プレイ1日目
※5/10 武器防具から攻撃力・防御力表示を削除しました。
※5/13 G=ゴールドについての目安を加筆修正しました。
宿屋のシステムについて加筆しました。
始まりは急だったが、案外こんなものかも知れないと思い直し落ち着いて状況を確認する。
「とりあえずメニューを開いてっと・・・。」
ハント
レンジャーLv.1
HP100/100
MP20/20
STR1
VIT1
DEX5
AGI5
INT1
MND1
LUK3
ステータスポイント:0
スキルポイント:0
<<スキル>>
<弓術>Lv.1 <遠距離攻撃力上昇>Lv.1 <木工>Lv.1 <錬金術>Lv.1 <料理>Lv.1 <鷹の目>Lv.1 <夜目>Lv.1 <隠密>Lv.1 <ステータス鑑定>Lv.1 <アイテム鑑定>Lv.1
<<称号>>
なし
<<装備>>
武器・・・初心者の短剣・初心者の弓
頭・・・なし
胴・・・冒険者の服
手・・・なし
脚・・・冒険者のズボン
足・・・冒険者のブーツ
装飾品・・・レンジャーリング
<<所持金>>
1,000G
メニューを開いて自分のステータスを表示する。特に問題は無さそうだ。初期装備もしっかりと着けているみたいだ。
ちなみに初期装備はファイターを選べば初心者の剣と初心者の盾、ファイターリングが貰え、キャスターの場合は初心者の杖と冒険者のローブ、キャスターリングになる。
「装備の性能も一応見ておくか。」
・初心者の短剣・・・レンジャー用の初期装備。『破壊不可』『売買不可』
・初心者の弓・・・レンジャー用の初期装備。『破壊不可』『売買不可』
・冒険者の服・・・冒険者向けの普通の布の服。『破壊不可』『売買不可』
・冒険者のズボン・・・冒険者向けの普通の布のズボン。『破壊不可』『売買不可』
・冒険者の靴・・・冒険者向けの薄い革のブーツ。『破壊不可』『売買不可』
・レンジャーリング・・・レンジャー用の初期装備。DEX+1 AGI+1『破壊不可』『売買不可』
「まぁ、初期装備だしこんなものだろうな。あとは、五感の設定と・・・。」
装備の確認をし、五感の設定を弄る。基本はデフォルトだが痛覚以外を100%まで上げておく、狩人スタイルならば自分の感覚は重要だからな。
ちなみに幻想世界Onlineでは全員がストレージを持っている。これはアイテム等を収納するボックスのようなもので対象に触れていれば収納可能で、自由に出し入れ出来る。初期では50枠、それぞれ1つのアイテムに付き99個まで纏める事が出来るが、武器や防具等纏められない物もある。Lvが1上がる毎に1枠づつ増えて行き、最大で100枠のアイテムをストレージに収められるようになる。
ついでに言っておけば、この幻想世界Onlineは月額が結構いい値段する代わりに課金要素がほとんどない。これは出来る限り平等にプレイして欲しいという運営の方針らしい。
「よし、とりあえず初期設定と確認はこんな所でいいかな。早速街に出てみよう!」
私は年甲斐も無く逸る気持ちを抑えられないでいた。今までプレイしていたMMOとは違い、自分の目や耳、感覚をリアルに感じる事が出来る。宿屋の部屋の中にいるだけでも高揚してしまうのだ。
「おや、お客さん、ゆっくり休めたかい?朝食はどうする?」
部屋は2階にあったようで1階に降りると宿屋の女将さんに話しかけられた。この世界のNPCは高度なAIを搭載しているようで普通のプレイヤーとまったく見分けが付かない。
「ああ、いい部屋だったよ。朝食をお願いします。」
「はいよ、その辺に座って待ってな。」
端の方に空いてる席を見つけて座る。どうやら周りの人はプレイヤーのようでみんなキョロキョロ周りを見たり、メニューを確認するような仕草が確認出来た。すこし待つとパンとスープ、サラダが運ばれて来る。
「ありがとう。おいしそうだよ。」
「そりゃ良かった。しかし最近急に冒険者っぽいのが増えたねぇ。こっちは助かるんだが、何かあったのかねぇ?」
「さぁ、私は詳しくは知らないですね。」
とりあえず、急に話しを振られてつい知らない振りをしてしまった。NPCの感情が豊かだとは聞いていたが、こうも自然に会話してくるのかと驚いて変な反応になってしまったかもしれない。
朝食を食べ終わって女将に礼を言って宿の外へ出る。
「はいよ、いってらっしゃい!」
この宿屋はゲームのスタート地点になっていてプレイヤーは最初のログインから一週間分の部屋を与えられている。通常であれば1泊300G、食事が1食50Gは掛かるので初心者の財布には非常に厳しい。この一週間は云わば運営の親心らしい。
プレイヤーはログアウト時にセーフティーエリアを利用する必要がある。その為、セーフティーエリアである宿屋の利用は必須なのだ。ちなみに、緊急時の為に1時間以内のログアウトは安全が確保されているが、フィールド等で1時間以上ログアウト状態が続くと仮死状態に移行しモンスターに殺されてデスペナルティーを受ける危険性がある。ただ、運が良ければ仮死状態のままで放置され、ログイン時には普通に活動を再開出来る。
ちなみに宿屋について説明しておこう。プレイヤーは最初のログイン時に始まりの街の複数の宿屋にランダムに配置される。宿屋の部屋の中は異次元空間であり、フィールドから隔離された特殊な場所だ。これは宿屋の部屋がシステムの一部となっていてプレイヤー全員をこの異次元空間に収容する事が出来る。そして部屋の扉を開けばフィールド扱いになる。これはゲームの仕様で、沢山のプレイヤーが宿屋不足で泊まれないという状況を発生させない為の措置だ。こうする事によって宿屋の部屋の中は完全な安全地帯となる。
そしてゲーム内の全ての宿屋の部屋は、どこから入っても同じ部屋、最初にログインした始まりの街の宿屋の部屋に繋がっている。宿屋の部屋という異次元は1つしか存在していないのだ。
~閑話休題~
笑顔で見送ってくれた女将に頭を下げながら外へ出ると、まさしく異世界が広がっていた。建物は石造りの物もあれば、木造もある、遠くには大きな城も見えている。そして行きかう人は多種多様な人種、そして色んな臭いや賑やかな音が聞こえてくる。
「・・・これは、すごいな。」
私は自然と呟いていた。想像や妄想よりも凄まじい感覚に感動する。私が若い頃から夢見ていたVRの世界が今正に目の前に広がっているのだ。
「おや、あんたも今日始めてこの街に来た冒険者さんかい?ようこそ始まりの街『アリアシティ』へ。良かったらうちの『ケッコーの串焼き』でもどうだい?」
「ありがとう、1本貰うよ。」
「毎度あり、10Gだよ。」
ケッコーの串焼きはめちゃくちゃ美味かった、甘辛いタレが肉に絡み付いて野菜の甘味も引き出している。あれで1本10Gというのは驚きだ。
ちなみに1Gは日本円で10円だと思って貰えればいいだろう。今の串焼きが100円、宿代は3,000円、食事が1食500円くらいが目安になる。
「う~ん、まずは街の中を散策してみるか。折角なんだからしっかり楽しまないと。まずは地図が欲しいな。」
街の中を見ながら歩いているといつの間にか外へ出る門まで来てしまっていた。どうするか迷っていると門番らしき人に話しかけられた。
「外へ出るのか?身分証を持っていない場合は入る時に100Gかかるが大丈夫か?」
「そうなのですか、知りませんでした。身分証はどうやって手に入れればいいでしょうか?」
「なんだお前、入る時にちゃんと聞いていなかったのか?まったく。」
門番さんはそう言いながらもきちんと説明してくれた。どうやら身分証を持っていない場合は街に入る際に100Gが必要になるらしい、身分証は冒険者ギルドや各職人ギルドに所属すると手に入るようで門番さんには冒険者ギルドを進められた。どうやら私と同じようなプレイヤーが後を経たないようで門番さんも説明にすっかり馴れてしまったのだと言う。
「ありがとうございます。冒険者ギルドへ行ってみます。ちなみにこの街に図書館はありますか?」
他にも色々と聞いたが門番さんはちゃんと教えてくれた。見掛けによらずいい人みたいだ。まずは冒険者ギルドの前に図書館で勉強しよう、この世界の事をちゃんと知っておかないとね。
私は門番さんにお礼を言ってまずは図書館へと向かった。
お読み頂きありがとうございます。
まずはこの世界の説明的なものからチュートリアル的なものを書いてみます。
本格的な冒険までもう少々お待ち下さい。