プレイ13日目 騎獣
「すいません、ギルド長はいらっしゃいますか?」
昼食後はまず錬金術ギルドへ向う。予定では戻っているはずなのだ。
「はい、おりますが。あなたは昨日いらっしゃった冒険者さんですよね?お名前をお伺いしても宜しいですか?」
「ハントです。里の件でお礼に来たと伝えて貰えれば分かると思います」
「畏まりました。あちらに掛けて少々お待ち下さい」
受付嬢が席を立ってから10分程でギルド長の部屋へと案内された。その時にこっそりギルド長の名前を確認する。
「ギルド長の名前ですか?マーティー・グリオスです」
マーティーさんか、ここは様と呼ぶべきか?やはりギルド長の方が呼びやすいし無難だよなぁ。やっと名前が分かったけど取り合えずはギルド長のままで呼んでいこう。
「ギルド長、里ではお世話になりました。無事に精霊魔法を覚える事が出来ました、本当にありがとうございます」
まずはしっかりと先日のお礼をする。例えイベントの一環だとしても覚えられたのはギルド長のお陰で間違いない。
「そうか、それは良かった。精霊魔法は使えば使うほど力が増す。日々精進しなさい。何、300年もすれば立派な精霊魔法使いになれるよ」
「ははは・・・、ギルド長に負けないように頑張ります」
エルフの感覚で言えば300年も、という感覚だろうが私からすると300年なんて人生4~5回はやり直せそうなくらい長い時間だ。恐らく、スキルLvを上げろという意味のエルフジョークなのかもしれない。途方も無さ過ぎて全く笑えなかったけど。
「まぁ、また何かあったら頼ってきなさい、それにこちらからお願いする事もあるかもしれんから、その時は宜しく頼む」
にっこり笑ったギルド長と握手をして錬金術ギルドを後にした。
「しまった。錬金術について聞くの忘れてた!」
折角クラフさんからギルド長に錬金術について聞いてみるようにアドバイスを貰ったのに忘れていた、今から戻るのも申し訳ないし錬金術を聞きに行くのはまたの機会にしよう。今度は忘れないようにしないとな。
次は騎獣屋に向う。まずは見学させてもらって大体の値段の把握が目的だけど、もしいい子が居たら買ってもいいかもしれない。
「すいません、騎獣を見せて貰えませんか?」
「おや、あなたは先日の冒険者さん。お安い御用ですよ、自由にご覧下さい。分からない事があれば聞いてくださいね」
販売用の騎獣が居るスペースはまるで動物園のような雰囲気だった。どうやら騎獣によって管理の仕方が違うらしく、馬等の比較的大人しい騎獣達は広場に出ていた。戦闘用で気性が荒かったり、群れを好まないような騎獣は檻の中にいるらしい。
取り合えず店員さんに鑑定の許可を取って良さそうな子が居たら鑑定してみる。
グレーホースLv.1
HP60/60
MP5/5
STR4
VIT5
DEX2
AGI5
INT1
MND1
LUK1
<<スキル>>
<ダッシュ>Lv.1
ちなみに一番安い馬のステータスがこうなっていた。値段は2万G。ステータスは他の馬もそんなに変わりは無かった。
「う~ん、やっぱり移動だけを考えるなら馬でもいいのかなぁ。荷物はストレージに入るから荷車を引かせる訳じゃないし、無理して戦闘させる必要もないもんなぁ」
他にも色々と見て回る。途中で気になる騎獣もいるのだがそれなりに高い。
・ウォーキャット・・・大型の猫科に属するモンスター。戦闘可能。騎獣時は種族特有の瞬発力を発揮し、縦横無尽に動き回る。価格30万G
・グランドコドモドラゴン・・・ドラゴンと名前に付くがリザード種の下位種族。戦闘可能。皮は硬いが、機動性にも優れている。能力のバランスはいいが見た目から女性には人気が無い。価格15万G
・ファイアラプトル・・・機動力に優れたリザード種。比較的小柄だが口から吐くファイアブレスは強力。戦闘可能。価格12万G
戦闘系はやはり高い。一番安いファイアラプトルでも12万Gもする。大きさは高さ1m80cmくらい、発達した後ろ足で走るが前足は退化して小さくなっている。スピードは結構出るみたいだが結構揺れるらしい。一応戦闘が可能でファイアブレスや太い尻尾が攻撃手段みたいだ。
私が気になったウォーキャットは、現実でいうアメリカンショートヘアーのような見た目で、どちらかと言えば豹に近いようなかっこいい猫だった。瞬発力が高く、高い所から飛び降りたし、ジャンプも出来る。但し、見た目から分かるように非常に人気が高く、それなりの値段がする。
どうやらリザード系はあまり人気が無いようだ。私は好きなのだが、金もないし、騎乗しながら弓を使える子がいいので揺れが激しいのは遠慮したい。猫系はしなやかな動きで揺れも少ないらしいのだが、一番安くて30万Gからではちょっと手が出ない。
「犬、狼系も高いんだよなぁ・・・狩人と言ったら相棒は犬か狼が理想なんだけどなぁ」
一番悩んだフォレストウルフも見た目や性能は文句なしなのだが、これも30万Gする。犬猫はリアルと同じように人気があり高いみたいだ。
「やっぱり、買うとしたら広場に居た馬系か」
一旦奥まで見て、入り口の広場まで引き返す。かなり時間を掛けて吟味しているがなかなか決断出来ないでいる。
広場には馬系の騎獣や、ヤギのような角の生えた騎獣、キリンと馬の中間のような騎獣等がいた。その広場の片隅に寝ている騎獣が1体、無性に気になってすぐに鑑定を掛ける。
ホーンラーバLv.1
HP80/80
MP5/5
STR5
VIT5
DEX3
AGI7
INT1
MND1
LUK3
<<スキル>>
<ダッシュ>Lv.1<スタミナ>Lv.1
鑑定する時にふと、その騎獣と目が合った気がした。
「冒険者さん、あちらのホーンラーバが気になりますか?」
「え?えぇ・・・」
なぜか丁度タイミング良く、店員さんが後ろに居たようで声を掛けられる。店員さんの雰囲気はどことなく悲しげだ。
「実はあのホーンラーバは角が片方ないのです。その為、察知能力が低く買い手が付かない状態なのです」
店員さんが言うには、角が無いだけで他の部分では何の問題もなく、通常は6万Gはする人気の種族だそうだ。馬よりも持久力、スピードに優れ足腰も強い。しかし頑固な種族で気に入らない主には従わないらしい。
なぜ店員さんが悲しげだったかと言うと、ずばり売れないからという事だ。この広場に居る騎獣の中で一番長くここにいるそうで、このままだと処分も有り得るらしい。売れない理由は商人であればやはり曰くつきの騎獣は嫌がり、冒険者は察知能力の低さに難色を示し、金があれば戦闘系の騎獣を求めるからだそうだ。
「ちなみにあのホーンラーバは3万Gとなっております。もし宜しければ・・・」
店員が申し訳なさそうに聞いてくる。実際3万Gなら出せる。私はもう一度そのホーンラーバを見る。確かに片方の角はないが全体的に黒に近い茶色の毛並みは綺麗で、筋肉もしっかり付いている。茶色の鬣は長く美しく、耳が長くてかわいい。目もしっかりとこちらを見据えている。
「ちなみになんですが、雄ですか?雌ですか?」
「雌ですね」
雌として見れば何となく凛々しい印象を受ける。ジッと見つめていると向こうから近寄ってきて顔を擦り付けてきた。もうこの時点で私の気持ちは決まってしまった。
「買います!」
「あ、ありがとうございます!」
店員さんと謎の握手を交わす。そしてすぐに支払いを済ませる。
「後は、この子に触れて自分の名前を告げ、この子に名前を付けて上げれば騎獣契約が成立します。この子を宜しくお願いします」
「任せて下さい、大事にします」
そして騎獣の名前を考えていない事に気が付き、その場で悩む事となった。
お読みいただきありがとうございます。
明日の更新も夜になると思います。
騎獣やっと登場しました。ホーンラーバという種族でラバに角生やした感じで色は黒鹿毛となってます。目の上、耳のすこし下辺りに角があるのですが、左が折れてありません。女の子です。
そして肝心の名前を考えていませんでした、もしいいアイデアがあればコメントお願いします。明日は仕事で帰宅が夜なのでそれまでにコメントと自分で考えたを見比べて決めたいと思います。