に乗って背を丸めた。


「おまえ懐きすぎだろう。警戒がないのか?」


 初対面だと言うのに警戒がなさ過ぎる白狐に対してフェリックスは心配になりながらも、艶のあるふわりとした毛の誘惑に抗えなくてその背を撫でてやった。


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