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27話・可愛い訪問者再び

今回は甘~いです。

 それから五日ほど過ぎた晩にわたしの部屋をエドが訪れた。狐の姿で。一度は侯爵のもとへ帰ったと思われたエドだったがまたやってきたのだ。

 始めは夜中ということもありコンの正体を知った今では彼を部屋にあげるのは節操がなさそうで断ろうと思った。だけどベランダで中に入れて欲しいと前足を持ち上げてカリカリやってる狐の姿に根負けしたわたしはなかに入れてあげた。


「いらっしゃい。エド」

「なぁわうううん」


 窓を開けて部屋の中に促すと、彼は媚びるように鳴いてわたしの足元に纏わり付いて来た。わたしは狐姿の彼を抱き上げながらベッドの上に腰掛けた。彼はわたしの腕の中で大人しく抱かれている。


「エドったらどうしてまた狐の姿になってるの? わたしにはばれたのに?」

「この方が可愛くていいだろう? おまえが気に入ってたみたいだからな。それに元の姿でこの時間に訪ねるわけには行かないだろう?」

「それはそうだけど。明日、昼間に訪ねてくればよかったじゃない?」


 わたしの腕の中の狐のエドがわたしを見上げて頬を舐めた。


「明日まで待てないくらいおまえに会いたくなったんだ。だから来た。嫌か?」

「ううん。わたしもよ。エドに会いたくなった」


 わたしは首を振った。わたしもあのバカップルを見ていたら堪らなくエドに会いたくなった。ふわっふわの彼の毛に頬を寄せると汗臭い中にスパイシーな匂いに柑橘系の甘さが混じったような香りがした。彼の使用している香水の名残りだろう。駆けて来たのか少しだけ息が上がってるのが分かる。


「これからわたしお風呂なんだけど…先に入る?」


 浴室には湯が溜められた湯船が用意されている。前は狐姿のエドと平気で一緒に入ったりしてたけど、さすがに正体を知ってしまった今となっては一緒に入る? なんて気軽に誘えやしない。一緒に入浴だなんて恥かしすぎるもの。


「一緒に入ればいいだろう? 前みたいに。お湯が勿体無い」

「そんな訳いかないでしょう」

「なんで?」

「なんでって分かるでしょう?」


 わたしは俯いた。エドは鼻先をわたしの頬に押し付けて来た。


「俺は気にしないよ。この姿でいるし。なあ。アリー?」


 狐の姿で一緒に入るなら問題ないだろう。と、エドは害のなさそうな顔をしてわたしの袖を口で引くが、どんな姿をしてようとエドあなたですから。エドと一緒に入浴…考えてたら顔から火が出そうなくらいカッカして来た。


「やっぱり無理! いいから先に入って来て」


 わたしは狐のエドを浴室へと放り投げた。湯気で曇りガラスになっている浴室からはくすくすと可笑しそうな声が上がっていた。からかわれていたらしい。

 しばらくして濡れ狐のエドが浴室から出て来た。狐の姿でどうやって体を洗ったんだろうと思いながらもわたしは彼にバスタオルを渡しそそくさと浴室に駆け込んだ。エドと目があって愉快そうにその瞳が細められたのを見て気恥ずかしさに見舞われたのだ。

 いつものように入浴タイムを済ませながらもどこか落ち着かないような気持ちにさせられて寝室に戻って来るとベッドの上で体を丸めているエドがいた。目を閉じている。寝顔が可愛いな。と、ベッドに腰を下ろしながら見惚れてしまった。


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