プレイ5日目
キリが悪かったのですこし長めになっています。
「今何時だ・・・?」
時計を見るとまだ5時前だった。昨日早く寝た分、早く目が覚めてしまったらしい。取り合えず起きて日課のランニングに出て、朝食を食べてログインする。
「やっぱり朝方はいいな。採取ポイントが心なしか多い気がする」
ログインして真っ直ぐグリーン森林へと向かう。まだ行っていない場所もあるし、戦っていないモンスターを探して探索している。薬の材料が沢山取れたのでこれで今日の売り物も確保出来そうだ。
「それにモンスターを感知しやすくなった気がするな」
<気配察知>のLvが上がって範囲が広がった上に、感知系のスキルが重複して効果を発揮しているのでより確実にモンスターの位置を把握する事が出来た。
そして把握したモンスターを<遠見>で確認してから<鷹の目>の効果範囲まで移動して<弓術>のアクションで射殺す。
「掛かった!向こうに2匹か、<ダッシュ>。」
気配察知に引っ掛かったモンスターの元へスキルを使って向かう。スキルは使えば使うだけ成長するのでダッシュや跳躍を頻繁に使うように心掛けている。
跳躍を連続で繰り出して木の上に登る。
「まず、右から・・・。<鷹の目>、<身体強化>、『ストレートショット』!」
最大に強化された矢は一瞬でモンスターの頭を射抜く。
「左に『ムービングショット』・・・」
1匹目の消滅から数秒遅れて2匹目も消滅する。この察知からスキルを全開にして敵を仕留めるのが一連の流れになっている。
「森の中の動きにも大分馴れたな」
なるべく音をたてない様に移動しているうちに<消音>というスキルが発現した。このスキルは自身から発する音を下げる効果があるらしく、PS/ASの表記があった。
ちなみにPSとはパッシブスキルの略で、スキルを取得するだけで常時効果を発しているもの。ASとはアクティブスキルの略で、自分の意思でスキルを発動する必要がある。両方表示されているものはある一定の効果を常に発揮しているが、自分の意思でスキルのオン/オフや発動が出来るものである。
<<ハントのLvが10に上がりました。>>
<<チュートリアルクエスト『はじめてのクラスチェンジ』が発生しました!>>
「お、やった。これでクラスチェンジ出来るようになったぞ!」
クエストの項目から確認すると、Lv10になったプレイヤー全員に発動するクエストの一種で神殿でクラスチェンジする。という内容で報酬は今後は任意のタイミングで神殿を利用出来るようになるというものだった。
「よし、昼ちょっと過ぎてるし街に戻って休憩にしよう」
キリがいい所までやろうと思ったら、また昼過ぎまでプレイしていた。一応三食しっかり摂る様に気を付けてはいるのだが、セーフティーエリアがないのでいちいち街まで戻るのが面倒だったのだ。
その問題も明日で解決する予定で、明日は一回目のバージョンアップの日なのだ。明日になればテントが実装されてフィールドでも簡易的なセーフティーポイントを作る事が出来るらしい、そうなれば長時間のプレイでも態々街に戻らなくて済むので私のようなプレイヤーにはありがたい。
昼食後は冒険者ギルドに達成の報告をして報酬を貰う。そして早速神殿へ向かってクラスチェンジする、勿論すでにクラスチェンジ先は決めてあって弓術士になるつもりだ。
「ここか、なんだか神聖な雰囲気だな・・・」
中には女神様の像があり、お祈りしている人の姿も見える。近くに居たシスターに話し掛けると奥へと案内された。
「ようこそ女神の神殿へ。ここは女神アリア様の加護により、クラスチェンジが出来る唯一の場所となっております」
神殿は各地にいくつかあって、どこでもクラスチェンジは可能らしい。ただ、ゲームのシステム的にプレイヤーの最初のクラスチェンジは全員ここで行うようだ。
「心の準備がよろしければ目の前の宝珠へ触れて下さい」
部屋の中央には魔法陣が描かれており、その中心の台座に宝珠と呼ばれる玉が乗っている。どうやらあれに触れるとクラスチェンジの選択が出来るらしい。
<<転職条件を満たしているクラスを表示します。クラスチェンジ先を選択して下さい。>>
・ファイター
・キャスター
・弓術士
・盗賊
ファイターとキャスターは初期クラスで誰でも選択出来る。弓術士と盗賊がレンジャーの派生となる。クラスには複合で発生するクラスや、特殊な条件を満たす事で発生するクラスもあるらしいのだが今回は基本的な選択肢しか出なかった。
予定通り弓術士を選択する。
<<ハントは弓術士にクラスチェンジした。>>
<<チュートリアルクエスト『はじめてのクラスチェンジ』を達成しました。>>
「ありがとうございます。無事クラスチェンジ出来ました」
「それは良かったです。また何かありましたら神殿へお越し下さい」
無事クラスチェンジも完了したので次は錬金術ギルドへ向かう。昨日と同じく薬品の作成をして売り物を準備する。
「あ、そういえば鍛冶スキルを全く上げてなかった!上げようと思ってたのについ忘れてしまうんだよな」
忘れっぽいのは年のせいか、生まれつきなのかはあえて触れないでおく。気を取り直して鍛冶ギルドへ向かう。
「すいません、親方はいますか?」
「はい、奥の作業場にいらっしゃると思いますよ」
どうやら奥にいるようなので必要になりそうな銅の素材を買って親方の下へ向かった。
「おう、今日はどうしたんだ?」
「実は、銅で調理器具を作りたいのですが、良ければ教えて頂けないでしょうか」
「そのくらいお安い御用だ。取り合えず見てやるからインゴットから打ってみな」
親方に指導を受けながらまずは銅のインゴットを作成する。ついでに銅の鏃も作っておく。ここまでは問題なく進む。そして次は銅のフライパンを作る準備をする。親方に基本的なフライパンの打ち方を身振り手振りで教えて貰いながら自分の手で作成していく。
「ほら、そっちへこみ過ぎだ!なるべく底は均一に伸ばせ!」
「はい、親方!すいません!」
勿論指導はスパルタだ。その甲斐もあってか無事にフライパンを作る事が出来た。
「じゃあ次は鍋を作ってみろ。要領は似たようなもんだ」
その後も何種類かの調理器具を親方の指導の下作り上げていく。最後に鉄の包丁を親方に打って貰って作成を終了した。刃物も実際に作る所を見た方が簡易作成でもイメージしやすいし、今後の為にもなるだろう。
「ありがとうございます。これで美味しい料理が出来そうです」
「おう、料理もいいが鍛冶ももっと精進するんだぞ。また何かあったら聞きに来い」
親方に挨拶をしたらそのまま共同スペースで銅の調理器具を一通り作成して鍛冶スキルを上げる。明日のバージョンアップで売れるかもしれないし、売れなくても鋳潰してインゴットに戻せばいいので多めに作る。
「よし、いい感じに出来た。次は木工ギルドに行こう」
本当にうっかりしていたのだが肝心の弓がまだ初心者装備だった。どんなのを作るか悩んでる内に完全に忘れてしまっていたのだ。
「すいません、ここで買える物で弓の弦に適したのはどれですか?」
「そうですね、ハントさんに扱えそうなので一番いいのは『ビックスパイダーの粘糸』でしょうか、丈夫なので色々な防具にも使われる素材ですよ」
ビックスパイダーの粘糸は少々高く、1本300G程したが2本購入した。次に親方を紹介して貰い、工房で作成に取り掛かる。ある程度のイメージはあるので、実際に指導を受けながら完成させようと思う。
「私が指導役のエインです。本日は弓を作りたいと伺いましたが?」
親方のエインはエルフのようで見た目は非常に若く見える。
「はい、ショートボウとロングボウを作りたいと思っています。メインの材料は樫の木とビックスパイダーの粘糸を用意しています」
「ふむ、樫ですか。ではまずショートボウから作ってみましょう」
実際にはクルミやニレ、イチイ等の木材の方がいいらしいのだが、そこはゲーム補正で木材であればある程度の融通が利く。折角なら自分で採った素材を使ってみたいのだ。弦の部分はこの近辺で代用出来る素材が取れないので諦めた。
樫の木を弓の形に削りだし、曲げて行く。理想の形になったらビックスパイダーの粘糸を張り、感触を確かめてみる。ちなみにだが<木工>スキルの補正が入るので細かい部分はシステムが補ってくれる。
「出来たようですね。感触はどうですか?」
「はい、しっくり来ますね。やはり自分の弓は自分で作った方が使いやすそうです」
「そうですね、私もエルフとして狩りを嗜みますのでお気持ちは分かります。自分で作った物は思ったとおりに答えてくれますからね。」
続いてロングボウの作成に入る。メインは樫の木とビックスパイダーの粘糸で変わりないが、そこにブラックウルフの牙とラビットの革を使ってより強力な弓に仕上げる。
・樫のショートボウ・・・製作者が自身で使用する為に作り出した一点物。DEX+1
・樫のロングボウ・・・ブラックウルフの牙を使い一般的なロングボウよりも威力がある。製作者の意思が宿る。DEX+1 AGI+1 命中率アップ
「いい出来ですね。初めて作ったとは思えませんよ。弓に関しては教える事は無さそうですね」
無事親方のお墨付きも貰う事が出来た。強い弓を意識して作ったのでプラス補正が付いたみたいだ。これならば当分はこの弓で戦えるだろう。
「ありがとうございました。また木工について色々聞きに来ます」
「そうだ、あなたはエルフの里へ行った事はありますか?あそこにはエルフ用の弓もありますし、一度行ってみるといいですよ」
<<種族クエスト『エルフの里へ』が発生しました!>>
「はい、機会があれば行って見ます」
どうやら今の会話で条件を満たしたようだ。このクエスト自体は掲示板に報告されていたがクリアしたプレイヤーはまだいないようなので序盤では辿り着けない場所にある可能性も考えられる。興味はあるので積極的に探してみよう。
その後、売り物として弓と矢をいくつか作成し、晩御飯の為にログアウトした。
お読み頂きありがとうございます。
ハント
弓術士Lv.10
HP190/190
MP65/65
STR10(+5)
VIT10(+5)
DEX23(+5)
AGI23+1(+5)
INT10(+5)
MND10(+5)
LUK12(+5)
ステータスポイント:0
スキルポイント:6
冒険者ギルドランクE:14/30
<<スキル>>
<弓術>Lv.8<遠距離攻撃力上昇>Lv.6<身体強化>Lv.2<鍛冶>Lv.4<木工>Lv.6<錬金術>Lv.5<料理>Lv.1<鷹の目>Lv.5<夜目>Lv.4<遠見>Lv.2<隠密>Lv.5<魔力遮断>Lv.2<ステータス鑑定>Lv.4<アイテム鑑定>Lv.4<気配察知>Lv.6<魔力感知>Lv.3<熱源感知>Lv.3<採取>Lv.4<ダッシュ>LV.4<跳躍>Lv.3<不意打ち>Lv.3<消音>Lv.2
<<称号>>
『孤軍奮闘』
<<装備>>
武器・・・初心者の短剣・樫のショートボウ
頭・・・なし
胴・・・冒険者の服
手・・・なし
脚・・・冒険者のズボン
足・・・冒険者のブーツ
装飾品・・・レンジャーリング
<<所持金>>
4,000G