プレイ7日目
翌日、ログインして直ぐに昨日の依頼の報告をしに冒険者ギルドへ向かった。達成報酬を受け取るとギルドを出る。次は鍛冶ギルドへと向かう。昨日採った鉄鉱を使って鉄の矢の作成と一部の道具を作る為だ。
まずは共同の作業場で銅鉱を使ってスキル上げを行う。大量にあっても使い道は限られているし、Lvが高い方が品質も良くなり、作れるレシピが増えるので素材は無駄に出来ない。それに自分で採って来た素材を使うので材料費も抑えられていい事ばかりだ。
「銅は全部『簡易作成』で処理してしまっていいな。全部矢尻にする訳にもいかないし、何か考えないとな」
インゴットにしておけばストレージで纏める事が出来るし、ギルドで買い取って貰う事も出来る。もしいいアイデアが浮かばなければ後々売ってしまうのもありかもしれない。取り合えず矢を10セット作れるだけの矢尻を作成して残りはインゴットの状態でストレージに仕舞っておく。
「鉄鉱は炉で打つか。料理用の包丁と木工の道具も自分で作り直したいしな」
燃え盛る炉の前でひたすらカンカンする。そう言えば前よりも熱くない気がする、これが多分マントの耐熱の効果なんだろう。額の汗を拭いながら心の中でセレナにお礼を言う。
鉄鉱をインゴットにし終わった段階で<鍛冶>Lv.6になっていた。すでに銅ではスキルLvが上がらなくなってしまったのでこれからは鉄以上の素材をメインに扱って行く事になりそうだ。
「次はこれを矢尻にして・・・」
続けてインゴットを矢尻に合成する為にひたすらカンカン打つ。形状は銅の時と同じなので深く考える必要は無い、強くなれ~強くなれ~と念じながら叩いていく。技術不足はイメージとシステムの補正でなんとかなるので非常に助かる。こんなに続けて打っていればリアルなら確実に握力が無くなるだろうし、腰に来そうだがVRならその心配も無い。本当にありがたい。
「次は包丁と鋸と金槌と・・・」
矢尻が完成したら次の作業に取り掛かる。包丁の作り方はゴンゾ親方に見せて貰っているし、他のも作り方は聞いて来たので問題はないだろう。せっかくなので料理用に鉄串も何本か作っておいた。今後の冒険で外で倒したモンスターの肉を焼くのに使いたいと思う。折角テントも手に入れたし、野営したいと思う。大自然の中で食べる肉はきっと美味いだろう。想像しただけで頬が緩んでしまったので気を取り直して作成の続きに取り掛かる。
ちなみに作成を大雑把に説明すると、炉で素材を熱する、叩く、完成。という非常にシンプルな工程と映像になる。素材と叩く長さや時間、生産者のイメージ、スキルによって同じ品物でも個性が出る仕組みになっている。なので名前が同じショートソードを作ったとしても長さや形、強度に差が出たり、特殊能力が付いたりもするのだ。
「初めてなら上等かな」
初めて自分で作り上げた包丁を見ながら満足気に呟く。傍から見ると危ない人に見えるかもしれない。
「そうだ、道具屋に行こう!」
今頃気が付いたのだがテントは買ったのに野営する為の道具を何も買っていない事に気が付いた。せっかく野営用にと鉄串を作ったのに火も付けれないのではなんの意味もない。すぐに道具屋に行き、火打石と魔法の水筒を購入した。魔法の水筒は毎日5Lまで水が溢れてくる魔道具で2,000Gと非常に高かったが、プレイヤーならMPを使って魔力を補充する事で半永久的に使う事が出来る。さらにこの水は錬金術や料理にも使える優れものなのでこれ1本あれば旅の幅が大きく広がるのだ。
「火と水が準備出来たら、後は調味料だな。調味料さえあれば外で簡単な料理だって作れるようになるぞ」
料理ギルドの売店で調味料を一通り買い足し、次は鉄の矢を作ろうと木工ギルドに向かう途中である事に気が付いた。
「しまった、鳥の羽根の在庫がない・・・」
基本的にギルドで一番安い鳥の羽根を買っていたのだがその都度全部使い切っていたのでストレージには1つも入っていない。買えばいいだけの話だが初めて作る鉄の矢なのだがら自分で素材を調達したいところだ。幸いニッケン平野にはブラックバードが生息しているのでそこでドロップアイテムの『黒鳥の羽根』を取ればいい。
「そうなると一度冒険者ギルドに行ってついでに出来る依頼がないか確認しておくか」
・RankE 『軍隊アリの討伐』10体討伐 報酬:100G
・RankE 『ソルジャーアントの討伐』1体討伐 報酬:100G
ニッケン平野でついでに受けれそうな依頼はこれだけだった。ブラックバードは主にニッケン平野の東側全域に生息しており、軍隊アリの縄張りは東側の北より、ニッケン鉱山の近くにあるそうだ。ブラックバード自体は人間を襲う事は殆どなく、動物の死体や小動物等を餌にしているそうで、比較的人間生活に影響が無いので討伐依頼には載っていないのだそうだ。
軍隊アリに関しては体長30cm程の比較的弱いモンスターだが非常に繁殖力が高く、氾濫しないように適度に狩る必要があるらしい、その中でソルジャーアントというのは上位種になるらしく巣に異変があると出てくる人くらいの大きさで非常に厄介なモンスターだそうだ。だた、こちらはある一定の数以上は増えにくいらしく、緊急を要さない為に全体的に低めの報酬になっているらしい。
「人サイズの蟻って怖いですね・・・」
受付のお姉さんが苦笑いでそう説明してくれた。メインは黒鳥の羽根を取る事なので鳥以外との戦闘は出来るだけ避ける方向でいこう。
「カラスみたいだな・・・ちょっと大きいけど」
ブラックバードは見た目はカラスに似ており、カラスの倍くらい大きかった。これなら的としては十分だし、飛んでいても何とか当たるだろう。
ロングボウに持ち替えて岩陰に潜んで<隠密>、<鷹の目>、<身体強化>を発動する。ブラックバードまでの距離は約100mこれならば余裕で当たる。そう考えて弓を射る。
「・・・っ『ストレートショット』!」
タイミングを合わせてアクションを発動する。自分で作ったロングボウから放たれる銅の矢は一瞬でブラックバードの頭を打ち抜いた。この弓は私の意志をちゃんと理解してくれている、そんな印象を受ける。
落としたドロップアイテムは『黒鳥の羽根』が3枚。そして『黒鳥の肉』だった。
「黒鳥の肉か、カラスの肉じゃないという事にして食べてみよう、これは普通の鶏肉だよな」
あくまでもカラスじゃなくて普通の鶏肉だと思い込む。食べてみないと分からないが、カラスを食べた事はないので、どんな味でも思い込めば普通に食べれるはずだ。
「さて、肉も落とす事だし、張り切って狩ろうか」
それから、昼食でログアウトするまでひたすら鳥を狩った。鳥とアリ以外は無視していたのである程度の数は揃った。まだまだ時間はあるので昼食後も鳥狩りをする事にして始めてテントでログアウトする事にした。
お読み頂きありがとうございます。
ハント
弓術士Lv.12
HP200/200
MP70/70
STR10(+5)
VIT10(+5)
DEX25+9(+5)
AGI25+9(+5)
INT10(+5)
MND10(+5)
LUK14(+5)
ステータスポイント:0
スキルポイント:7
冒険者ギルドランクE:18/30
<<スキル>>
<弓術>Lv.8<遠距離攻撃力上昇>Lv.7<身体強化>Lv.2<鍛冶>Lv.6<木工>Lv.7<錬金術>Lv.7<料理>Lv.4<鷹の目>Lv.6<夜目>Lv.5<遠見>Lv.3<隠密>Lv.7<魔力遮断>Lv.2<ステータス鑑定>Lv.4<アイテム鑑定>Lv.5<気配察知>Lv.6<魔力感知>Lv.3<熱源感知>Lv.3<採取>Lv.4<採掘>Lv.3<ダッシュ>LV.4<跳躍>Lv.3<不意打ち>Lv.4<消音>Lv.3
<<称号>>
『孤軍奮闘』
<<装備>>
武器・・・初心者の短剣・樫のショートボウ DEX+1
頭・・・なし
胴・・・ウルフベスト DEX+3 AGI+2 命中率アップ
手・・・ウルフグローブ DEX+1
脚・・・ウルフボトム AGI+1
足・・・ウルフブーツ AGI+2 消音効果アップ
背・・・ブラックウルフマント DEX+3 AGI+3 隠密効果アップ 耐寒 耐熱
装飾品・・・レンジャーリング DEX+1 AGI+1
<<所持金>>
33,900G