3/3
第3話 妻の心情は意外にも
「木洩れ日さん、今日はすまなかった」
お披露目の日の夜、私は木洩れ日に詫びる。
「いいえ。今まで岩の皇子様は不愉快な思いをしていらしたのですから、当然のことです。お気になさらないで下さい」
「しかし、、、」
「わたくし、属州出身ですし、年上ですし、皇族の血も引いていません。岩の皇子様の正室には相応しくありません。それなのに岩の皇子様はいつもお優しくて、わたくし、本当に幸せです」
「え?」
「それから、側室をお持ちになるようにと日の御子様のお勧めがあったのに、「子が何人かできて木洩れ日が落ち着いてから」「できるだけ実家の勢力が強くない女性を」と仰って下さったのも存じてます」
「そうか、知っていたのですか」
「はい。ですから、わたくしは岩の皇子様の御心に背くようなことは考えてもいません。ご安心下さい」
そう言って木洩れ日は私に寄りかかる。
何だか胸のあたりが暖かくなったような気がした。
「木洩れ日さん、、、皇子はよく寝ていますか」
「はい。しばらくはお目覚めにならないでしょう」
お幸せなようで、良かったです。